最終兵器・テュポーン襲来!「みな、エジプトに退避」
ギガースが残らず討伐されたのち、大地の神「ガイア」は怒りに身体を震わせて、ついに、禁断のタルタロスと交わった.
冥界よりもさらに奥、ティタンやギガース、その他の神々の幽閉先・地獄の支配者たる、「タルタロス」.
生まれた子供が、大地の最終兵器「テュポーン」である.
ゼウスを倒した唯一の巨人と言われる.
地震やら、火山の噴火、さらにこの名前はタイフーンを表しており、台風を表しているというから、もお、どうしようもない、自然災害の権化、とでもいう存在なのだろう.
その子供には、有名な怪物が勢揃いである.テュポーンは不死の怪女エキドナを妻とし、数多くの怪物の父親になったとある.
ヘーシオドスの『神統記』によればテューポーンの子供は、
オルトロス、
ケルベロス、
ヒュドラー、
キマイラ、
アポロドーロスによると、
ネメアーの獅子、
不死の百頭竜、
プロメーテウスの肝臓を喰らう不死のワシ、
スピンクス、
パイア、
ヒュギーヌスにおいては
さらにゴルゴーン、
金羊毛の守護竜、スキュラをもテューポーンの子供に加えている.
まさに怪獣オールスター、みなテューポーン様のお子様たちとなると、まさに全ての怪獣の父、父祖の怪物という風格なのだろう.全ての怪物の、始祖の怪物.北欧の神話が、ユミルを持って巨人の始祖をする同じ考えが古代ギリシャの人々にあったかどうかは知らない.
ウルトラマンシリーズにもこんなに強力な、怪獣は出てこない.ウルトラマンを倒したゼットンですら、子供に有名どころの怪獣が勢揃いという話は聞かない.
ちなみにゼットンは、A toZ、初めから終わりの、最後のゼットでゼットンか?製作担当者はどう思ってか.円谷プロだっけ?もちろんギリシアの昔、まだアルファベットができる前だと、最終はZではなかったのか?ギリシャ文字の最終は何?オメガか.全然関係なさそうだな.
話はさらに脇に逸れるが、ドクトルは幼稚園の時、ウルトラマンの最終回、見逃してしまった.なんとウルトラマンが、ゼットンにやられて、死んでしまうのである.ゾフィーはウルトラマンのお兄さんに当たる人で、その人がゼットンを倒して、ウルトラマンを生き返らせる.
翌日幼稚園ではお友達、みなウルトラマンの最終回の話題で持ちきりである.ゼットンを粘土で作る.あるいは絵に描く.後から見たウルトラマンの再放送、友達の書いた、あるいは粘土で作ったゼットンは驚くほど正確であった.とにかく、大変な話題であった.見逃したドクトルは悔しくて仕方なかった.
ギリシャ神話の敵で、オメガーとかいうのがあれば、それが、ウルトラマンにとってのゼットンに当たるか?そういう敵はいるか、一度AIに聞いてみよう.オメガーという、敵役の怪物、あるいは悪霊、魔物は見当たらないらしい.
別館の書斎である.
ドクトルは、以前から疑問に思っていた、テュポーンの正体について、ルシフェルに尋ねてみた.
「そもそも地中海にタイフーンが来たことがあるのですか?」
「お、おめえ、なかなか鋭い指摘だな.そもそも未知の概念を言葉や、神として表現することは、できないからな.そお、ギリシャの昔から、熱帯性低気圧、あるいはそれに準ずる、強力な低気圧があった.地中海のタイフーンではなくて、ハリケーン、メディケーンという現象が知られていた.もちろん、タイフーンとテュポーンが同じ語源かということが、そもそもこじつけみたいな気もするがな」
ルシフェルが遠い目をして語る.彼は昔のことを語る時の目だ.
「俺たちの婆さん、つまり、大地の神・ガイアは、息子をクロノスを討たれ、さらにギガースを討たれ、そのあと、奴らの幽閉先の守り神のタルタロスに、協力を要請した.そしてできた子供が、テュポーンというわけさ」
大地から湧いて出る、巨人の軍団
大地を震わす、活火山軍、
みなオリンポスの神々を倒すには力が及ばなかったわけだ.
ガイアと、タルタロスは思案を重ねたことだろう.
そして、これまで俺たちオリンポスの勢力にぶつけてこなかったもの、何かあるか?
「お、メディケーンと、火山噴火と地震、三つまとめて攻撃に使えば!」
とこういう結論になったのだろう.自然災害、三巨頭をまとめてみましたと登場したのがテュポーンということなのだろう.
怖い、怖い、テュポーン、じゃ実際どういう具合に怖かったか、詳しい描写が、アポロドーロスの「ギリシア神話」にある.引用させてもらう.
「彼はその大きさと力において、大地が生んだすべてのものに勝り、腿までは人の形であり、途方もなく大きかったから、すべての山よりも高く、頭はしばしば星を摩した(何て読むのでしょう?).彼の手は一方は伸ばすと西に、他方は東に届き、」要するにめちゃくちゃ大きかったということらしい.
「百の竜の頭がそこから出ていた.」
しかし、昔の神話では、怖い怪獣、妖怪の類には、なんで、蛇とか竜の頭をスレも一つではなくて、多数個つける必要がある?
メデューサ然り
日本のヤマタのオロチ然り
ギリシャのヒュドラ然り
さらにこのテュポン然り.
蛇とか竜の頭、一つでも怖いのに、100個あったら怖さも百倍という純粋に、数学的に怖さを増やしてみました、という、いかにもギリシャ人的発想なのだろうか?
現代の怪獣、も複数の竜の頭だが、せいぜいキングギドラは頭三つである.
「腿から下の部分は巨大な毒蛇のトグロを巻いた形になっていて、それを伸ばすと自分の頭に達し、シュウシュウと大音を発していた.彼の全身には羽が生え、頭と頤からは乱髪が風に靡き、目より火を放っていた.」
テュポーンとはこのようであり、このように大きく、しかも怖い.
「火のついた岩をなげつつ、シュウシュウと音を立て叫びながら天そのものに突進した.口からは烈火を噴き出した」
「神々は彼が天に向かって突進してくるみて、エジプトに逃げ、追いかけられて姿を動物に変えた.」
オウィディウスによると、
ゼウスは牡羊に、
アポローンはカラスに、
ディオニューソスは牡山羊に、
アルテミスは猫に、
ヘーラーは白い牝牛に、
ヘルメースは朱鷺に変身した.
ここからが時系列が、ちょっとメチャクチャになっていく.一旦はギリシャからエジプトに避難してから、またギリシャに戻ってきて、テュポンと対峙したのか、それとも彼が、わざわざエジプトまで追いかけてきたか?
「ゼウスは遠方から、雷霆を持ってテュポーンを撃ち、近づいては、金剛の鎌で打ち倒し、逃げるのを、カシオス山まで追っていった.この山はシリアに聳えている.」
雷霆を投げかけた方向が問題で、ギリシャの方から投げつけたか、エジプトの避難先から投げつけたか?
「そこで痛手を負っている(テュポーン?)いるのを見て、組み合った.テュポーンはトグロを巻いてゼウスをしっかりと掴み、鎌を奪って手と足の腱を切り取り、両肩に乗せて海を越えて彼をキリキアーに運び、ついてからコーリュキオンの岩穴中に押し込めた.同じく腱をもクマの皮に隠してそこにしまい込み、番人として、竜女デルピュネーを置いた.」
「その後、ヘルメスとアイギバーン(牧神、パンのことである)とが腱を盗み出し、ゼウスに密かにつけた.」(腱移植?かなり細かい作業だと思う.
そもそもテュポーンが、ゼウスの全ての鍵を切り取るという作業を一人で行ったのだろうか?ただでかいだけでなくて、相当器用で、以下も仕事が早い!整形外科位なら、あちこちの病院から引く手数多だろう)
(ゼウスは)ニーサと呼ばれる山まで、テュポーンを追った、ハイモス山に押し付けられて、テュポーンは大量の血を流す.ハイモスとは「血」のことらしいが、何もハイモスさんが、赤々とした血の山のように見えるということではなくて、緑豊かなところらしい.
そして最後は、「シチリア島のエトナ火山を彼の上に投げつけた.」
以前にアテナと四天王によって、エトナ火山に封じられた、エンケラドスの上から、テュポーンを押し込めたのだろうか?




