表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
91/94

お祭り

 ルマン24時間。


 それは、WMEに於いて、最も権威あるレースと見做され、耐久に於ける最高の栄誉とされ、そして、世界三大レースの一つでもある。尚、三大レースの内訳は、F1モナコGP、インディー500マイル、ルマン24時間だ。


 ここでの勝利は、ドライバーもだが、それ以上にメーカーにとってこの上ない栄誉なのである。


 ルマンとは、開催地ル・マン市に由来しており、開催されるサーキットの名は、サルト・サーキットと呼ぶ。尚、ル・マンはパリを基準とした場合、フランス北西部に位置しており、ノルマンディー地方やブルターニュ半島、そしてパリとを結ぶ結節点でもあり、交通上の重要な要衝でもある。

 尚、交通の要衝というのは、古来から度々戦争の舞台となることが多く、ル・マンもその例外ではない。17世紀頃から徐々に落ち着きを見せ始めると、織物業で発展していった。


 ルマンはカトリックにとっても整地であったようで、現在司教座が置かれており、修道院や大聖堂もある。なので、観光地としても見どころは多いと言えよう。

 そして、WMEでの一戦でありながら、ルマン24時間の主催者はフランス西部自動車クラブ (ACO)であり、その本部もここルマンにある。


 そんな、主の御加護の許で開催されるのが、ルマン24時間なのだ。舞台となるサルト・サーキットの全長は、この時点で13.461㎞左回り。尚、普段は公道であり、サーキットとして使われるのは、一年の内、僅か二日である。

 

 第一回開催は1923年 (大正12年)。当時、既に耐久レースの原型とも思えるレースはいくつかあったが、24時間レースは前例がなく、果たして完走できるのかという懸念もあった中、29台中リタイアは僅か2台に過ぎず、これは史上最高完走率として、今尚破られていない。

 尚、本来スタートは午後4時であり、ゴールは翌日午後4時の予定であった。しかし、主催者の手違いで、午前4時スタート/午前4時ゴールとなってしまう。この手違いに際し、ACOはこう言ったという。


『これは、主が御定めになったことですから』


 正直とんでもない言訳だが、誰も否定できなかったため、以降、夜が明ける頃となる午前4時スタートが伝統となったのであった。太陽とは、時に主のことを指すので、寧ろ反ってスタートに相応しいとされ、夜が明ける中ゴールするのは、主からの祝福と見做されるようになる。

 如何にもカトリックの信仰篤い地域らしい発想だ。

 尚、開催時期である6月は、白夜の影響でフランスでも夜明けは早い。


 そして、主が御定めになった手違いは、思わぬ副産物を齎した。


 それは、後半戦となる夜間の駆引きが熾烈さを増したことで、その上ルマンでは、ゴール1時間前の午前3時が最もタイムが出るため最大の山場でもあり、観客は寝る暇も惜しんで観る程だ。


 前夜、フランス全土では新聞売りの少年が、声高らかに号外を訴えており、誰もが手に取り、そして、またこの季節が来たかと男女問わず胸躍らせる。

 そう、ルマン24時間は、最早国家行事であると同時に、フランス最大級のお祭りなのである。


 これまで様々なドラマが生まれたが、今年、62年ルマンでは、どんなドラマが待ち受けているのか……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ