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ドエロ転生  作者: エチエチエッチマン
第一章 バルクレイオス領 騒乱編
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新しい魔法を習得したぞ!

次の日、朝食が終わった頃に家の前に馬車が来ていた。

「さあ、乗って。」

父は笑ってはいるが、有無を言わさない様子だ。

馬車に乗らないと何も始まらないし何も終わらない。

獣人の2人は、家で大人しく留守番することになっている。

しぶしぶ馬車に乗ると、父が布を渡してきた。

「これで目隠しをしてね。」

オレは売られるのだろうか?

2人も食い扶持が増えれば、誰かが犠牲にならねばならない。

言う事を聞かない生意気な息子より、かわいい獣人娘を取ったか・・・。

仕方ないオレならそうする、納得の判断だ。

「これから行く所は、一般人には秘密の場所なんだ。

だから、これをしてね。」

まあ、父は人身売買などしない。

オレは愛情を注いで育ててもらったから、売られる訳ではないと分かっていた。

だけれど、どこに行くのか何をしに行くのか全く分からない。

父はオレに激甘で過保護だから怖い事はないと思うが、痛いことはありえる。

予防注射のようなものなら喜んで連れて行くだろう。

この世界で予防注射なんて受けたことはないけどな。


父は母が死んでしまって、家族がいなくなることへの恐怖に怯えている。

オレが歩けるようになった2歳くらいから剣を握らせ、鍛えられてきた。

危険なことがあっても一人で対処できるようにと。

なので、売られないと分かっていても少しビビッている。

目隠しした理由は話してくれたが、何をしにいくかを聞いていない。

もともと決まっていて連れて行くのか?

昨日の約束やぶりの折檻で連れて行くのか?

考えると、どんどんネガティブな思考に染まっていく。

そんな感じで悶々としていると、馬車が止まり目的地に着いたようだ。


目隠しを取ろうとすると、

「帰るまでずっとつけててね。」

父がオレの腕をつかんできた。

目が見えてない状況でいきなり掴まれてビックリした。強い力だ。

そのまま体を引きづられて、どこかの建物に入ったようだ。

暗闇しかないオレはおぼつかない足取りで進み、どこかに座らせられた。

「はい脱いでー。」

父がオレの服を脱がす。

ちょっ!!!何するのやめて!?乱暴しないでっ!!!

目隠しされていることと体格差で、いとも簡単に服を剥ぎ取られた。

といっても、脱がされたのは上半身だけだが。

「どうですか?」

父が誰かに聞く。

声の聞こえ方でオレに話しかけたのではなく、オレの前にいる誰かにだ。

「流石は英雄の息子。骨格もいいものを持ってますね。研鑽も隙がない。

魔法使いとしても将来が楽しみですね。」

目の前にいるのは男、声の感じからおっさんだ。

そのおっさんが体を触ってくる。医者・・・なのだろうか?

触診されているんだと思うが、胸を執拗に触られている気がする。

やめろ、おっさんがオレに触れるんじゃない。

体を弄るのなら、せめて美人のお姉さんを連れてこいよ!

「ではいきます。」

ナニをする気だ!?

男の手がさらにオレの体をまさぐってくる。

胸を触っていた手は右わき腹辺りをなでる。

「ここだな。」

そう言うと、指を2本立ててなぞっていく。

少し熱く感じたが、それよりもこそばゆい。

「くひひっ。」

「はい、動かないでくださいねー。」

動けないよ。

なにせ父がオレの肩をつかんでいて、微塵も体を動かせない。

恐ろしい事に肩をつかんでいるだけなのに足も動かないし、腕も動かない。

何かの魔法でやってるんだろうけど、ここまで出来るのか!?

男の指が背中に行き、尻の方に来たかと思えばそのまま前に指をやってくる。

「ちょちょちょい、ちょっとそこは駄目でしょ。」

「ははは、いかがわしいことはしないよ。」

初めて会った男をどう信じろと?

まあ、父のせいで動くのが口ぐらいなんで抵抗できないんだけど・・・。

でも不快だ。

表情に出ていたんだろう。

「嫌がらなくても、もう終わったよ。」

「えっ、本当?もう触らない?」

そういえば、男の手がオレを触っていない。

「施術は終わりましたよ。こちらが結果になります。」

いきなり頬を切られた。

え?この人こっちに何も言わずに傷をつけてきたよ。

マッドドクター?やばい人なのかな?こっわいなぁ・・・。

と、思っていたら頬が熱い。そこに魔力が流れたのが分かる。

頬の痛みは引いていき、傷が塞がったのが分かる。

「どうでしょうか?」

マッドドクターがオレの頬の血をぬぐって、父に見せたのだろう。

「ああ、これでこの子は大丈夫だ。この度はありがとう。」

この発言で、何故ここに連れて来られてセクハラされたかが分かった。

体が熱くなったのは魔法を体に仕込んだんだ。

それは回復魔法。傷を負っても自然に治る魔法だ。

でも頬切るときに切りますね、って断り入れないのはどうなのよ?


「主任、お客様が来ています。」

「おや、今日はよくお客さんが来るね。誰だい?」

「いえ、それが・・・」

医者達がなにやら話している。

いや、もう終わったんなら服着せて帰らせてくれよ。

こっちは目隠しもしてるって言うのに。

「マルロスさん、あなたも呼ばれているようでして、お願い出来ますか?」

「ええ、いいですよ。」

息子の意見は!?

オレだけ先に帰ってもいいかな?良くないよねぇ・・・。

この施設は貴族にしか知られちゃいけないみたいだし、平民のオレには口を出す権利すらないよね。

全員がどこかに行ってしまってオレは一人残されてしまった。上半身裸のままで。


どうしようか?暇だ、とてつもなく暇だ。

あれからどのくらい時間が経っただろうか?

目隠しをされて見えない中で何とか服は着れた。

その後おとなしく待っていたが、そろそろ目隠しを外して探検でも行こうか?

と考えていたら、父が帰ってきた。

「帰るよ、エゼル。」

父に手を引かれて、また馬車に乗せられた。

家に帰ったころには昼を少し過ぎていて、腹を鳴らした犬と猫の獣人娘2人に軽く睨まれた。

朝食は充分にとったというのに、卑しい奴らめ・・・。


昼食を食べた後は、ショッピングだ。

獣人娘達の服を買ってやらないといけない。

今はオレの服をぶかぶかなまま着ているが、オレの服の予備はそれほどない。

数日中にオレ達は汚い服を着たままか、裸でいるか、その選択を迫られる。

よって買い物に行く。

ただし、ミルシャとアマナには変装が必要だ。

この2人をさらった悪党共がまだ捕まっていないから、もし見つかったら大変なことになる。

どうやらオレが迷い込んだあの場所は、この街のスラムらしい。

あの悪党の拠点はスラムにあるだろうから近寄らなければ安全だ、と父が言うが同じ街にいるのだから念には念を入れておこう。

2人の尻尾はズボンの中に押し込み、耳は帽子を深くかぶらせてごまかす。

後は運が良い事を祈ろう。


買い物は無事に終わった。

買い物途中で悪党に出くわすなんてことはなく、平穏だった。

いや、オレの精神と肉体の疲労は無事ではなかった。

2日前まで奴隷になっていたとは思えないほどのわがままぶり。

やはり異世界だろうが獣人だろうが小さな女の子だろうが、女は女だ。

2人の服を何着も買ったのだが、こだわりというかワガママがひどかった。

やれ色が嫌だ、やれ肌触りが嫌だ、尻尾が出しにくい。

そんな感じに時間だけが過ぎていった。

体が小さいのだからどうせすぐに新しい服が必要になるのに、そこまでこだわらなくていいと思う。

それもやっと終わり、あとは家に帰るだけ。

ただ、買った服はオレがまとめて持つことになるんだよな・・・。

父さんは仕事なのか付いて来てくれなかったからな。

護衛も荷物持ちもオレだけはきついよ・・・。

とりあえず今日の所は服を買いに外へと出たが、2人は外に対して怖がっているように見えた。

父はいなかったが、オレが英雄の息子だからか少しは安心して外に出れたみたいだ。

こんな調子で大丈夫だろうか?

あと1週間ほどでオレの学園生活が始まる。

となると、家の中にはオレも父もいない。

そんな中で2人は、やって行けるのか?

悪党が捕まり、2人が恐怖に打ち勝って自分から外に出ないと何も始められない。

・・・すぐにどうこうという話ではないな。

まずは父さんに頑張ってもらって、奴隷商人を捕まえてもらおう。

英雄ならあっさりやってくれるかもしれないな。

父の武勇に期待しよう。

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