夏に溺れる
初投稿ということもあり、優しい目で見ていただければ幸いです。
「いかがな夏をお過ごしですか。私は元気です。」
大切な手紙。書いてあることは可笑しかった。僕はただ笑った。ふざけた手紙だよ、全く。
「あなたは元気ですか?元気がない時は、どこかに遊びに行って、一緒に笑いましょう。」
あぁ、そうだな、何処か夏バテしない場所が良いな。
「あなたと私が出会ったのは海ですから、海なんてどうですか?貴方に可愛い水着を私に着せる権利をあげます。」
前言を強制的に撤回させないでくれよ。しかもちゃっかりしてるな。…バイト入れるか。
「最近はスマホで文字を書くばかりでしたので、字が汚くなっていないか、少し不安です。」
大丈夫、柔らかくて温かい文字だと思うよ。知らないけど。
「今、知らないけどって思いましたね。褒めるならちゃんと褒めてくださいよ。」
何で分かるんだよ。ちょっとキ、いや、うん。
「…見逃しましょう。…あなたの2時間とパフェとコーヒーで。」
はいはい、時間作っておくか。
「それから水着を選びましょう。どんなのが似合うか、ちゃんと考えて来てくださいね。」
何着ても似合うよ。凄くね。
「やっぱり文章って良いですよね。」
何がだよ。
「何を書いてもその場で何かを言われるわけじゃないから、好き勝手言えるところとか。」
…なんか嫌なよ
「あなたを愛しています。」
…そうじゃないだろ。なぁ、頼むよ。
「きゃっ、言っちゃった。言ってはないけど」
喧しいわ。急に落ち着くなよ。
「毎日、あなたへの思いが募っていく。こんなこと絶対言ってやりませんけど。」
その割には最初の方見せる前提だっ
「勘のいいあなたは嫌いですよ。…嘘です。」
面白い女だよ。ほんとに。
「そろそろ寝る時間ですね。では、また。」
「ほんとに馬鹿なやつだよ…」
俺は笑った。可笑しくてしょうがなかった。
俺は泣いた。悲しくてしょうがなかった。
俺は、俺は…
彼女が死んで、俺は生きた。海で溺れた俺を助けようとして彼女はあっけなく死んだ。彼女の助けとは何も関係なく、俺はただ単に運がいいという理由だけで生き残った。無駄死にだよ、馬鹿野郎が。少し言葉が汚くなってしまったな。
それで、机の引き出しに入っていたのがこれだ。引き出しの中は、ぐちゃぐちゃになった紙が散乱していて、それの1番上にあったものだ。実に彼女らしい。
…………………さて、遺書らしくない遺書を読んだところで、そろそろ行こうか。最後の夏を、満喫しにさ。
いかがでしたでしょうか。拙いながらも割と頑張りました(当社比)。私自身も、もっと良く書けたなとか思っております。