7.地域理解の第一歩
次の日、りあ達は仲間5人で向かった。
昨日と同じような見学をしたあと、社長にお願いされた。
「鍋島くんが君たちを怖がっているので、もし良かったら謝って貰えないか」と
だれ?鍋島って。と思ったが。りあ達が廃棄のパン入りのゴミ袋を置いていくように脅した障がい者だった。
お腹が空いて困った時、ひょろひょろしたのが、廃棄っぽい食べ物をごみ袋で運んでいるのを、たまたま見つけた。
ひょろひょろしてて、根暗そうで、ガリガリで、子どもでもやれそうな相手だったので、りあ達は何日か話し合ったあと、空腹に負けて、決行する事にした。
実は今日も出勤しているのだが、りあ達が来たと知ったら隠れているらしい。
「分かりました。」
そういうと、社長はほっとした顔をした。
「ありがとう。それでみんなで行くときっと怖がっちゃうから1人2人でお願いしたいんだけど」
りあは隣りにいる2番手の前田碧斗と行くことにした。
謝罪後、社長はひとりひとりに手紙を渡した。
「私から説明の手紙を書いておきました。内容はあなたたちが、障がい者の人達と品出しを手伝ってくれたので、お礼として渡したと書いてあります。きっと、親御さんたちはどうしてご飯があるのか不思議に思ってるはずだから。」
正直、子どもたちからみて、あの親たちがそんなことを思ってるか疑問だとは思った。
しかし、あいつらの辺なスイッチが入ってここに来れなくなると困る。
手紙はもらっておくことにした。
りあ達が親に手紙を渡したら、驚くことに親たちが集まってスミヨシにお礼をしに行くと言い出した。
次の日、りあたちは1時間だけ、障がい者と品出しの手伝いをしたり(遊んだり)、寝たきりの人がトイレでいない間のハヤフジ係をしたりした。……客は来なかったけど……
りあたちの仕事が終わって、食材をもらう時間に合わせるように、親たちはやってきた。いつもよりも早く起きて、出勤の用意をしたらしい。
ケバいのでとっても目立つ。
彼女たちは初めて見るロボットたちに興味津々である。
社長がやってきた。昨日やその前の気軽さはどこかにいってしまい、上品なしぐさで、ゆったりとしている。
「この度は、お子さんたちに手伝っていただきまして、大変助かっております。」
社長の態度に、親たちも慌てて仮面を被る。
「いえいえ、こちらこそ食べ物をいただきまして、正直大変助かりました。」
あいつ、そんな言葉も言えたのか……と、りあ達は自分たちの親に対して思った。
「まぁ、それは良かったです。皆さん、良ければスミヨシを見学されて行きますか??」
「いえ、いえ、私たちはこれで失礼しますので」
そそくさと立ち去ろうとする親たち。なんか負けたと思ったのだろう。
それにしても、社長は何者なんだろうか?
「あ、お待ちください。」
そういって社長は奥からビニールの袋を持ってきた。
「お子さん達から、お仕事が大変と聞いております。ほんとに親想いのお子さんたちで……こちら、お節介かとは思ったんですが、うちで取り扱ってる、二日酔いに効く薬と、栄養剤になります。良ければお使いください。」
「え、えぇ、ありがとうございます。ほら、帰るわよ。」
親たちは遠慮なくもらっていく。
こうして、りあ達が店に行くのは止められなかった。
あの後、親たちは何となく元気になり、学校から帰ってくる時間には起きているようになった。
そして、社長が渡した栄養剤や薬を買うために店に来るようになり、ついでに日用品も買っていくようになった。
「ここでうちの子がお手伝いしててー。まだ中学生なんだけど、いい娘でしょー。」
くねくねとしながら同伴前に男を連れて買い物をするようになった。
スミヨシで働きながら、りあ達は無表情でそれを眺めた。
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