1話 現代日本から転生した俺は異世界の勇者にクラスチェンジする?!
俺は風太郎さえないおっさんだ。そんな俺だが、俺はリストラされた。
正確にはリストラされそうな雰囲気があったから早期退職募集に乗ったのだ。割り増し退職金ももらえるしな。
ともかく、今日から無職ということだが職探しもしなきゃいけないけどむしゃくしゃする。
「そうだ、こんな時は一発抜きに行くか!!」
「さて、今日はどの店に行くかな」
仕事終わりのサラリーマンのように、風俗店を物色していると後ろから声をかけられた。
「あのぉーすみません」
振り返るとそこには絶世の美女がいた。腰まで伸びた金髪に整った顔立ち、スタイル抜群で出るところは出て引っ込む所は引っ込んでいる。そして何より胸が大きい!!Gカップはあるだろうか。こんな美女に声をかけられた事など生まれてこの方一度もない風太郎は舞い上がっていた。
「なんでしょうか?」
興奮を隠しつつ返事をする。
「実は私、道に迷ってしまったんですけどここがどこなのか教えてもらえませんか?」
「あぁいいですよ。ここはですね……」
風太郎が説明しようとしたその時だった。突然足元に魔法陣が現れたのだ。それはとても大きくて風太郎を丸ごと包み込めるくらいの大きさだった。
「うわっなんだこれ!」
驚く風太郎だったがもう遅い。既に体は宙に浮かび上がり魔法陣の中心へと吸い込まれていた。
「おいこら!離せ!!」
必死に抵抗する風太郎だが無駄であった。風太郎はどんどん中心へと引き寄せられる。その光景を見た美女が口を開いた。
「あっ……ちょっと待ってくださいね」
そう言うと美女は指先に魔力を集め始めた。そしてそれを自分の唇に押し当て呪文を唱える。
「えっと……我、汝を召喚す。いでよ我がしもべたちよ!!」
するとどうだろう。何もなかった空間から突如として様々な種類の魔物が現れ風太郎を取り囲んでしまったではないか。ゴブリンやオーク、オーガといったRPGではお馴染みのモンスター達だ。
「ひぃいいいいっ!!!」
恐怖で悲鳴を上げる風太郎に美女が語りかける。
「驚かせてしまってごめんなさい。でも大丈夫です。あなたには危害を加えさせませんから」
安心させるように微笑む美女だったが、風太郎にとってみれば全く笑えない状況である。一体どうしてこうなったのか理解できないまま風太郎は意識を失った。