人助け
男1「じゃあ、電話番号。」「電話番号教えて」
少女「・・・」
男1「黙っていても、何にもならないだろうに」
男2「聞こえてないんじゃねえのか?」
男1「そうなのか?」
少女「・・・」
男2「あのな、だから言っただろ」
男1「何がよ」
男2「むやみに人助けするから悪いんだよ」
男1「何を!!あんなに泣いている子が道端に立っていたら誰だって気にかけて話しかけるだろ。人助けが悪いっていうやつがいるか?なあ?」
少女「・・・」
男2「まあいい」
男1「まあいいってどうするんだよ。この子」
男2「どうするも何もないだろ、お前が始めた事なんだから、お前が決めるべきだろ。もう俺は関わらんからな」
男1「へ!好きにしろ、好きにしろ」
少女「帰りたくないの」
男1男2「うわぁ!!!」
男2「喋ったぞ!」
男1「やっぱり聞こえてたじゃないか」
男2「うるせぇ、黙ってろ!それで?」
少女「・・・」
男1「ほら、お前がそうやって詰め寄るからこの子は萎縮しちゃうんだよ」
男2「・・・」
男2「お嬢さんは、高校生かな?それとも大学生なりたて?」
男1「なんてこと聞いてんだよ」
男2「痛って、殴る必要ないだろ」
男1「まぁ、今日一日だけ泊めてやることにしようよ。な?」
男2「勝手にしろ」
男1「ほんとにあいつはうるせぇよな、毎日一緒に居て疲れちまうぜ」
少女「一緒に暮らしているんですか?」
男1「おっ・・・まぁな」
少女「学生時代からの友達とか?」
男1「なんだよ、あいつが居なくなってからやけに喋るじゃないか。なんだ、そんなにあいつが怖かったのか。あいつは中身は優しいやつなんだ。ただ素直になれないだけ」
少女「・・・」
男1「あぁそうか、友達だったか聞いてたんだよな。そうだよ、あいつとはもう長い仲だな」
「ところで、俺らの話なんてよしてさ、君はなんで泣いてたのさ」
少女「それは・・・」
男1「別に話したくなければ、無理強いはしない」
少女「唯一のなんでも話し合えて、いつでも私の事を気にかけてくれた叔父が先日・・・」
男1「・・そうか、それは残念だったね」
少女「私は小さいころから叔父が大好きで。毎日叔父の家に通っていました。父はおらず、片親だったので男の人といるのが心地良かったのではないかと思います。母はいつも男と遊んでいてばかりで、叔父は私の事を母よりも大事に思ってくれていました。なので叔父に育ててもらったと言っても過言ではありません。でも母はそんな叔父が頑張って働いて、私の大学費の為に貯めてくれたお金を遊びに使ちゃってて」
男1「・・・それは辛いだろうね、まだ若いのに大変だ。実はね俺らも似たような所があるんだよ」
少女「え?」
男1「俺らはね、芸人目指して上京してきたのは良いものの。こっちの世界じゃなにもかも敵わないんだな。気づいたときには二人とももう手遅れで沢山の借金まみれになっていた」
少女「じゃあ、今も?」
男1「いや、もう今はすっかり返済し終わったさ。だからこうやってまだ二人で暮らしていけてる。芸人の仕事はまだ来ないけどな」
少女「え?仕事来ないって、どうやってお金集めたんですか?」
男1「・・・」
「いいか、君はまだ若くてこれから知らなかった事も沢山知る事もある。あぁ知らなければ良かったなと思う事もあれば、もちろんその反対だってあるさ。」
少女「どういう事ですか」
男1「あれは、しょうがなかったことなんだ」
「しょうがないって言ったらなんでも許されるはずがない事は十分わかっている。でも俺らは、俺らはこうするしかどうにもなかったんだよ」
少女「こうって?」
男1「俺らはな、金を盗んだんだ。銀行から。こんな話聞いたら、きっと親が泣くだろうな。本当は俺らだって初めから、盗みをしたかったわけではない。でも盗まないと、生きていけなかった。毎日借金取りから追われ、ボコボコにされる人生に疲れたんだよ。」
少女「・・・」
男1「すまんな。相談した相手がこんな奴でな」
少女「いえ・・・」
男1「でも、君は絶対にこんな大人になっちゃダメた。君は素晴らしい未来があるんだから。しっかり学校にも行くんだよ」
少女「えぇ、分かりました」
「ちょっとお手洗いよろしいですか?」
男1「ん?あぁ、そこ曲がったとこだよ」
男2「おい!!なんだよ今日は音が近いじゃないか」
男1「ほんとだな。家の前に止まるんじゃないよな」
男2「もしかして、ついに俺らの素性がばれたか?」
男1「んなわけないだろ。落ち着けよ」
男2「来たぞ・・・・」
男1「・・・・俺が出る」
男2「何も言うなよ」
男1「わかってるって」
男1「はい、なんでしょう?あら、最近物騒なもんで事件なんか多いのでそちらも大変でしょうね」
「ちょ、ちょっと、待ってください。急に上がられますと困ります」
警察「お前たちを、銀行強盗の容疑で逮捕する」
男2「おい、なに言ってるんだよ」
男1「そ、そうだよ。大体急に押しかけてきてそれはないぜ」
警察「それでは、あなたたちは自分達が犯人でない、そう主張するのですね」
男2「なんだ偉そうに、あぁそうだよ。俺らは潔白だ」
警察「ではこちらをお聞きください」
ボイスレコーダー「俺らはな、金を盗んだんだ。銀行から。きっと親が泣くだろうな。本当は俺らだって盗みをしたいわけではない。盗まないと、生きていけなかった。毎日借金取りから追われ、ボコボコにされる人生に疲れたんだよ。」




