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勇者の血反吐を見るまでは!  作者: 太陽寺すう
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リリシア軍到着

「良かった、連邦軍は思いのほか苦戦を強いられているようだ」


友軍の苦戦を「良かった」と言ってのけたのは、リリシア王国軍の指揮官・フランザーである。

「リリスにファーガあり」と謳われた名将の後継者としては、着陣時に戦いが決まっていては困るのだ。

序列下位のリリシアが連邦と同等以上の活躍を見せられるか否かは、今後の情勢に関わってくる。フランザーはそう考えていた。

故に、遅れて到着した王国軍にとって、アール=アライア連邦の苦戦は「良かった」のである。


フランザーは軍に待機を命じると、跨ってきた愛馬を降りずにそのままぐるっと砦の北側へ回り、連邦軍総大将・ロクの下へ挨拶に向かった。


「遅れてしまい申し訳ない。リリシア兵は士気充分、存分に働かせてもらう」


「いやあ難戦難戦。どうやらベラローズ侯は未だ健在といった様子でね。だが警戒すべきはベラローズのみ、その他は数で圧倒できそうだ」


両者はしばらく作戦について話し合った。

各軍を二分割し、砦の四方に布陣する。攻撃のタイミングを合わせることでベラローズの手が回り切らない状況を作る、というところで一致した。


「一つ注意しなけりゃならないことがあってね」


ロクは"智将"と称えられる。

しかしそのイメージとは反対に、表情や仕草にはどことなく子供っぽいというか、無邪気な印象を漂わせていた。

妙に明るく、話す時にも身振り手振りが大きいところがある。


「ベラローズは使い魔の亡骸を魔力に転換する技を使う。あの技を発動する隙を与えちゃいけない」


連邦の総大将は、「冥皇隕星(プルーテオ)」着弾の様子とそれによる被害を、リリシアの指揮官に説明した。

フランザーは顎に手を当て、唸っている。


「それほどか…」


「だから、攻撃の時には一気に心臓まで攻め切らないと。生け捕りっていう話は一旦忘れた方がいいかもしれない」


「分かった、肝に銘じよう」


一斉攻撃の合図は、北に配置された連邦魔導兵団による空への爆炎魔法に決定した。


アール=アライア連邦軍は北と西、リリシア王国軍は南と東にそれぞれ配置され、その時を待つ。

合図までの間、魔族側から仕掛けてくることが時折あったが、近づいてきた分だけ退き、敵が退けば戻る、というロクの作戦に従ったため、戦闘はほとんど行われなかった。


リリシア到着から2日後の夕方頃。

天地ともに黒く凪いだ戦場の北の空に、無数の炎弾が爆ぜた。


北からロクが、

西から連邦の副将・ハイブワーフが、

南からフランザーが、

東からはリリシアの副将・フェルマが、

同時に黒き砦の中心に向かって突撃を開始した。


この時、リリシア王国ベラローズ討伐軍の後方援護部隊は、フランザー率いる軍の後方に位置していた。

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