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学校、華、喧嘩、 ~~~人情だ! イチロウ!

作者: あおのり 腹筋崩壊要塞

適当に考えました。 あの有名作品のオマージュです。

「 今日は、テメーら四人かぁ!? 」

イチロウは確認を取る。 部外者を殴ってしまっては、マズいからだ。

・・・ 何か、ワケの分からない事を言ってくる、 ワケワカメの数を数える。 ・・・多分四人だ。 この四人は殴り飛ばしていいという事だ。

「 よっと! 」

イチロウは大袈裟にバックステップをする。

「 それ以上踏み込んで来たら、それがゴングになるぜ! 」

言葉が通じないのか、まだワケワカメのままだ。 ・・・ ・・・ 開始だ。

カァン!


一人目はそのまま歩いてくるから、膝頭を強く踏みつけてやる。

震脚の応用だ。

ミミギィ! という足応えがして、一人目が倒れる。

相手がナイフを持っている事は無い。

この、丸々学園になっている島では、至る所に金属探知機がある。

指定された物以外の金属を所持していると、ブザーが鳴ってしまう。

「 っっしゃあ! 」

イチロウは吠える。 体を温めるのと同時に、気分をケンカに持っていくためだ。

次のヤツは、蹲る一人目を避けながら来る。

蹲りを蹴飛ばすと、簡単に陣形が崩れる。 一人、たたらを踏んだことをイチロウは見逃さない。

左ストレートを相手に腹に入れる。 が、こういうのでチンピラは中々倒れない。

相手の背後に周りながら、腰回りを掴み、腰をアスファルトに打ち付けさせる。

ミ"ッ! っという、感触アリだ。

下がりながら、再び叫ぶ。

「 うらぁっ! 次来いや! 」

相手に前進を促す。 チンピラの脚が速くなった瞬間を狙って前に出る。

苦し紛れのストレートを弾き、脇を掴み、そのまま一本に背負う。

ダァン! 綺麗に決まった。

脚が止まった四人目を仕留めにかかる。

防御姿勢を取って、前に飛ぶ。

相手の膝の上に、イチロウの両足が乗る。

立ち姿のマウントポジションだ。

イチロウがバランスを取りながら、相手の両腕を何度も殴って崩していく。

最後は叩き落としの頭突きだ。

相手の脳天に、ドォン!と、イチロウのデコが入る。

・・・朝の、通学ケンカは、イチロウの完勝だ。


「 ふぅ・・・ 制服の改造(寸法の)がなきゃ、こんな綺麗に勝てないぜ。 」

イチロウは中学の時に、ケンカで制服を破った事が、何度もある。

父と協力して作った、寸法を弄りまくった、この制服。 父には言っていないが、イチロウの宝物の一つだ。 これを着ると、勇気が湧いてくる。

・・・何やら、派手な格好をした部外者達が、こちらを見ながら、何か話をしている。

非常に物騒な気配だ。 イチロウの感じ間違いでなければ、「 オマエとあのガクセイの、どっちが強いか見てみたい! 」 法衣を着込んだ女の子が、そう言った気配がする。

明らかに日本人ではない、鍛え抜かれた男が、こっちに向かって歩いてくる。


「 ヘイ! ジャパニーズ、ボゥイ! fight、オゥケィ!? 」

「 のうのうのうのう。 」

イチロウは、必死に拒否をする。 相手の体格や拳を見れば分かる。 一撃貰って、綺麗な骨折で済めばいい方だ。

男は溜息一つ付いた後、きびすを返す。 法衣の女の子は、非常に不満気だ。

( 何とかして、私を楽しませろ! ) そういう態度のようだ。 従者の三人は、困っている。

イチロウは、遅刻しないように、学校に行くことにした。


別名、本土返し。 チンピラ達の間で通っている、イチロウの名だ。

監視カメラに、イチロウがケンカを売られる所が映っていたので、今回も停学は無しだ。

イチロウに大怪我を負わされた連中の半分ぐらいは、ケンカに大負けした話に耐えられずに、退学し、本土に帰っている。

イチロウは別に、ケンカをしたいワケではない。 けど、ケンカに負けていいとは思っていない。 だから、父親に、鍛えてもらった。 あの、普段温厚な父が殺気を解放し、闘鬼になる瞬間に比べれば、同年代のチンピラのハッタリ態度など、何も思う事は無い。


イチロウは学校で友達を作る気は無い。 自分がケンカを買っていれば、友達が巻き込まれるからだ。 だから、中学からは、友達を作らない事にしている。

学園島自体は楽しいが、授業は、やっぱり詰まらない。 ただ覚えるばかりだ。 勉強という言葉、かの大陸中国では、勉学を強制するという意味らしいことを、ボンヤリと考える。

この学校で一番最初にやるテストは、もう終わっている。 イチロウから見て、頭の悪そうな連中ばかり、得意げな顔をしている事を、知っている。

悔しいという気持ちはある。 こういう時、勉強が出来ても、あのバカ面連中みたいになるだけだと考えれば、多少、溜飲が落ちるとイチロウは教えてもらっている。

もう一つ、 勉強が出来る事と、勉強が出来る先に自分の望む未来があるかどうかを考える。 今自分がやっている事を捨ててまで、やる価値があるのかと。


父の教えと考えは、いつもイチロウの助けになる。 スカしているワケではないのだが、こういう態度がチンピラの感に障るらしい。 

けれど、チンピラの言うとおりに合わせてやっても、何もイチロウの得にならない。 また、足を引っ張った分の責任を、チンピラは取らない。 無責任に合わせてやる事など何もないと、父はよく言っていた。

昼飯は、人目に付かない所・・・だと、チンピラが溜まっている場合があるので、 何とか、かんとか、手を変え場所を変え、昼飯を済ませる。

弁当は手作りだ。 学校でパンを注文すると、チンピラに取られてしまうし、売店の人は、そこまでの責任は取れないと、弱腰の上にチンピラの味方をするからだ。

弁当は、まだ父のようには作れない。 父が作った、素っ気ない料理。 実際に食べてみると、滅茶苦茶に美味しい事は珍しくない。 イチロウが父に憧れる理由の一つだ。

何なら、昼休みの前後に、多少授業をフケてでもいいから、昼飯を優先するべきだとも、思っている。


放課後、イチロウは基本的にまっすぐ団地に帰る。 寮だとチンピラと顔を合わせすぎてしんどいだろうと、父が気を利かせてくれた。

「 ねぇ! アズマ君! 」

・・・人を食った、ナメた声だと思ったから、少し怖い顔をしてみた、が。

「 いつも、美味しそうに お弁当食べてるよね? 何かコツがあるの? 」

「 ・・・別に。 帰るから、どいてくれ。 」

何を言いたかったのだろうか? 弁当の作り方か? 笑顔で飯を食べるコツか? こんなのがテストの成績が良いのだから、世の中は何かがおかしいと思っている。

瞬間、体に電撃が走る。

予想外のタイミングだった。 こういう時、体調不良は隠さない方が良いと、父から教わっている。

「 うっ、 ぐぐっ・・・ 」

「 どうしたの? 大丈夫? 私が家まで送ろうか? 」

オレの団地まで付いてくることを、何を送ると言うのか意味が分からないし、ヤセギス女が、オレの家まで付いてくる? ヤメテクレ、そう思った。

イチロウは、ヤセギス女から離れながら立ち上がる。 会話は無駄なので、早足に教室を出る。 そのまま家に帰る事にした。 この流れなら、ヤセギス女がオレに何かをしたように見えたはずだ。


ワケワカメをのした場所・・・ まだ、例の、目立つ四人が居た。 また、あの男が、オレの前に立つ。 紙を見ている。 メモだろうか?

「 エェーと。 テかげんするから、 少し、ナグリあって。 」

酷い言葉だと思った。 ・・・従者の中で唯一の女性が、軽く頭を抱える。

「 もういい。 私が話す。」 こちらはしっかりと喋れるようだ。

「 少年、私たちの姫のご所望でね、 君が全力で戦う所を見てみたいと言うんだ。 構わないかな。 」

イチロウは周りを一瞥し、考え、答える。 ケンカが出来そうなのは、オレと、目立つ四人だけだ。 つまり、相手になるのは派手な四人組の内の、二人だけ。 そして、今朝方のケンカを思い出し、 /あれで全力だ/ と嘘を言うには、余裕がありすぎたと、認識する。

「 売られたケンカ、何でも買うワケじゃあ、ないんですけど・・・ 」

「 ほう、なるほど・・・。 ふむ、私たちはね、この姫の用心棒と御用聞きを、給料を貰って行っている。 つまり仕事なんだ。 どうすれば、この姫のワガママに付き合ってくれるかな。 」

・・・イチロウから見て、嫌いなタイプの女だ。 ここでカン触るとか言ってしまうと、チンピラと同じなる。 そういう思考も、父から教わっている。

「 給料を、お金を貰えれば、何でもやるのが大人なんですか? 」

「 良い事を言うね。少年。 給料を貰うという事は、責任が発生するんだ。 私には、この小さな姫様の用心棒と御用聞きをする責任がある。 」

「 それ、アナタが勝手に選んだ道だし、オレには全く関係のない話ですよね。 」

「 私の勝手に付き合わせる分だけ、チップは多くしよう。 それと、関係無くは無いよ。 つい今朝がた、君は姫様に顔を覚えられている。 日本でいう所の顔見知りという関係だ。 」

関係があるか無いかの話は、イタチごっこになると判断する。 勝手や責任に関しては、金額で無理矢理に解決する気のようだ。

「 オレは給料とか、お金を貰ってませんから、その仕事や勝手に付き合う義理はありません。 」

「 その通りだね。 逆に言えば、君に今、お金を渡すことが出来れば、手合わせ 願えるのかな? 家賃は払っているだろう? この場で君の口座に振り込めば、交渉は成立する。 」

・・・

・・・ちょい、ちょい、ちょい。

「 よし、振り込みは完了だ。 私は相場を知らないから、多めに振り込んでおいた。 」

この女を殴りたいと思った。 そうだ、女を殴った経験があるとなれば、あのヤセギス女は近寄ってこなくなるのではないか、そう思った。

「 ・・・良い殺気だ。 っ、は、ふ、るるるるるる・・・ っ っ ダメだな。 私では、君を相手に手加減が出来そうにない。 手加減をする事は、契約の内だったね。 ・・・ダレル! OKだ! 右腕だけで、遊んでやれ! 」

退屈そうにしていた、屈強な男の目に、光が入るのを見た。

感情を表に出し過ぎた。 こちらが怒りの感情を見せた所で、この手の相手では引くはずもないのに、やってしまった。

怒気と殺気を理由に、タイマンOKだと取られてしまった。 お金を押し付けられた上に、やりあう気になってしまえば、半分は相手の土俵に乗った事になる。 ここからひっくり返すのは難しい。 あと金額が気になる。


・・・従者の女と男が交差する時、女が手を打ち鳴らす。

パァン! 合図が、鳴り響く。


「 3,2,1,GO! 」

分かりやすい、カウントダウンパンチだ。 遊びなのか、ナメた真似なのかは、分からない。

相手は右腕しか使わないという事は、そこを弱体させてしまえば、後は何とかなると思った。

左腕で右ストレートを必死に流し、こちらの右パンチで相手の右脇を狙う。 筋が伸びた所に、イチロウの右拳が、吸い込まれる。

ギィン! と、相手の筋が伸びきる感触が帰って来る。 上手く決まった。 しかしダレルの重い右ストレートは、イチロウに十分なダメージを与えていた。

情けないが、結果は、相打ちだ。

ダレルは左腕で、こちらに静止を促しながら、下がっていく。 ・・・会議が始まるようだ。


法衣の子は、とにかく不満気な様子だ。 ダレルの大きい体のせいで、法衣の子の視点では、イチロウの体は、よく見えなかったのだろう。

ダレルさんの立ち位置が悪かった。 そう思ったが、口に出すのはヤボだと思う。

ダレルさんに、右腕を庇う動作が、わずかに垣間見える。 色々と、差し支えるはずだ。 あの女曰く、責任のある仕事と言うのが、この後もあるのだろうから。


・・・法衣の子が、ついにヤケになったらしい。 イチロウの方へ突っ走って来る。

(変な動きをする法衣だな、重そうだ。 何か仕込んであるのか?)

単純な、体当たりだった。 下手で不器用な当たり、だが、その重さは本物だった。

「 おっとと「 あ”ーーーー!!!! 」」


何か人生を間違えたかと思う程の、叫びだった。

四人衆の中で、一番のインテリ気取りであろう男が、突然に顔を真っ青にした。

物凄い勢いと形相で踏み込んでくるので、法衣の子を支えて差し出してやる。 インテリ気取りは、法衣の子を支えきれずに、一緒に倒れてしまう。

情けない姿だと思ったが、それはいい。 インテリ気取りは、法衣の子の様子をしきりに確認する。 残り二人の従者は、めんどうな事になったという、態度だ。


インテリ気取りが、ポケットから複数の薬?とペットボトルを取り出す。 すかさず、従者の女がペットボトルを開けてやる。 気取り野郎は薬の選定中だ。

・・・特定の薬を、煽った。 それから、法衣の子の様子を確認している。

・・・一度イチロウの方を睨み付けると、また別の薬を煽る。 ・・・何かを納得する。

気取り野郎が、難しい顔をしながら、他の従者に何かを語っている。 会話の内容は、分からない。

従者の女がイチロウの方を見る。

「 私たちは、この子を、ここに置いて、今から帰投する。 ・・・よっと。 」

従者の女が、グッタリしている重量級少女を、器用に抱える。 難しいはずだ。

「 この島は監視カメラが多いのだったな。 こうやって見せてやれば、多少は言い逃れができるだろう。 」

「 え”ぇ!? 」

イチロウには完全に予想外だった。 どうやら、法衣の女の子を、イチロウが引き取る流れの様だ。

・・・ 器用に押し付けられてしまった。 その瞬間の、女の目を見逃さない。 こういう目を、オレにもしてくれたらいいのに。 そう思ってしまった。

「 ではな! 」

・・・ 三人とも、本当に行ってしまった。 ・・・ ・・・ はっ! 周りの目線が痛い。 イチロウは、とにかく とにかく、自分の部屋に戻る事にした。 


法衣を脱がしたとして、下から何が出てくるのか分からないので、服は弄らない。 頭の下にタオルを敷いて、床に寝かせる事にした。 とんでもなぁく甘ぁい臭いがするから、ベッドに寝かせる事はできない。 そう判断する。

法衣の子が、目を覚ます前にシャワーを浴びる。 ・・・ ・・・ 汗を流す事も、着替える事も、特に問題無く済んでゆく。

電気ケトルからお湯を出して、カップラーメンの準備をする。

親が言う所によると、カップが発泡スチロールのタイプは、スチロールのカスが体に入るかもしれないから、鍋に移した方がいいのは? という事だ。

カップラーメンは手早いが、良い塩分を取れないらしいので、お値段 高めの塩を混ぜる。 家からは、カップラーメンにぴったりの鍋を持ってきている。


ズルズル! ズルズル! 勢いよく、麺をすすっていく。

「 ・・・ んがっ! 」

女の子が、目を覚ました。 ・・・辺りを見渡している。 が、あまり驚く様子が無い。 イチロウを見ても、驚かない。

イチロウは、残り汁に全卵と塩を入れて、おじやの準備を進めていく。

「 ・・・ がおーーーーっ! 」

腹が減ったという意味だろう。 おじやは一緒に食べるつもりにしておく。


おじやは全て食べ終わった。 そしたら、法衣の子はそのまま寝てしまった。 塩っ気のあるものを食べたから、後で喉が渇くかもしれないから。 コップにお茶を注いで、置いておく。 これではヌルくなってしまうが、無いよりはマシだろう。

イチロウは、寝る事にした。 ~~~終。

電撃のヤセギス女・・・ フラスコチルドレンの一人。


フラスコチルドレン・・・ 特定の覚醒剤を体内に溜め込めるように調整された、調整人間。


四人衆・・・ デッズ・インゴッド、ダレル、神火草子、????


覚醒剤の解除・・・ イチロウが、唯一、父から教わった、魔法。 イチロウの肌に、相手の肌が触れると、強制的に発動する。 エキサイト・ディスペル。


デッズ・・・ 演算と記録の覚醒剤をイチロウに解除されてしまう。 後に、インゴッドと呼ばれ、自身も そう名乗るようになる。


振込金額・・・ 1000万、らしい。 従者の女 神火草子曰く、金額が低いと、デッズが悪者になってしまうから、これぐらいは当然、との事。


デッズの診断に使った、薬・・・ 体調を読み取る薬で、デッズの記憶の多くが飛んでいる事を確認する。 して、流れの先を読む薬で、デッズそのものが証拠になって面倒な事になるから、放棄を決定した。


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この後の話・・・ インゴッドの法衣を回収するための、ヤツが、資金不足故に、一人一人、やって来るぞ。 基本的には全てイチロウに返り討ちにされる。

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