表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺だってねこになる  作者: 夢辺 流離
6/16

本能 vs 理性

 「うははは、たーのしーい」


 どうにも精神と肉体は影響しあっているようで、人間としての知性をもっていたはずの俺は今目の前のブツ(・・)から目が離せないでいた。



     ティッシュペーパーである。


 言うてそれはただのティッシュペーパーでしかなかったのだ。


  ……気まぐれの風が揺らすまでは。


 ヒラヒラと揺らめくティッシュが視界に入った瞬間、こう抗えない衝動が起こり、気づけば箱の上に乗っかり銜えては引き抜き爪で引っ掻いては撒き散らすのだが、これが何とも心が踊るのである。宙を舞う残骸を追いかけてはねこパンをするのだ。


 だが、そんな夢のような時間は永遠には続かない。そう、ティッシュペーパーが底をついたのだ。


 そうなると急速に高揚感が薄れていくのだった。そう、賢者タイムのように。ああ、うんもう俺には縁がないんですけどね。ハハっ。


 と、誤魔化してみても目の前の風景は変わらない。ビリビリになった憐れな夢の欠片たちは消えたりはしないのである。


 そうだ!とりあえず証拠隠滅だ! 残骸を箱に押し込んでどこかに隠せばティッシュはどこだったかしら? で済むはず……。


 我ながら天才! 完全犯罪ではニャイか!


「かぐやちゃん、何をさっきからニャウニャウ言っってるのかしら?」


 ビクッと全身の毛が総毛立つ。

そろーりと振り返るとそこには笑顔のご主人ガガガ。


 俺はそ~っとティッシュの空箱にその身を隠し顔だけを出して見上げてみた。


 ご主人の動揺が感じられる。これでなんとかごまかせたかっ!?


 首根っこを抓まれた俺は足をぶらんおさせながら引っ張り出された。


「悪い子にはおしおきしなきゃね♪」


  この後、めちゃくちゃモフられた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ