人の心を持ちながら野生の本能に目覚めた
「うにゃぁああ」
俺は頭を抱えて地面をのたうち回っていた。
最近の我が身を振り返ってみたのだ。
「うにゃあぁあん」
俺は再び身悶えした。
本能のままに寝て食べてゴロゴロ。
いや、ねこたちを否定しているわけじゃあない。
ただ俺はただねこではないのだ。
もしかしたらそれは恐怖だったのかもしれない。
自分自身が失われていくことにの。
俺は身体を起こして顎に手を当てて考える。
「(与えられるままになっているから駄目なんだな。お世話になるのはどうしようもないにしても、だ。何か俺も返せばいいのではにゃいか)」
案外悪くないような気がしたのである。
「(ご主人は結構ご飯を食べたり食べなかったりしてあまり健康に良さそうではない。そのへんをにゃんとかできにゃいだろうか)」
「(……いや、駄目だ。ねこの手は本家だけに得意だが、包丁は両手(※前足)で持たざるを得ないのである。あー、自分不器用ですからー)」
再び地面を転がり悶えるのだった。
執筆が行き詰まり紅蓮は腕を上げながらん〜っと体を伸ばし、そしてキョロキョロと辺りを見回す。執筆に集中している間の時間の経ち方は異常だ。手が止まった時に確認をするのだが。
顔を手で覆ってうにゃうにゃ言いながら転がっている耀夜ちゃんの姿が視界に入る。何をしたいのか全くわからないのだが、
「馬鹿可愛い│《ばかわいい》……♡」
思わず口をついて出た。
それからも見続けていたが、意外と表情豊かというか百面相していて全身の動きと相まってコロコロしていて可愛いのだ。
フゥ、と一息ついた紅蓮は、
「もう一書きしますか」
肩のと表情の力を抜いて再びノートパソコンに向き合うのだった。
※※※ 調理をするのは衛生的に問題があるので良いねこ│《子》も悪いねこ│《子》も真似しないでください ※※※