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パラレルワールドのエンディング(3)

司令室で、

進士司令官の壮絶な最後を

見届けるメンバー一同。


「悲しむ者はいるのです…。」


進士司令官のあまりの悲壮な最期に、

財前女史は涙を流しながら呟いた。


『高いお志を貫こうとするあなたのことを

ずっと敬愛しておりました。

あなたのお志がわかればこそ、

私自ら気持ちをお伝えすることは

ありませんでしたが。

心からお慕い申し上げておりました…。』


一条女史が、財前女史の心中を察し、

彼女の肩にそっと手を置く。


「本当に最低だよねー、

独善的でひとりよがりで、

身勝手で自分勝手で、

思い込みが激しくて、

人の気持ちが全くわかってなくてー」


「これだけ長い間

みんなと一緒にいたのに、

自分の殻に閉じこもって、

勝手にずっと独りで生きていると

思い込んでるんだがら、

あたし達が仲間だって

わかってなかったんだから、

もうどうしょうもない、

救いようがない大馬鹿野郎だよー」


「……。」


気の弱い真田特務官は

青ざめて今にも気絶しそうである。


極道の大親分は黙って司令官を見送った。


『自ら最後の死に場所として

大層な大舞台をこさえなさったもんだ。

その散り際、見届けさせてもらいやすぜ。』


「あんたのこういうところ

あたしはどうかと思うよ。

でもこれがあんたの信じる道だと言うなら、

仕方ないさね。」


彩は天野傍らに寄り添う。


「進士さん、

あなたは常に非情に徹し、

信念を貫き続けた。

あなたがいなければ、

あなたがつくった

この非人道的な地球防衛軍がなければ、

人類は今まで生き残って

来られなかっただろう。」


「でも俺は俺の道を行くよ。

嫁と子供をつくって、人を愛し、

生命をつなぐよ。

お天道様に恥ないような、

人の道を歩むよ。

この生命を全身全霊で謳歌するよ。」


天野司令官代理がそう言うと、

彩は天野の胸に顔を埋めて泣いた。



青い空に光輝く粒子が無数に漂い、

神秘的で美しい光景を見せていた。


その粒子も次第に消滅していき、

最後には青い空だけが広がっている。


そして人々は、本能的に感じる、

神を失ったことを。


-


これは平行世界に存在した結末、

エンディングの一つ。


この物語は、地球防衛軍日本支部が

人類最後の日を阻止するまでの長い道程と、

メンバーの本当はゆるい日常を記したものである。


これから先、

今回の彼等がどうなるのか、

パラレルワールドであるが故、

この世界でも再び同じ結末となるのか、

全く異なる結末に辿り着くのか、

それは誰にもわからない。






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