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パラレルワールドのエンディング(2)

地球防衛軍日本支部・進士司令官は、

自らの肉体を、

対高次元エネルギーシステムの

生体ユニットとして組み込み、

千載一遇の時を待っていた。


「常にすべての次元を見ている彼には、

見え過ぎているが故に見えないことがある。

ギリギリのその時まで彼に気取られぬように

細心の注意を払って、機を窺うんだ。」


進士司令官は『ドクターⅩ』の助言をもとに、

対『デウスエクスマキナ』兵器をすべて

低次元に偽装して隠し、

『デウスエクスマキナ』の目を

掻い潜ってきていた。



日本列島の数千メートル上空に、

この世界と超空間をつなぐゲートを出現させ、

そのゲートの中から

姿を現した『デウスエクスマキナ』。


数千メートルにも及ぶその姿は、

雄大で、半透明に光輝いている。


空を覆っているにも関わらず、

地表を影で覆うことはなく、

後光で地上を輝く光に包み込む。


まさに人がイメージする

神そのものが降臨したかのようである。



やがてその姿の胸部に光りが集中しはじめる。


「『神の雷』が来るぞ!」


「高次元エネルギー消滅フィールドを展開しろ!」


地球防衛軍日本支部、

司令官代行・天野正道は叫ぶ。


胸部への光の集中が

極限にまで達した時、

地上に向かって

大量の高次元エネルギーが放たれ、

それは巨大な光の柱『神の雷』となって、

地球に突き刺さろうとする。


直撃すれば、

地球に巨大な穴を空けて貫通し、

そのまま地球を崩壊させる程の威力である。


天野の命令により、

広範囲に展開された

高次元エネルギー消滅フィールド。


ほぼ日本列島全土を網羅するほどに

その範囲は広がる。


『神の雷』がフィールドに激しく衝突し、

その瞬間、日本列島全土が閃光に包まれる。


その閃光が数十秒続いた後、

『神の雷』は止む。

だが地球は破壊されてはいなかった。

消滅フィールドはそのエネルギーを

すべて受け止め消滅させたのだ。


司令室からは歓声があがる。



そして人類の反撃がはじまる。

大量にエネルギーを放出し終え、

動きが止まった一瞬、

それが人類に残された唯一の好機。


低次元に偽装され隠されていた

対『デウスエクスマキナ』兵器が解放され、

その姿を現す。


一次元の点が線となり、

その二次元の線は全体像を描き出し、

さらにそれは質量を持った

三次元の立体へと変換されていく。


成層圏上に建造されていた、

この世界と超空間をつなぐ巨大な人口ゲート。


そのゲートの中から、

高次元エネルギーを消滅させる

対エネルギーによって形づくられた

巨大な『神殺しの剣』が出現する。


進士司令官は、

システムに蓄積されている

エネルギーのすべてを

『神殺しの剣』に注ぎ込んだ。


「今この時をずっと待っていたのです!」


「私の使命・役割を果たすべきこの時を!」


過剰なエネルギー変換に

システムは暴走して壊れる寸前である。


システムの生体ユニットとなっている

進士司令官もまた苦痛のあまり絶叫する。


しかし彼の狂気にも似た執念が、

『神殺しの剣』に宿り、

成層圏から放たれる。



「神に等しいあなたを倒し、

『神殺し』を以って、

私の非道はようやく完結するのです!」


「私には親兄弟もおらず、家族もなく、

愛する者も師も友も持たず、

私の死にも悲しむ者は誰もいません。」


「信念を貫くために非情に徹する、

それだけをただひたすらに想い、

そのためだけに私は生きてきたのです。」


「私の使命・役割を果たすために!」


「今この時こそが、

私が果たすべき、

使命・役割なのです!」


進士司令官の断末魔にも似た叫びが響き渡る。


成層圏から超高速で落下した『神殺しの剣』は、

そのまま光り輝く高次元生命体の主

『デウスエクスマキナ』の胸部に突き刺さる。


本来、『高次元生命体の主』も

『神殺しの剣』も実態を持たぬエネルギー体。


対消滅エネルギーである『神殺しの剣』が、

高次元エネルギーの塊である

『デウスエクスマキナ』を消滅させる。






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