表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/104

異世界海賊団

しばらくすると船員が船長室に駆け込んで来る。


「キャプテン、

正体不明の船団が

こちらに向かって来ます。」


船員の報告を聞いても

落ち着き払っている潮崎。


「かあ、また海賊船かよ。

父つぁんも随分タイミング悪い時に

乗っちまったなぁ。」


「いやいや。

うちの船がつけられてたわけじゃねえでしょうが、

ここいらの海域ってことは

うちらの世界の奴等ですかね?」



潮崎と父つぁんが甲板に出ると、

海賊船十隻がこちらを取り囲むように

近づいて来ていた。


「ああ、ありゃうちらの世界の船じゃないですわ。

うちらの世界の船はたいがい魚型だったり、

水棲生物の姿してますんで。」


潮崎は船の形状を一目見て察した。


「わかってるって。

形状からすると仮称・ファンタジー異世界の

ヴァイキング船じゃねえかな。


こちらを単なる貿易船だと踏んで、

積荷を略奪する気なんだろうぜ。」



「接舷されて乗り込まれると厄介だからな。

早々に穴空けて沈めちまうのが得策だな。」


「沈めちまうってどうするんです?

機銃くらいしか武装もなさそうですが」


「まぁ、見てなって」


「お前らやるぞー」


潮崎がそう叫ぶと、

船員達はアイ・サーを叫び

戦闘配備についた。


「バトルモードなー」


船体の甲板が何箇所か回転し

小さな武装が出現する。


同様に船体側面などからも

武装が現れる。


「旦那、ちょっとこれでは

小さくないですかね」


「ここから、ここから」


父つぁんの反応を他所に余裕の潮崎。


「よし!」


「多次元質量シンクロシステム起動!」


武装に組み込まれている

多次元につながるゲートが赤く光輝き、

巨大化をはじめる。


「これこのまま船沈みませんか?」


父つぁんは心配そうに

きょろきょろ辺りを見回す。


「大丈夫だって。

重量がギリギリまで重くなるから、

ほとんど動けなくなるけどな。」


武装の巨大化を遂げた船団。

それは軍艦、バトルシップに等しい

攻撃力を備えていた。


バトルシップ船団からは

次々とミサイルが発射され、

砲撃がひたすら繰り返された。


敵海賊船団は成す術もなく、

すべてが撃沈された。


巨大ドラゴンを

小型化させることに成功した地球防衛軍は、

多次元質量シンクロシステムの

生命体以外への応用、実用化を進めていた。


安全性の面では

むしろ機械のほうが生命体より向いていた。


ただこれはもともと大型サイズのものを小型化し、

元に戻すだけであり、

最初のサイズを越えて巨大化させることは

現時点では出来ない。


故に武装も最初から

巨大サイズにつくっておかねばならず、

最大化した際の重量や強度を

計算して設計がなされていなくてはならなかった。



沈み行く敵海賊船団の船員達は海に飛び込んだ。

海中の敵船員達を、潮崎の船団は拾いあげた。


「こいつら連れて帰ったら

拉致ってことになるのかね?


それだったらもう一回海に放り込むんだが。」


潮崎は真顔で考え込んでいた。


「異世界犯罪者ですし、救命活動ですし、

大丈夫なんじゃないですかね。」


そうアドバイスをした父つぁんを見て、

思い出したように潮崎は言った。


「この船の秘密は

くれぐれも内緒で頼むよ父つぁん。


そっちの軍部に知れたら

偉いことだからな。」


「分かってますって旦那。

商売は信用第一ですから。」


「しかし、あっしだったら

二度とこっちの世界と

戦争なんぞしようとは思いませんけどね。」






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ