サバイバル
ロボット軍団を退けはしたが、
その被害は甚大。
防衛軍だけではなく
東京がほぼ壊滅状態。
街が瓦礫の山となっており、
電気、水道、ガスと言った
ライフラインが全く使えない。
都内は瓦礫の山で
車両が入ることさえ
まだ出来ない状況。
そんな状況下であっても
更に敵に狙われる可能性もあるため、
進士司令官と財政女史は
西にあるバックアップ基地に移り
敵襲に備えることになる。
天野と一条女史は
ここに残り後始末と
再建を担うことに。
防衛軍メンバーの
衣食住すら心許ない現況、
避難所への避難や
一時帰宅という案もなくはなかった。
しかしそもそも帰る場所など無い
と言う者が多い防衛軍のメンバー達、
廃虚になったような防衛軍基地だが
彼等にとっての居場所はやはりここであった。
結局しばらくここでみんなで
サバイバルのような
暮らしをする羽目になる。
天野は当然懸念した。
そもそもここの構成員は
反社会的勢力・団体、社会不適合者、
アウトローに無法者、
社会的弱者等々の人々であった。
さらに今はゾンビ兵やら異世界人やら
幽霊に大型生物など
収集がつかないことになっている。
彼等を拘束するものがなくなり、
文明社会を排除したかのような
こうした原始的な生活になれば、
彼等の野生や闘争本能がムキ出しとなり、
争いや諍いが絶えず、
力こそすべてと言わんばかりの
力が支配するような、
そんなことになるだろうと。
少なくとも自分が赴任して来た時は
間違いなくそんな雰囲気に
満ち溢れていた。
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しかしそれは
天野の杞憂に過ぎなかった。
みんなが互いに助け合い、
きちんとコミュニティの
共同生活を行なっていたのだ。
それぞれ各自の得意分野を活かして、
水を確保しに行く者
食料を調達してくる者、調理する者、
子供達の世話をする者、
瓦礫撤去などの力仕事をする者などなど、
役割分担を行い、
各自がちゃんと働いている。
大型生物も瓦礫や荷物の牽引などに
使われ重宝されていた。
国防軍を手伝い東京都内の
瓦礫撤去などをすることも多かった。
天野は自分が赴任して来た時との
あまりの変貌ぶりに驚いたが、
同時に少し嬉しくもあった。
ここでの五年以上の生活、
寝食を共にする中で
みんなが仲間を意識を持ち、
コミュニティの一員となり、
互いを助け合うまでになっていたことが。
殴り、脅し、恫喝して
人の物を奪い、人の命を奪う、
そんな屑から、
酒と女とギャンブルに金を使い果たし
酔っ払って暴れたりもするが
情に厚くて涙もろい
憎めない屑ぐらいに、
いつの間にか彼等は変わっていたのだ。