ロボット兵、強襲!
それは突然の出来事だった。
地球防衛軍本部内、その動力室に
何の前触れもなく
突如として出現した人口ゲート。
そこから姿を現すロボット兵、
その数は五体というところか。
あまりに突然の事に
動力室にいた隊員達は
成す術もなく命を落とし、
基地の動力源は
次々と破壊されて行く。
異世界人による
地球防衛軍基地本部強襲。
-
基地内の電気が落ちて真っ暗になり、
非常警報が鳴り響いて、
警報ランプだけが赤く光り続ける。
緊急時のバックアップ用電源だけが
辛うじてわずかな電力を
供給しているだけで
他は一切電気が使えない状態。
基地内は騒然となり、
人々の間に緊張が走った。
「侵入者かっ!?」
司令室にいた天野が
咄嗟に口にする。
これだけセキュリティに関しては、
万全を期して来たというのに、
さすがに人口ゲートをつくって
動力源を強襲されたとあっては、
如何ともし難い。
バックアップ用電源のほとんどは
その膨大なデータを収める
データベースサーバーに割かれたが、
他に辛うじて動いている
基地内のシステムが
侵入者の位置を確認する。
各チームのメンバー達が、
基地内を走って動力室へと向かう、
闇の中で赤い警報ランプだけが
彼等を照らし出している。
動力室に彼等が駆けつけた時には
ロボット兵は既に基地内を移動し、
他の施設も破壊しはじめていた。
基地内の薄い暗がりの中に、
ロボット兵のガシャガシャ
動く音が響いていく。
-
基地内の引きこもり居住区で
相変わらず引きこもっていたトモヤ。
室内の電気が突然落ちて暗くなった時
最初は『停電かな』ぐらいに思っていた。
しかしいくら待っても一向に
電気が着く気配はない。
トモヤがここに引っ越して来てから
一度もなかったようなことだ。
何か嫌な胸騒ぎがするトモヤ、
ただならぬ気配を感じ、
思い切って部屋のドアを
手動でそっと開けてみた。
するとドアの向こう、
真っ暗な闇の中から
ガシャ、ガシャ、という
機械が動くような音だけが聞こえて来る。
闇の中に潜んでいる何か。
そのガシャ、ガシャという音は
確実にこちらに向かって近づいて来ている。
目がまだ闇に慣れていないため、
トモヤには何も見えない、
ただ音が聞こえるだけ、
体はドアの取っ手を握り締めたまま
固まってしまって動かない。
額から冷や汗が流れるトモヤ、
息詰まる緊張感に
ごくりと唾を飲み込むと、
闇の中に巨大な赤い目が二つ光る。
それは暗過ぎて全く気づかなかったが、
トモヤのすぐ目の前に立っていた。
-
その頃、天野と石動達は
ロボット兵達と交戦、
既に白兵戦が始まっていた。
彩をはじめとする
『チーム色道』の女衆は
子供達を基地内の
シェルターに連れて来る。
「いいかい。
あたし達がここを開けるまで、
絶対ここから出てきちゃいけないよ。
ここはこのムショの中で
一番頑丈なところだからね。」
彩は気丈な中にも
少し申し訳なさそうな表情を浮かべ
子供達にそう言って聞かせ、
シェルターの扉を閉めた。
破壊光線を発射するロボット兵、
崩落などの被害を懸念した天野達も
レーザー光線銃でこれに応戦。
ロボット兵は散り散りに
基地内を逃げて行き、
防衛軍メンバーはこれを追って行く。