ドラゴンマスター
「やっぱり彼女は君の予想どおり、
君達より次元が高い生命体だったよ」
博士の言葉に、
一条女史は腕を組みながら頷いた。
「やっぱりかー」
「どういうことなんですか?」
天野にはわからないことばかりであった。
「ドラゴンちゃんは、
無暗に人襲わないし、
物を壊さないように注意してたし、
知性が高いんじゃないかなー、
とずっと思ってたんだよねー
仮称・ファンタジー異世界では
どうかわからないけど、
この世界では竜とかドラゴンは神様だったり、
悪魔だったりするからねー
中には人の姿に変化する場合も
あったそうだからー
もうそれって博士と一緒じゃん、
と思ったんだよねー
うちらより次元が高いんじゃないかなー
ってねー」
一条女史の説明に天野と財前女史は感心する。
博士は彼女の次元の高さについて補足説明する。
「彼女も少し練習すれば、
僕みたいに自在に肉体を乗り換えることが
出来るようになるかもしれないね。
将来的には人の姿にも
変化出来るようになるかもしれないよ。」
「僕も彼女の記憶はなるべく
スキャンしないように気をつけたんだけどね、
プライベートな問題で
ハニーちゃんに怒られるから。」
『それ出来るならもっと最初からやれよ!』
博士の意外なスキルの真実に
心の中で突っ込む天野。
「彼女は古代竜族の中でも
かなり高貴な身分だったようだね、
王族みたいだったよ。」
「やだー、あたしついに
王族に友達出来ちゃったー?」
「でも、メスというか
女性だって何でわっかったんですか?」
「そりゃ女同士だからねー」
「うーん、私はわからなかったけどなぁ。」
「まぁ薫ちゃんは男前だからねー」
-
博士に通訳として入ってもらい、
小型化したドラゴンちゃんと
和解を果たした一条女史。
今回の件で、
彼女達の間には強い信頼関係が
築かれたようであった。
肩に和解した小型ドラゴンちゃんを乗せて歩く。
「これで私も〇〇〇〇マスターだねー」
「それ実名出したらダメな奴ですよね?」
天野はとりあえず突っ込む。
「やーい、引っかかったー、
ドラゴンマスターでしょー、そこはー」
「初心者だからドラゴンテイマーでしょ」
その後、ドラゴンちゃんは思念を
この世界の言語化して
発することが出来る装置を、
一条女史の手で角に付けてもらい、
この世界の人間との
完全なコミュニケーションが図れるようになる。
小型化したドラゴンちゃんは
平時にはムショのマスコットとして愛でられ、
戦争には巨大化して防衛軍の強力な戦力として
活躍するようになって行く。
彼女が人間態を獲得した後は、
『お竜ちゃん』『お竜さん』などと
呼ばれるようになる。
かくして地球防衛軍日本支部は、
巨大生物兵器を平時には小型化することで、
運用管理して行くことに成功する。
そして将来的には
小型化した巨大生物兵器で
ムショ内が溢れ返って行くことになる。
また異世界に潜入している工作員には、
強力な大型生命体を
モンスターハントしてくるように
指令が下るのだが、それはまた別のお話。