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ゾンビと引きこもり(4)

「あー、

寝ちゃってるねー」


防衛軍幹部である一条女史と春日は

倒れている少年の顔を覗き込む。

春日は親身になって

少年のことを心配している様子。


「まぁ、

ちょうどよかったんじゃないかなぁ、

潮時だったよねぇー」


「力に溺れそうになってたしぃ、

テロ関係ない異世界人亡命者とかも

襲ちゃってたしぃー」


「まぁ、

ちょっとゾンビ兵強化し過ぎちゃった

というのはあるかなぁー」


バイオロイドとされていたのは、

地球防衛軍が研究を進めているゾンビ兵であった。


「まぁ、遺族のほうが

ゾンビ兵との同調率が高いんじゃないか、

という仮説は証明されたわけだしぃ、

脳波と思念の同調率は過去最高値だったねぇー」


防衛軍は『海底王国』で戦死した人間の肉体を

再生してゾンビ兵として蘇らせた。


だが魂を持たぬ彼らには、

彼らの魂の代わりを務める人間が必要となる。

その役割はゾンビ兵の遺族のほうが

より効果的なのではないかとして、

実験、データ収集が行われていたのだ。



「記憶消去ですかね?」


春日は心配そうに一条女史に尋ねる。


「そうなっちゃうよねぇー」


「同調率、過去最高値だから、

消去したくないんだけどねぇ、

ただ、このままだとトラウマ確定だからぁ、

最後の辺りだけでも消しとかないとねぇー」


「しかし最後に

ゾンビ兵がひたすら殴り続けたのは、

脳波によるものなのでしょうか?」


春日はゾンビ兵の最後の姿を見て、

一条に問う。


「そこはロマンでしょぉ、

意志のないはずのロボが、

操縦者を置き去りにして、

自ら敵のボスと自爆します、みたいなぁー」


「そこは普通に兄弟愛とかでいいだろ」


一緒について来ていた

防衛軍幹部の天野が突っ込む。


-


僕が目覚めると

春日さんが部屋に居て心配そうにしていた。


バイオロイドは既に

防衛軍が回収したということらしい。


最後に何かを見たような気がするが

よく思い出せない。



その後、

バイオロイドを使った仕事はなかった。


そして春日さんの勧めで

僕は防衛軍に引っ越すことにした。


何故だかすっきりした気持ちだった。

気持ちの整理が出来たのかもしれない。



僕は今も自分の部屋で引きこもっている。


僕が住んでる棟は引きこもりばかりだそうで、

食事は食堂のおばちゃんが

まとめて配ってくれている。


「みんなちゃんと食べなきゃだめだよー」


とおばちゃんは言いながら配る。


いつかおばちゃんに

お礼が言えたらいいなとは思う。



仕事は春日さんが持って来てくれる、

ドローンの遠隔操作とか、

ネットのステマとか、デバッグとか。


いつかまたバイオロイドを

操作出来ればいいなとも思う。


戦争で兄貴が死んで、両親も死んだ。

でもとりあえず僕は生きているようだ。






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