爆弾騒動
天野が大親分と話をしていると、
大量のグッズを抱えた一条女史がやって来る。
「天野っち、大変なことになりそうだよー」
「そんな大量にグッズ抱えてたら、
大変の説得力が全くないんですが」
「立ち入り禁止のロボット像に
触っている不審者がいたので、
注意しようとして近づいたら、
不審者は慌てて逃げて行って、
逃走途中で不審者は荷物を落とし行き、
その荷物の中身が爆弾ぽいもんだったー
というぐらいの大変さだよー」
「それ、本当に
すごい大変なやつじゃないですか!」
天野、大親分、一条女史の三人は、
急ぎ警備の待機所に向かう。
不審者が落として行ったという荷物というのは、
ケースになっており、蓋を開けると、
中には見たこともない装置が二個入っている。
装置には『15:00』の時間表示がされているため、
おそらくは時限爆弾であろうと推測された。
ケースは時限爆弾らしきものが
三個入るようになっているおり、
一個は既にどこかに
設置されたのではないかと思われた。
会場警備に当たっている
『チーム極道』の若頭と下衆は、
既に不審者の追跡と
爆弾設置箇所の探索にあたっている。
天野は即決で大親分に興業の中止を申し出る。
「大親分、顔を潰して申し訳いのですが、
ここは一旦中止して、一般市民の避難を
優先させてもらえないでしょうか?」
「おう、わかってるって」
親分は二つ返事で了承してくれた。
「恩に着ます」
その後迅速に
天野は来場中の数万人を避難誘導するように
下衆に指示を出す。
その間に、一条女史は
爆弾処理のエキスパートを急行させるように
ムショに連絡する。
もし装置に表示されている『15:00』が
爆破時間だったとして、
時間までには後三十分しかない。
それまでに来場者数万人を
無事避難させることは出来るのか、
出来たとしても
そもそも爆破規模がわからないので
確実に安全とは言い切れない。
『犯人の目的はなんだ?』
『このイベントに
わざわざ爆弾を仕掛けるということは、
やはり異世界住人なのか?』
『異世界住人がここで爆弾によるテロを行うか?』
『異世界住人の行動原理はなんだ?』
『人間を狙うのか?人間をこんな方法で狙うのか?』
『いや、ロボットだ!』
天野は頭の中の考えをまとめる。
「異世界住人の仕業かもしれない」
いや天野の頭の中では
すでにそれは確定事項であった。
「『15:00』でロボット像と関連するもの」
天野がそう言うと、
勘のいい一条女史は即答した。
「『15:00』になると、
動いて光るロボット像が一体だけあるよー!」
「あたしも絶対見ようと思って
チェックしてたやつだからー、間違いないー!」
「それだっ!」
天野の指示で該当するロボット像が
徹底的に調べられた。
「天野っち、見つかったよー!」。
これ以上探索に時間をかけていたら
確実に間に合わなかった。
見つかった装置は、
他の二つと明らかに違い、
光が点滅を続けている。
やはり起動しているのだ。
「でも、こんな見たことない物、
爆弾処理班でも処理出来ないってー」
続け様の一条女史からの悲報だった。
「こんなこともあろうかと、
高速艇を海岸で待機させております。」
若頭の頼もしい言葉に二人は歓喜した。
「若頭、グッ、ジョーブー!」
「ありがとうございます!」
「多分、壊すことになりますけど」
「構いませんから、早く行ってくださいませ。」