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非人道的地球防衛軍とゾンビ兵  作者: ウロノロムロ
第一次海底王国戦争・前哨戦
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侵略の絵面

「もし攻め込むとしたら、

まずはどうしますかね?」


「まぁ、まずはやっぱり東京から攻めますかね。」


「富士の麓も人気あるんですけどね。

そこには研究所もパリンと割れるバリヤーもないって

言ったら、みんな残念がってましたわ。」


「工業地帯なんかも

定番の侵略スポットなんでしょうけどね。

ほらうちは水系だから、

火を使ってドカーンと大爆発とか

無理じゃないですか。


そういうのがないと

絵面が地味になっちまうなぁ、

なんて嘆いてましたよ。

絵面は大事ですからね。」


「絵面は大事ですか?」


「大事ですよ、そりゃ。

他の勢力の奴らにも

見せつけてやる必要があるわけですからね。」


「いっそ旧埋立地跡にある

ロボット像を倒して見せたら、

インパクトあんじゃねぇかって話ししてましたわ。


あれは異世界の住人からしたら

今一番注目されてる侵略スポットですからね。

みんなあの像を倒したくてうずうずしてまますよ。」


-


その後は、酒が入ったこともあってか

魚住さんはほろ酔いで終始上機嫌だった。


魚住さんが帰ることになり、

彩姐さんと天野は地下の入り口まで見送った。


地下入り口には運転代行業者が待機していた。

おそらくはそれも軍関係者の偽装であろう。


「とても大事な人なんだから、

ちゃんと送り届けておくれよ。」


彩姐さんは魚住さんにも聞こえるように、

運転代行業者に向かってそう言った。


運転代行業者が敬礼しそうになって

慌てて右手を左手で押さえるという

ハプニングもあったが、

幸い魚住さんには気づかれなかった。



彩姐さんはその大きくつぶらな潤んだ瞳で

魚住さんの目を見つめ、

魚住さんの両手を、

白く美しい両手でしっかりと握りしめた。


「この後まだ仕事だから、

ここですまないんだけど」


「今日は本当に助かったよ。」


「恩に着るよ」


「ありがとね。」


彩姐さんは感謝の気持ちを伝えるかのように、

握りしめた両手を軽く上下に二、三度揺らしながら

そう言った。


「なぁに、こっちの世界の人間が

みんな死んじまうってことは、

彩ちゃんも死んじまうってことじゃねぇか」


「彩ちゃんが死んじまうのは

さすがの俺も見過ごせねぇなぁ」


酔って多少気が大きくなっている魚住さん。



「気持ちばかりだけど、お礼をね。

いつもの方法で受け取っておくれよ。」


「なんだったら彩ちゃんの体で

お礼してくれったっていいんだよ?」


「もうやだぁ、魚住さんたら、面白いんだがら」


魚住さんに快心の笑顔を見せる彩姐さん。

見送りでは魚住さんの姿が見えなくなるまで

快心の笑顔のまま手を振り続けた。






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