機関入りテスト!!
西暦2250年、人類は新たな時代を迎えていた。
身体の一部を剣、銃に変えたり身体から炎や氷、電気を発生させることができる人類が現れたのである。これは、時を同じくて宇宙より飛来した隕石が原因であると考えられているが、詳細はいまだ謎である。
各国家はこの「新人類」を脅威とみなし、それぞれが管理することにした。
これが「エイジス」である。エイジスは新人類を各国家の力とし、学校などでの育成環境を整え、将来的に国のために働く人材育成を目標としている。見返りは莫大な報酬である。
「……っと…これが、エイジス発足の起源と理由かぁ…国の希望たって怪我とかするもんなぁ…」
「文句ばっかり言わないの。立派な仕事なんだから。」
俺はパンフレットを読みながらため息まじりに呟いた。
そう、俺こと「黒崎かなめ」はエイジスに入るためにここにテストを受けに来ている。幼馴染みの「鳳楓」と一緒にだけど。
「ほら、はやくいくよ。テスト遅れちゃう」
「あーはいはい……」
俺は逃げられないことを悟ってため息をつきながらもしぶしぶ楓の後をついて歩いている。
それから5分ほど歩いた頃、テスト会場に到着し、テスト内容の説明を受けて待合室で開始時刻を待っていた。テスト内容は二人一組でペアを組んでの模擬戦闘。勝った二人が晴れてエイジスに入れるといったものだった。
「いやー、テストが実戦形式で二人一組の模擬戦ってわかりやすくていいな」
「わかりやすいけど……周りの人達みんな強そうだよ?」
ーー確かに。筋肉がすごいのからもう刀持ってるのもいるし、拳銃とかも平気で持ってる。これ下手したら普通の人間なら死ぬんじゃなかろうか……?そんなこと考えながら冷や汗かいてたら楓が話しかけてきた。
「かなめ、作戦考えよっか?」
いや楓さん。対戦相手発表されてませんから。作戦考えれませんから。緊張してらっしゃいますねこれは。まぁでも、作戦とか一つしかないわけなんだけど。いのちだいじに!これに限る!
そして、テスト開始時刻がついにきた。
「かなめ、頑張ろうね」
「やるからには勝つよ。お、試験官きたよ」
「試験官の渡辺です。よろしく。さっそくですが、ペアの代表者にくじ引きをしてもらいます。同じ色のくじがそれぞれ2つ入ってますので、同じ色のペア同士で競っていただきます。」
ずいぶん適当に組み合わせ決めるんだな。楽でいいけども。代表者はもちろん楓。弱そうなやつと頑張って当ててください。
周りはだいたい引き終わったころ、楓の引く番が来た。引いたくじは緑。緑のペアは……筋肉むきむきでいかにも接近戦って感じのペアか。うーん、暑苦しい。
「それでは、戦闘開始してくださーい」
戦闘開始の合図が軽い!めっちゃ軽い!
「うおおおお!!!!」
合図と同時に、マッチョくんたちはその体格に似合わない凄まじいスピードで距離をつめると同時に左のジャブを的確に放ってきた。
「うお!?」
間一髪でかわし、距離をとる。こいつらは身体能力を強化できるタイプの能力だと今のでわかった。楓も向こうの能力は理解した様子で日本刀を出現させた。
相変わらずすごい力だな……俺は楓の能力を見ながら改めて思う。楓の手の中にある日本刀は、今や誰も創るのことできないと言われている。それを楓はイメージだけで作る。日本刀以外でもイメージできる無機物ならなんでもつくれる。つまりわかりやすくいうと「創造」である。
まぁでも、楓はなぜか剣しか作らない。けど威力は抜群にある。
「かなめ、私たちもいくよ!」
「ん、わかった。……あ、でもお前は攻撃すんなよ。死ぬから。」
「え……?あ……!そっか、私が攻撃したら大事になるかもだ……!」
「気付くの遅くないか!?まぁ俺に任せといて!」
マッチョくんたちには悪いけど、俺もエイジスに入らなきゃならない理由がある。負けられない。
「よしこいマッチョくんたち!俺が相手だ!」
マッチョくんたちが一気に距離をつめ攻撃をしかけてくる。的確に急所を狙ってくるいい攻撃だとは思う。それをすべて紙一重でかわす。はらう。とめる。そしてマッチョくんたちがへばるのを待つ。それをしばらく続けた時、マッチョくんの一人が呟いた。
「なんで一発も当たらない……!?」
「俺の能力はちょっと特殊でね。「零式」っていうんだ。まず、身体能力を今の身体で出せる限界まで引き上げる。それから脳からの指令をパスして直接身体を動かせるようになるんだ。脳からの指令がない、つまり0だから零式って呼んでるだけなんだけどさ。」
「つまり俺達の攻撃はお前には……」
「うん、一生当たらない。だから諦めて降参してくれると助かるんだけど。じゃないと楓が攻撃しなきゃになるから、そしたら君たちの腕落ちるよ?」
「お、おどしても無駄だぜ?そんなお嬢ちゃんにそんなことできるわけな」
「できますけど?」
楓はマッチョくんの言葉を遮るように満面の笑みで刀をふるった。それと同時に飛ぶマッチョくんたちの両腕。ほんとに斬り落としましたよこの子。
「あぁああああ!!!!!」
叫びながらのたうちまわるマッチョくんたち。まぁとりあえずこれで戦闘続行は不可能だし俺達の勝ちでいいんだよね。テストは終了だ。そんなことを考えていると試験官が拍手しながら入ってきた。
「おめでとうございます。あなたたち二人はこれでエイジスに入れますよ~。入校の手続き等ありますので、来週の金曜日にまたきてくださいね~」
試験官がいなくなったあと、俺と楓は喜びながら手をあわせた。
「かなめ、やったね!」
「おう!……けどお前はやりすぎな。」
こうしてなんとかエイジスに入校することになった俺と楓。
エイジスはどんなところなのかわからない。けど目的のためには入らないとならないところだった。だから入る。
てもできれば静かにエイジスでの生活を過ごしていきたい……!!