I wanna look you
激しい意図しない事後のあと、意識が飛んだ。
消える刹那、暖かい匂いが包んだことだけは覚えている。
「見るな!!」そう叫んでもあなたはなんで、その手を離してくれないの。
また暗闇に落ちた。
「おはよう……クロア」
潤んだ瞳でこちらを見るクロア。
フェロモンの出し過ぎで身体が痛い。
襲われるのには慣れているけど彼女が、クロアが出来てからはそれも怖くなった。
ベッド脇には母さんと父さんがいる。
俺によく似た顔立ちの母さん。
Ωなのに頭がよく回り、α選抜コースに所属するほどの頭脳。
自分には似なかった。
クロアはグレーがかった髪と漆黒の瞳を持つ変わったαだ。
母親がイギリス系らしく、こんな顔らしい。
俺は好きだけど外国人めいた顔立ちはいじめのネタになることも多かったと言っていた。
「この髪色でね、Ωだっていちゃもんつけられたことも多かったかな」
微笑む彼女の横で父さんが悲しそうな顔をした。
そうだ、父さんも同じような経験をしてる。
「こんなアタシでもいいの?」
出来損ないの女αで。
返す言葉は母さんと一緒。
「そんな卑下しないでよ。 僕はクロアのことが好きだ。 それじゃ足りない?」
「充分」
唇が僕の首筋に触れる。
番痕が残った。
これで僕はあなたのモノ。
「それじゃあチョーカー買いに行こうか」