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鬼面忍者 ~異世界冒険忍法帳~  作者: リナシ
三、忍術兵器の巻
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二十八段目 イントゥデンジャー



 俺がレファンテ大陸に来て約4ヶ月が経った。

 探索都市周辺は車隠じもとよりも夏の暑さが厳しかったが、それも去り、秋風が涼しくなってきた時期だ。


「すっかり日が落ちてしまったな。」

「思ったより長引いちまったからねえ。」


 昨日は遺跡に潜り、遺物を漁ってそのまま一泊。今日、遺物を運び出して、ギルドで査定を頼んだのだが……


「今まで誰も発見できなかった隠し部屋を見つけたもんだから、目ぼしい遺物だけでも結構な量だったからねえ。

 まったく、達蔵様様、カルヴァ様様だよ。」


 フレイスは、カルヴァが隠し部屋に気付き、俺が解錠したことについて言っているようだ。


「ですが、隠し部屋から湧いて出た木偶人形ゴーレムは、ほとんどフレイス様がお一人で片付けて下さいましたし……」

「カルヴァは魔導具の目利きもしてくれただろ?

 そこら辺も含めて、今回あんまり俺の出る幕がなかったな。」


 そうこう話しながら、いつも通り森に戻ろうと城門まで来て、いつもとは様子が違うことに気付いた。


「城門が閉まってるな。」

「あーー、忘れてた…… もう日が短いもんねえ。」

「そう言えば、探索都市ヤエナの城門は、日の出日の入りの時刻で開閉する決まりでございましたな。」


 この程度の城壁、俺なら乗り越えることはたやすいが、そこまでするつもりは流石にない。


「しょうがない、宿をとるか……

 懐は温かいし、折角だから良いとこに泊まろうか?」


 俺もカルヴァも、諸手を挙げて賛成した。

 野宿が苦ではないとはいえ、柔らかい布団が嫌いなわけではないのだ。



   ●●●



「そう言えば、山上様は"忍術兵器"という言葉をご存知でしょうか?」


 高級宿の一室、ベッドに腰掛けてくつろぎながらカルヴァがそんなことを言い出した。


「"忍術兵器"? なんだそりゃあ。」


 当然だが、そんな奇怪な単語に聞き覚えはない。


「ウィルフリドという王国ヴィラハのスパイがございましたでしょう。

 あくまで噂でございますが、ギルドが彼を尋問したところ、王国の諜報機関の目的はその"忍術兵器"の入手だとか。」

「胡散臭い話だねえ……」


 カルヴァはスパイをやっていた時の癖が抜けないのか、いまだに噂話を集めてくるのが好きだ。

 他人に言いふらして拡散したりはしないし、有益な情報が得られることもあるので好きにさせていたのだが……


車隠こきょうでもそんなモノは聞いたこともないし、もしそんなものがあるとするなら、山上源蔵が伝来した忍術をもとにこっちの誰かが作ったものってことになるな。」

「で、それはどんなシロモンなんだい?」

「さあ、正体までは何とも……

 ただ、ウィルフリドは何処にあるのかの目星はつけていたようでして。」

「へえ、何処にそんなものが?」


 フレイスは目を輝かせて話に食いついている。

 信憑性はともかくとして、噂話としてなら俺も少し興味がある。


「ヤエナ東部森林……手前どもが普段寝泊まりしている森でございますね。

 そのさらに奥、樹海内に魔導文明時代の神殿型遺跡があり、その地下に封印されているとか。」

「なんだ、そこならワタシが行ったことあるよ。」


 フレイスはこともなさげにそう答えた。


「マジでか?」

「大マジさ。

 ヤエナに来てしばらくは、修行も兼ねてあの樹海を探索して回ったからね。流石にあのクソ広い樹海全部を巡りきった、とまではいかないけど。」

「左様でございましたか……」

「で、地下も見たのか?」

「いや、地下があること自体、その時は気付かなかったね。

 でも、達蔵やカルヴァの目なら何か見つかるかも。」


 そう言われるとがぜん気になってくる。


「フレイス、場所は覚えているのか?」

「大体ね。地形が変わってなければ、行ってみれば思い出せるんじゃないかな。」

「よし、明日になったら行ってみよう。」

「話を持ってきた手前が言うのもなんですが、多分、与太話だと存じますけど……」

「万一本当だったら面白いだろ? 無駄足だったら笑い話にすればいいさ。」



   ●●●



 夜更け。感覚では多分午前3時ごろ。


「……。」


 俺は違和感をおぼえ目をました。

 この感覚は以前、オルフィが夜襲を仕掛けて来た時に似ている。

 だが、決定的に違う点がある。


(多いな……10人じゃきかない。)


 呼吸のリズムから、フレイス、カルヴァも目が覚めているのを確認。

 刀の鯉口を切り、向こうが踏み込んでくるタイミングを見計らう。

 1分後、ドアと窓を同時に蹴破り、襲撃者が乱入してきた。


「"凍結震脚アイスバーン"!!」


 即座に、フレイスが冷気を走らせる。

 襲撃者7人中、3人が氷に捕まり転倒した。


「フレイス、カルヴァ!! 敵はこいつらだけじゃない!

 増援が来る前に切り抜け、脱出するぞ!」

「OK、達蔵!」

あいわかりました!」


 忍者刀を振るい、踊りかかってくる敵をカウンターで一閃。赤いものがさっと散る。

 襲撃者の技量はさほどの脅威ではないようだ。

 振り向けば、カルヴァは影縫いで2人足止め、フレイスは氷のガントレットで一撃。

 第一陣を無力化したタイミングで廊下側から増援の足音が聞こえてくる。


「フレイス! 窓から飛び出した瞬間に飛道具が来るはずだ。左の防御を頼む!

 カルヴァは中央、敵を探し、教えてくれ!

 俺は右を警戒する!」


 2人がうなずくのを確かめ、鬼の面を装着。俺たちは窓から表通りへ飛び出した。



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