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アルカディアンズ 〜とある世界の転移戦記譚〜  作者: タピオカパン
猫の国の内戦(中編)
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敵防空網制圧作戦4


グレースランド内のNATO軍航空基地


犬耳と犬の尻尾を持つグレースランド人の国の内にあって基地の大部分はアメリカ軍やイギリス軍やフランス軍などが管理する治外法権要素の強い施設となっている。

元々はグレースランドの大型の民間空港だったようだが異世界転移以後はほとんど稼働していなかった

そこでNATOとの同盟関係を事実上結んだ後で利害関係の一致から好条件でアメリカ軍に貸与された。

その後、基地内に必要な航空基地設備を全て整えられたうえで宿舎や多目的施設が大量に建設された。

これらはミャウシアへ派遣されているNATO軍地上部隊の拠点として活用されている。

地球で言うところのキャンプ・レモニエに似た役割の基地だ。

実際、基地名もキャンプの名を冠していた。

ミャウシア政府軍やグレースランド軍への武器供与もここを介して行われている。



基地内のブリーフィングルーム


アメリカ空軍のパイロット達がブリーフィングルームに集まっていた。


「作戦を説明する」


飛行隊の司令官と派遣軍の作戦参謀、攻撃目標について詳しい士官などが作戦にあたる部隊員たちに説明を行う。


「今回の攻撃目標はロシア製の地対空ミサイルシステムと列車砲である」


「...列車砲だってよ」


あまりにレトロな攻撃目標に作戦説明中にも関わらず無駄口を叩く者がいた。

もちろん話は膨らませず軽く話しかけただけである。


「最優先攻撃目標はS-300PMU地対空ミサイルシステムの警戒レーダーと追尾レーダーだ。攻撃手順は従来同様だ。囮とジャミングによって敵を撹乱したうえでHARMによるミサイル攻撃を行う。今から資料を配布する」


各飛行隊員には資料が配られそれに目を通し始めた。


「参加しているワイルドウィーゼル部隊の諸君らなら知っての通りS-300PMUは大変危険な地対空ミサイルシステムである。おそらく最新式のS-300PMU2が配備されていると我々は考えている。S-300PMU2の監視レーダーのECCMは強力であり、中途半端なジャミングでは敵の索敵を撹乱してHARMの有効射程圏内へ接近することは困難だ。効果的なジャミングができないわけではないが今後の作戦のこともあり現時点での新しいECM信号は導入しない。よって今回は従来のジャミングと低空侵入攻撃を組み合わせた戦術を行う。では作戦手順を説明する」


戦術担当が作戦の説明を行っていく


「まず、ストライクパッケージはS-300対処部隊と列車砲対処部隊の二手に分ける。S-300対処部隊が先発として敵防空網に侵入しS-300を排除する。その後、列車砲対処部隊が残った短距離SAMを排除しつつ列車砲を叩く」


戦術担当は飛行ルートと戦術を戦闘機の模型、配った資料の地形図を使って説明していく。


「作戦内容は以上だ。質問は?」


「飛行ルートの地図の精度も心配ですが、その前に不明な点が。ミャウシア軍によるデコイ放出と言いましたが、彼女らは自立航行するデコイを持っているのですか?我が軍がITALD(ADM-141)を射出するのではないとするとどのようなデコイなのですか?やけに巡航速度が遅くて飛距離の長いデコイですが」



ミャウシア政府軍ニェボロスカ基地


飛行場のエプロンには20-30機程度の複葉機が並べられ、技師や整備士が機器を機体に取り付ける作業を急ピッチで行っていた。

機体は2機種あり、一つがイギリス軍のソードフィッシュ雷撃機によく似た特徴のない海軍の単発複葉機で、もう一つがポリカルポフ R-Z偵察爆撃機に似た陸軍の単発複葉機だった。


「19番機、自動操舵の取付完了」


彼女たちは攻撃機や爆撃機として使われる比較的大型の複葉機にオートパイロット装置と地球製の簡易慣性航法装置を取り付ける作業を行っていたのだ。

オートパイロット機能はミャウシアでも実用化しているが航続距離が長大な爆撃機や輸送機に使うのが一般的だった。

にもかかわらずミャウシア内でも旧式扱いの複葉機を集めてこのような至急の改造を施すのには理由があった。

これらの機体を地対空ミサイルシステムに対するデコイとして使おうというのだ。


今回の作戦はNATOとしては大きな軍事作戦を控えた戦闘なだけに台所事情が少し苦しいのだ。

できれば補充に時間がかかるからデコイをそんなに使いたくないのだ。

そこで考案されたのが重要度の低い中型機以上のミャウシア軍機を作戦空域まで操縦してあとは直線で自動航行させる無人機として使う戦術だった。

これは実際に実行されたことのある効果が実証済みの戦術だ。

デコイを配備するほど潤沢な予算が無かったり規模が小さい途上国軍が地対空ミサイル狩りに使うのだ。


ちなみに今回の作戦は敵に察知されないようきちんと箝口令がしかれ、作戦に関わる要員や作戦内容を知っている者はことが終わるまでニェボロスカ基地からは出られない。


ジェット機用のパイロットスーツを着たチェイナリンが複葉機の女性パイロットと話をしている。


「わざわざ将軍自身が戦場に出られなくても...」


「技能と経験が十分なのは私とアーニャンだけだから。他の訓練生の皆はまだ前線には出せない。大方は友軍が対処してくれるから補助に回る私たち四人で大丈夫」


「そっか...」


そう言うと複葉機のパイロットは複葉機に目線をやる。


「...」


チェイナリンも複葉機を見る。


「...言いたいことはあるよね」


珍しくチェイナリンから相手に伺うように話しかける。


「そりゃぁ...そうだね。一緒に戦ってきた相棒だからね。旧式だからって使い捨て機にされるのは少し癪に障るかな」


「...」


チェイナリンは複葉機のパイロットを見た。


「でもいいんだよ。この機体で戦い続けるのに限界を感じてたのも事実だったから。そろそろ訓練機としてしか使われなくなるなって思ってたし。この機体最後の戦果が新型の単翼レシプロ機であっても手も足も出ない強敵の共同撃破、なんて華々しい戦果が挙げられるならこの機体もきっと本望だよ。だから必ず作戦を成功させてもらいたいな」


「そうだね。そうしよう」


そして作戦は決行された。

かなり適当に書いてしまったので後で書き直すかも。

少しモチベががが...。

なんか躍動感がない説明の多い話が増えててすいません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙です 時代の流れによって使い潰される旧兵器。共に過ごした時間はただ個人の胸の中に残るのみ。 自分の機体を死地に送り出す複葉機のパイロットの胸中は察して余りあるものです。自分の機体が良…
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