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アルカディアンズ 〜とある世界の転移戦記譚〜  作者: タピオカパン
猫の国の内戦(中編)
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敵防空網制圧作戦3


反政府軍のとある航空基地


そこは政府軍のニェボロスカ基地と同様のジェット機が運用される近代的な航空基地だった。


滑走路へ入るための誘導路の周囲には盛土型の掩体壕がいくつも設置され、その中からジェット戦闘機が姿を覗かせていた。

ジェット戦闘機はソ連が開発したMig-29戦闘機だった。

NATOからファルクラムと呼ばれている戦闘機で格闘戦能力が高いが航続距離は短めな特徴を持っている。


他にもSu-25攻撃機の姿もあった。

こちらはロシア版A-10攻撃機のようなものだ。


掩体壕の脇の路面に木でできた折りたたみテーブルと折りたたみ椅子が置かれ、それに腰かけてのんびりするミャウシア人女性がいた。

ミラベルやゥーニャ書記と同じペイシャル族の色素の薄いふわふわした金髪の女性で、組んだ腕を頭の後ろに置きいかにも優雅にしている。

チェイナリンの元同僚であり、因縁の敵であるミンクス・アナスターニャだった。


そんな彼女に電話線を引きずりながら有線用の野戦電話機を持って歩いて近づく男性がいた。

彼女の部下であるニチェットだ。


「大佐、参謀総長様から間もなくお電話が入ります」


「そこに置いておいて」


しかしニチェットは持ったままじっとしていた。


「ちゃんと電話出ますから」


「...出ませんよね?」


「出ますって」


「では私がお取り次ぎます」


「自分でやりますよ?」


「でも無視されるおつもりですよね?」


「そんなことありませんよ。これは命令です。そこに置きなさいな」


「大佐の命令でもそうはまいりません。これは参謀総長様のご命令です」


「...はー、めんどくさ。これだから宮仕えを通り越した忠実なしもべってやつはいやなんですよ」


そう言うと電話が鳴り始めた。

ニチェットは直ぐに電話の受話器を取って返事する。


「お待ちしておりました。はい、大佐にお代わります」


ニチェットはそう言って受話器をミンクスに差し出した。

ミンクスは面倒くさいと顔に書いてあると言わんばかりのいやいや顔で受話器を受け取る。


「あー、もしもし?」


「やあ、元気でやってるかい?」


声の主はもちろんニー参謀総長だった。


「まあねー(ニャー)」


非常に気の抜けきった返事である。

参謀総長とミンクスは割とテンションがよく似ているのでお互いに話すとかなり砕けた雰囲気になる。


「それは良かった。こっちはタルル将軍の相手でうんざりしてるから誰でもいいから撃ち殺したい気分だよ」


「ふーん(ニャー)」


「そういう君だったら、このストレスをどう解消する?」


「そんなの簡単ですよ。そんな奴消しちゃえばいいんです」


「残念だけど物事には順序があるからね。用済みになるまではお預けなんだ。急がば回れってやつだよ」


「大変ですねぇ」


「そうなんだよ」


「それはそうと早く用件を済ませてくださいよ。こっちも忙しいんですから」


「おやおや。ミンクス、お前が働き者だったなんて全然知らなかったよ」


「買いかぶっちゃいけませんよ?こう見えて勤勉ですから」


ある意味、嘘であり、本当でもあった。


「そうだな。これからNATO軍が動くと思うんだけど。ミンクス、お前達は積極的に動かなくてもいいっていうのが今回の指示なんだ」


「はーい(ニャー)」


「理由はわかるな?」


「あい(ニャァ)」


「あと反攻作戦を記載した作戦書は明日にでも届くから目を通しておいてね」


「あい(ニャァ)」


「他にはあるかい?」


「そうですねぇ。まともにやり合わないのであれば別にあいつらにちょっかいは出したっていいわけですよね?」


「もちろん。詳細は任せるよ。それじゃ」


ニー参謀総長はガチャッと電話を切った。

ミンクスはやっと終わったとばかり受話器を床にポイ捨てすると再度くつろぎ始めた。


ニチェットは受話器を拾って電話機に戻す。

ニチェットはミンクスを見るが別に不機嫌そうな様子はなく、いつもの楽しそうな表情だった。

実際彼はミンクスが怒っているところを見たことはなかった。


ニチェットは電話線を巻き上げながらその場を後にしようとするとミンクスが声をかけてきた。


「出撃の準備をしておいてくださいな」


「かしこまりました。制空装備を整えます」


「んーん。装備はアレンジする」


「どのように?」


「私が赤外線、あんたが対レーダーミサイルをそれぞれ2発づつ持っていきます」


「いきなりこちらの手札を見せるのですか?」


「それくらいしないとキツイのが来そうですからね」


「参謀長様はアメリカ軍と戦うなと...」


「あんな奴ら相手にしませんですよ」


「では誰を...」


「フニャン中佐達を」


「!」


チェイナリンと同等以上に無表情なニチェットが少し驚く。


「勘ですがね。楽しくなりそうで何よりです」


ミンクスはニッコリしているのに笑っていない鋭い目で空を眺める。


ミンクスを2年以上ぶりに書いた。

描いてる途中でニチェット君がいじりがいのあるキャラであることに気づいてしまいました。

参謀総長絡みで面白い反応してくれそうです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙です タイマンなら連中(フルクラム)は速い、この大型ファントムタイプじゃダメだって言いたいところですが、NATOもいるからなあ ミンクスが遊んでる間にニチェット君がまんまとクリプトン…
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