ミャウシア空軍1
ミャウシア暫定政府軍のニェボロスカ航空基地
時刻は正午を過ぎたあたりだ。
ヒトであれば一番活発に活動する時間なのだが、この航空基地は意外と閑散としていた。
もちろん整備員や施設員、基地守備兵などは活動しているが明け方に比べて数は少ない。
なぜらならこの時、チェイナリン達のようなテストパイロット勢などの最低限基地機能を維持する要員以外の兵士は宿舎で眠りについていたからだ。
ミャウシア人の生活リズムは地球人とは異なっていた。
彼女たちにとって最も活発なのは夕方と明方の時間帯でそれ以外の時間帯は睡眠に最適な時間帯ということになる。
そのため前線から離れて空軍の創建にあたっているこの基地の人員は一番頭を働かせやすい薄明時間に活動の重点を置いていた。
地球人からすると睡眠時間が10時間ある彼女たちの体質は難儀に感じるかもしれないがそうとも限らない。
彼女たちのもう一つの特徴として割と寝る時間は自在にコントロールできるところにあった。
どんな時間帯でも無理なく寝たい時にすぐ寝れて起きるべき時にすぐ起きてまた二度寝できるなど、経済活動の面でシフト制が組みやすい種族だった。
この特徴は近代化した社会においては利点が多く、現在進行が続くミャウシアの内戦においては24時間前線で切れ目なく戦闘が継続される要因になっている。
一人当たりの総合的な活動時間は地球人より短い代わりにシフト制で効率的に働くのだ。
一長一短のある体質だった。
航空基地の宿舎
チェイナリンは重要人物なので個室が割り当てられていて、簡素なベットで睡眠をとっていた。
すやすやと寝ているチェイナリンの寝顔はとてもかわいらしく、時折猫耳がぴくッと動く。
やがて起床時間になったのか宿舎の各室を兵士が片っ端からドアを叩いて回っていく。
ドアを叩かれなかったが遠くの音を聞いて、いつにもまして眠たそうな表情でチェイナリンは起きた。
「隊長、起きたん?無理しなくてもいいのに」
ミラベルが廊下で会ったチェイナリンにそう言う。
「大丈夫」
「...」
ミラベルがそう気に掛けたのはチェイナリンがネニャンニャ族という特殊な部族だったからだった。
赤髪が特徴の彼女の出身部族は睡眠時間が半日以上に達しようかというほどのロングスリーパーであり流石にその長時間睡眠はミャウシア人の中でも異質だった。
おかげで惰眠民族と揶揄される被差別民族となっている。
けれどもチェイナリンは一般的なミャウシア人と同じくらいの睡眠時間で寝起きしていた。
なのでチェイナリンの仲間たちは彼女がいつも眠たそうな表情をしているのは睡眠不足が原因なのだろうと口には出さなかったがそう思っているところはあった。
実際はどうなのか定かではないが。
高級将校になったのだから胸を張って寝ても咎める人はいないのだからとミラベルが思うのも無理はない。
「でもたまにはそういう贅沢だって悪くないんじゃない?あたしだったら好きなだけ寝ちゃうもんね」
「...」
チェイナリンはちょっとだけミラベルをチラ見して口を開く。
「...戦争が終わったらたくさん寝る」
それを聞いたミラベルは内心こう思った。
―うっ。相変わらず律儀で頑固だ...。
その表情は何とも言えないものだった。
二人はそのまま食堂へ向かう。
特に何も進まない話です。
すいません。
それと絵にリソース全振りで2000文字いけませんでした。
本当にすいません。