アメリカと空中艦隊1
冒頭部の空中艦隊の話を削除しました。
またこの話に繋がる記述を改稿しました。
すません。
<<ドゥーロス軍空中艦隊>>
積乱雲や積雲が立ち込め、地表の様子が全く見えない夜空の下を空中軍艦が数隻、7000フィートほどの高度を雲の合間をぬって飛行していた。
地球の人が見れば目を疑うようなその物体は、形容するとすれば空飛ぶ軍艦だ。
正体はアルフェリア同様にこの世界に転移したドゥーロス王国軍の艦隊だった。
その艦の艦橋と思われる場所ではドゥーロス軍将兵が会話をしていた。
<<空中軍艦艦橋>>
「我々の世界の海とは比べ物にならないほど広い海ですな」
「全くだ。いまだに陸地が見えんのを不気味に感じるほどの広さだ」
ドゥーロス軍艦隊の司令官や副官、ブリッジ要員が会話を続けていた。
彼らの世界では海は小規模で無数に点在していてたので大洋という巨大な海に驚嘆していた。
どちらかというと乾燥した砂漠の世界だった。
「しかし、このままだと進み続ければ自位置を見失うかもしれません」
すると士官が声を上げる。
「右舷前方上空に未確認物体を発見。数、2つ!」
「なんだと。詳細は?」
「確認中。...わかった。報告します。目標、数2、距離(8マイル)、目速、お、およそ300です!」
「300だと?何かの間違いではないのか?」
「いえ、間違いではないようです。」
「飛行艇がそんな速度を出せるはずがない。」
彼らの世界では小型航空機は総じて飛行艇と呼ばれていた。
もちろんさらに細かい区分では戦闘機や偵察機や攻撃機という区分もある。
「目標変針。ほ、本艦に接近してきます。更に加速、速力500で突っ込んできます。大きさ20ほどと判明」
「なっ。全艦砲撃戦用意。」
「司令官。とても砲弾を当てられるような相手では...」
「間に合いません。来ます!」
「くそ!」
「総員、衝撃に備えろ。」
沈黙が流れ皆が外を見やる。
そして未確認の飛行物体はある程度離れたところを高速で通過し飛び去っていった。
アメリカ空軍のF-16C戦闘機の編隊だった。
アメリカ北方軍暫定司令部
アメリカ空軍の防空管制組織のオペレーターが発言する
「デルタ2、インターセプト」
「デルタ2から通信、目標は超大型の飛行物体とのことです」
「中継機からデルタ2の映像が送られてきました、モニターに映します」
大型モニターに空中戦艦の姿が白黒で映る。
その姿を見たアメリカ空軍の将兵から困惑の声が漏れてくる。
「なんだアレは?」
「僭越ながら、...見た目通りかと...」
「...上へ報告する」
アメリカ暫定政府庁舎
「それは本当かね?」
大統領は電話で国防総省の暫定庁舎の将軍たちとやり取りする。
防衛システムの大部分が機能不全のままなので暫定政府庁舎にもろくなモニタリングシステムがなく、緊急事態にもかかわらず口頭での電話対応しか今のところはできなかった。
現に防空システムも大部分が機能不全に陥ったままで、分厚い低気圧の雲と稼働率が低調な警戒管制機の定時哨戒網の空白に入り込み気づけばドゥーロス軍艦隊はアメリカ本土の目と鼻の先まで到達してしまっていたのだ。
前日の国家安全保障会議で外界調査に着手することを決めたばかりの合衆国大統領は寝耳に水の事態に慌てた。
「わかった。これから国防総省へ行く。今のここでは何も把握できんからな。それと、その飛行物体が領空へ侵入した場合だが...」
少し間が開き、大統領は続けた。
「攻撃を許可する。万が一もある、絶対侵入させるな。大型飛行生物の対処マニュアルと同じで構わない」
電話を切った大統領はスタッフと共に庁舎を出た。
ドゥーロス軍空中艦隊
ドゥーロス軍艦隊の周りをアメリカ空軍のF-16C戦闘機が旋回を続けていた。
そんな中、艦隊内は将兵たちが揺れていた。
「飛行物体、本艦の周りを旋回し続けています」
「航空隊が指示を仰いでします」
「迎撃機をあげるか、発艦準備をさせろ」
「航空隊、発艦用意!」
「待ってください、司令官。相手の実力がわからない以上、ここで戦端を開くのはいささか性急に過ぎます」
副官と思われる将官が司令官に食い下がる。
「我々の任務が強硬偵察も兼ねていることは君もわかっているだろう?」
「ですが我々にとってここはアウェーなのです。相手の力量が我々を上回っていれば大きな損害を被ります。現に先方の飛行艇は我が軍の戦闘機を遥かに上回る速力を有しています。あんなのに爆弾を投げつけられた回避も迎撃も困難です。であれば交戦より下手に出て情報を持ち帰る方が利口ではないでしょうか?」
「未知の存在なんだぞ。どうなるか知れたものではない」
「けれど先方は攻撃を控えています。おそらく我々の出方をうかがっているのでしょう。この点から彼らが蛮族とは違うと考えることもできます。戦って損害を出すか使者を出して万が一捕らえられるか、リスクは明らかに前者が大きいのです」
「...参謀、君はどう思うかね?」
「私も同意見です。彼の意見は理にかなっています」
「...」
司令官は遠方にほんの微かに見える戦闘機の編隊を見ながら黙り続けるがここで口を開く。
「わかった。貴官の意見を採用する。駆逐艦を一隻だけ出す」
「了解」
アメリカ北方軍暫定司令部
「目標、変針しません」
「目標、あらゆる通信に一切返答しません」
オペレーターが報告を続ける中、指揮官たちは話し合いを続けていた。
「将軍、目標はまもなく領空です」
「わかっている。だがあんなデカ物、どうやって落とす?ハープーンでは狙えんぞ」
「ペイブウェイなら可能かもしれません」
「いや、速力が80ノットはある。目標はすぐにレーザーバスケットの外に出てしまうだろう。レーザー誘導爆弾は使えない」
「マーベリックならどうですか?あれくらいの速力なら狙えるだけの機動性があります。上方から撃てば誘導にも問題は出ないはずです」
「マーベリックか、確かにあれなら狙るかもしれないし打撃力も十分だ」
そこへボディーガードも含めた大統領一行が他の将軍たちも連れ添って直接乗り込んできた。
それを見た指揮所の士官たちは大統領に敬礼する。
「状況はどうなんだね?」
「は、目標は依然として南下中であります。あと10分ほどで領空に入ります」
「交信は?」
「あらゆる通信で呼びかけましたが返答はありません」
「そうか。...あれかね、例の空中戦艦という奴は?」
大統領がモニターを見ながら指揮官に尋ねる。
「そうであります」
「撃墜できるかね?」
「やってみないことにはわかりません。ですが攻撃方法について意見がまとまりましたのでこれから攻撃隊を発進させるところであります」
「ではやってくれ」
「了解しました。大統領閣下」
大統領はかなり強気になっていた。
というのもここへ向かう途中の車内で今後の戦略を思案していたからだ。
国民からの信任を受けていないという弱みを持っていたが、同時に自身の大統領任期はほぼ4年という強みもあった。
前任の大統領の大統領就任からわずか90日で異世界転移が発生したのだ。
しかも非常事態のさなかなのでここで国政を上手く舵取りできれば自身の支持率と上下院をおさえる与党の支持も獲得でき、2期目への道筋も書けると踏んでいた。
よはハリー・S・トルーマンやリンドン・ジョンソンのパターンを踏襲したかったのだ。
となれば強気で事態に対処し丸く収められれば支持率に繋がると考えていた。
アメリカ海軍のとある航空基地
F/A-18E スーパーホーネット戦闘攻撃機で構成された飛行隊が発進準備を行っていた。
整備員が急いで牽引台車に乗せられたAGM-65Fマーベリック空対地ミサイルを戦闘機のハードポイントに取り付ける作業を行っている。
「作業完了」
作業終了の合図が出たところでパイロットが最終チェックを行い、それを完了させると直ぐにキャノピーを下ろし滑走路へ侵入する。
「こちら管制塔。発進を許可する」
「了解」
空母航空団に所属する戦闘攻撃飛行隊は加速を始め滑走路から離陸していった。
ミャウシアが書きたい
ミャウシアが書きたい
ミャウシアが書きたい
今更ですが物語の風呂敷の大きさが広すぎました
リメイクするならミャウシアだけに絞ろう(反省)