指揮系統
積雲が無数の小島の様に浮かぶ空を航空自衛隊のE-2Cが飛行を続けていた。
E-2Cが背負っているレドームには探知距離500kmのAN/APS-145 レーダーが搭載されている。
「大陸側から飛来する複数の未確認編隊を確認。速度50ノットで当該陸地の沿岸に接近中」
航空自衛隊の防空指令所
異世界に転移したことで大混乱に陥っている航空自衛隊で、まともに機能している防空管制群の一つが”日本と思われる島”に接近中の飛行物体への対応で苦慮していた。
「ジャッジシステムがいまだにオフラインのままであるため他のシステムとのリンクができません」
「構わない。無線で他と直接やり取りする」
「戦闘機会敵、距離30マイル」
F-15SJ戦闘機の編隊が未確認飛行物体を偵察する。
スクランブル以前にここが日本なのかも怪しいため防衛行動ではなく偵察の一環だった。
「セガ4-1、レーダーコンタクト」
F-15J未改修機のコックピットに装備された小さなレーダースコープに目標が表示され追尾を開始する。
「見えた。目標は航空機じゃない。巨大な鳥のような生き物の群れだ」
「セガ4、監視を続行せよ」
「了解」
防空指令所
「だめだ、航空総隊司令部が無線に出ない。連絡がついた基地は誰も所在を知らないだと?」
「もしかして存在しないんじゃないですか?」
「確かに、一昨日のJアラートと閃光が核攻撃なら消し飛んだとも言えるが核が炸裂した痕跡なんてどこにもない。偵察機や観測機の報告でここが日本列島でないことも疑いようがないという事実もある。もしかしたらあの光はワープの類で俺たちだけこの世界に放り込まれたのかもしれないな」
「...」
「...とにかく上の指示を仰ぐのは絶対だ。防衛省も通信途絶中となれば陸自に治安出動や災害派遣を命じたと聞く農林水産大臣に直接聞くしかなさそうだ」
東京と思われる都市のとある庁舎
凄まじい数の人でごった返しとなっていた。
警察や行政職員、自衛隊など国の運営に携わる国家公務員が多く、一部ジャーナリスト姿も見受けられる。
もちろんもっとも人だかりが多かったのは総理大臣、副大臣が行方不明となった今現在において内閣総理大臣臨時代理に着任した田代農林水産大臣だった。
大臣は庁舎に入ると休憩がてら執務室に入り、部屋は大臣と秘書やスタッフだけになる
「そんなこと私に聞かれても答えられるわけないだろうに。とにかく事態の把握だ。警察庁でも消防庁でもなんでもいい自主的に活動させろ!」
「わかりました。では上がってくる情報は対策本部に集まるように情報網を構築してみます」
「そうだ。わかったらさっさと行け」
「大臣、自衛隊から連絡がきました。指示を仰いでいます」
「自衛隊の行動は防衛大臣に一任したんじゃないのか?」
「防衛大臣が行方不明であることが判明し、なおかつ指揮系統上は総理大臣代理でなければならないと...」
「現状すら把握できんのに命令なんて下せるわけないだろ。現場の判断で対応させろ」
「い、いいんですか?防衛官僚ではないので適切かどうか判断しかねますが」
「ここだけの話だ。最悪責任は現場に取らせればいい。どうせ問題を指摘できる奴すらいないんだからな。それより一番問題なのは行方不明になっていない議員の名簿だ。組閣するにしたって派閥争いになるのは目に見えてる。今は党内派閥への根回しが最優先だ」
「わかりました。スタッフを集めて対応策を検討します」
秘書はそういうとスタッフルームへと入って退室した。
「いちいち私に聞き過ぎだ。ったく」
大臣は文句をたれながら禁煙しようの部屋でタバコを吸い始めた。
執筆ペースがめちゃくちゃ鈍化してて最低目標2000文字がきついのでそういう時は1000文字以上で緩和投稿しようと思います。
アルカディアンズですがノベルアップやアルファポリスとでも載せてみています。
内容に差異はほとんどありませんがノベルアップ優先で載せてます。
紹介しただけですよ、ええ。