その名はF-15イーグル
前にパンチが足りないと言われて追加したプロローグを削除しました。
もういらないかなと思ったので。
ニャパス市内
「お姉ちゃん、おいちゃん。バイバイ!」
ミーガルナとナナオウギが保護した少年は彼の叔母が見つかったことで引き渡された。
名残惜しそうにナナオウギとミーガルナがハグした後、ナナオウギがあるものを渡しす。
それは特に変哲もない日本のお守りだった。
スマホとかが欲しいと最初に言われたが充電する術がないのに渡しても半日で文鎮化してしまうし、なんか面白くない。
なので持ち物で一番適当だったお守りを渡したのだ。
だが結果として見たことが無い民族模様と「御守」と謎の表意文字”漢字”で書かれたお守りを気に入った少年は大事そうにそれを貰い受けた。
「バイバイ」
ナナオウギとミーガルナはそう言って少年と別れるのだった。
その頃、ニャパス攻略が完了し上陸部隊に猛攻を加えていたクーデター軍の第11装甲軍と第21軍はニャパス港から上陸した50万に及ぶ重装備の後続部隊の大群に成すすべがなくなり苦しい退却を始めていた。
すでに上陸戦力は80万に達し、6個機甲師団、23個歩兵師団に増強されておりミャウシア南部でこれに対抗できるクーデター軍部隊は皆無だった。
一方クーデター軍は南部と中部の中間に当たる交通の要所に集結しつつあるがどちらかというと防衛線構築に動いている。
クーデター軍の余力は確実に失われている。
なら南部攻略を確実なものにっするため要所を一気に抑えるのがセオリーである。
そこで解放軍は間髪を入れずにサンテペル兵工廠攻略に着手する。
時間をかけると最悪兵工廠を破壊処理されてしまうので各戦車連隊や自動車化歩兵連隊などの機動戦力を師団の枠組みに関係なくいくつかのルートで高速進軍させた。
キュラキュラキュラキュラ。
未舗装の道路を少しだけM4シャーマン戦車に似たパウツ中戦車が隊列をなして進み、猫耳の兵士たちがタンクデサントしていた。
それに続くようにレトロなトラックに兵士たちがたくさん積まれ車列を形成している。
さらにトラックに続くように自転車をこぐ軽装の兵士もちらほら見かけられた。
これはいわゆる自転車部隊と言われるもので完全な自動車化が達成されていない軍隊で見かける機動方法だ。
途中、別地点からの上陸や空挺もあって迎撃戦力のない敵はまたたく間に撃破され解放軍は400kmの行軍は僅かな期間で成し遂げられサンテペル市近郊に達する。
ここで解放軍の地上部隊はクーデター後強制解散させられた南部の連邦構成国政府機関や部族団体からなるレジスタンスに直接接触する。
ハード面での力押しでも攻略は容易だができれば兵工廠を傷付けずに手に入れたかった。
そこで市民に紛れる即戦力の彼らの協力でソフト面でも迅速に攻略するのを目指す。
ナナオウギが乗るフランス陸軍のプジョーP4戦術車両が小走りでレジスタンスのリーダー陣がいるところに乗り入れる。
「連絡係だ。ここの指揮官は誰ですか?」
「私よ」
そこにいたのはミャウシア連邦元元首ゥーニャ・エカチェリーニだった。
彼女は南部のレジスタンスの頭角になりつつありレジスタンスの大手柄になる攻略戦だけに自ら陣頭に立って来ていた。
「ナナオウギです。通信部隊も連れてきたのでここに本部を設置したい」
「ゥーニャよ。よろしく頼むわ」
「ゥーニャというとたしか...」
「ええ、元書記長よ」
「そうでしたか、失礼しました」
ナナオウギが敬礼する。
「楽にして、何の権力もなくなったただの活動家よ。今ではあの子のほうが偉いわ」
「あの子?」
「解放軍のフニャンよ。最近じゃ英雄視している者もいるわ。私なんかより素質があったのかもね」
「...でも彼女はそういうのは好かなそうですけどね。眠そうな表情で戦闘機に乗るのが似合ってそうだけど」
「...あの子に会ったことがあるの?」
「ええ、少し」
「無口でしょ?」
「話す必要がなさそうな時は」
ナナオウギがほんの少し笑みを浮かべる。
「そう、何も言わないとずっと眠そうな顔でだんまりするのよね、あの子。でも意外に繊細ときてるだわそれが。それとも責任感を感じすぎてるだけなのかしら」
ナナオウギは涙を浮かべたチェイナリンを思い出す。
「その通りですね」
「ええ、今は何してるんだか。あら、少し脱線したわね。それはそうと話を戻すけど基本的に私達は何をやれば?」
「え、ああ。今説明します」
その後、レジスタンスの支援により揺動、破壊工作や迅速な部隊展開が可能になった解放軍は2個歩兵師団で守備するサンテペルを一気に攻略する。
戦いの末、市街や巨大な兵器生産工場から黒煙が多数立ち込める中、ミャウシア解放軍のパウツ中戦車が工場の瓦礫の上をゆっくり走行し、周辺にいる兵士が連邦旗を建物に挿している光景が見られた。
上陸作戦の第二目標であるサンテペル攻略はまずまずの成功で終わった。
予想通り兵工廠も戦場になりかなり損壊してしまっていたが完全破壊にはならず、サンテペル兵工廠の施設や設備は復旧可能なレベルで維持された。
その手際の良さはNATOからの軍事教練支援の賜物でもある。
グレースランドのNATO軍航空基地
チェイナリンが病み上がりのアーニャンと多数の将校や軍関係者を連れて飛行場の格納庫に来ていた。
「お待ちしておりました。チェイナリン将軍。私は国防総省の担当です。こちらは合衆国軍と○ッキード○ーチン社と○ーイング社の担当官です。ではこちらへ」
案内された先にとても大きなジェット戦闘機の姿があった。
「これは?」
「F-15A/B、F-15C/Dという大型双発ジェット戦闘機です。後々F-15J/JDという型も合衆国仲介で転売したと考えています。状況次第では改修機の供与も。今回、将軍主導で空軍が組織されるということで供与の計画とそのプレゼンを是非」
「かなり勇み足ですね」
「ええ、我が国はロシアが戦闘機や地対空ミサイルの供与をいずれ始めると考えているだけに対抗案を策定しているのです」
チェイナリンはこれがビジネスかと少し思う。
そしてチェイナリンは薄暗く照明が灯った格納庫内でF-15イーグルに近寄るとその巨大でパワフルそうな機体をまじまじと眺めた。
ナナオウギとチェイナリンの行方がロードス島戦記のスパークと小ニースのアレにちょっとだけ似るかも(似ないかも)。
そう言えばアルカディアンズ書いてる時は奇跡の海を聞いてることが多い。
小説もアニメも見たことはまだないですけど。