上陸作戦3
<<ミャウシア蜂起軍臨時司令部>>
指揮所に軍高官がつめていた。
海軍と陸軍の将軍がごちゃまぜだが陸軍側は大将や中将などはほとんどいなかった。
「でありますので作戦の第一段階は成功といえます。今日までに各海岸からの陸揚げ量は目標を達成していいます。続いて作戦の第二段階に入りたいと思います」
海軍参謀ベニャ中将と作戦参謀の陸軍少将が軍高官達に対し軍事作戦の内容を説明していた。
「作戦を説明します。攻略目標は中規模の港を有するニャスパ市及びサンテペル市とサンテペル兵工廠です。我が軍の上陸部隊は今現在、ニャパス市を半包囲している状況にあります。ここを奪取すれば本格的な揚陸によって150万の兵を迅速に展開させることができます。ひいては沿岸一帯の都市と港を占領していくことも可能になります。またサンテペル市とサンテペル兵工廠の攻略も準備も進めています。あそこは南部唯一にして最大の陸軍兵工廠ですので今後の軍備の維持には必要不可欠です。攻略の成否によって我々の今後が決まります」
「敵の状況は?」
「NATO軍の協力によっておおよその部隊の展開状況が割れています。現在南部におけるクーデター軍の総兵力は30万から40万と見積もられています。大半が現役兵であり、そのうちの6割がニャーガ族系の兵士です。敵は我々を海岸に追い落とそうとニャパス市北東部から3個機甲師団と2個歩兵師団を進軍させてきています。ですが逆にこの5個師団が敵の機動部隊のすべてと見られます。残りの師団や旅団は全て沿岸防衛のために分散配備され、動ける状況にはありません」
「つまりこの軍団を釘付けにしてしまえば敵の余剰戦力は0ということですね」
「その通りです」
「我が軍の上陸戦力は?」
「現時点で21万6千名、7個歩兵師団、1個機甲師団と再編成中の5個歩兵連隊です」
「まずまずといったところね」
「ええ、ですが戦車の陸揚げが本格的に開始されていますのであと2・3日で敵戦力に十分対抗できるようにはなります。また、今回NATO軍の協力のもと、大規模な空挺作戦の実施も行います。この空挺作戦でニャパス市の包囲を固め、移動中の敵に対する対応戦力に余裕を持たせるつもりです」
「いっそのことその空挺部隊でサンテペル攻略を嫌って見てはどうなんだ?」
「それに関しまして兵棋演習でNATO軍にきついダメ出しを受けました。サンテペル攻略やその他の湾岸都市に対して単独で大規模に運用した場合の損害がとても割に合わず絶対うまくいくはずないとのことです」
「やってみなくてはわからないだろ」
「やったことがあるからダメ出ししているんですよ。彼らは私達より近代戦においてはずっと経験豊富です。ここはアドバイス通りに動いたほうがいい。それと敵航空部隊の動きはどうなっていますか?」
「こちらも散発的です。クーデター軍自体大混乱なのもありますしNATO軍の空爆で南部への展開が遅れているため航空戦力の展開も思うように進んでいないようです。またグレースランド軍とザイクス軍による北上作戦に兵力を割かざるを得ないため手持ちの戦力に余裕がないのだと思われます」
「では何もなければこのまま所定の作戦を順次実施していくだけになりそうだな」
「その通りです」
「なら今は敵の機動戦力への対応に注力しよう」
その後も司令部内で作戦式に関する話し合いが続く。
指揮所は耐絶えず人の出入りが続く。
チェイナリンもその中の一人だった。
チェイナリンは指揮所を出たあと廊下を歩く。
階級章は中将のものを付けていたが略綬は将軍なのに貧相なほど少なかった。
その代わり飾緒を常時付けていた。
チェイナリンはそのまま指揮所のある建物を出ると病院棟へ出向き、目当ての部屋へ行きドアを開けた。
そこには病院服姿のミラベルがいた。
「隊長、サボっていいんですか?」
「やることはやった。あなたはどう?」
「おかげさまで。それにしても隊長が将軍というのはなかなかシュールですやん」
「かもしれない。でも暫定。今も階級は中佐よ」
「何だそれ」
二人は和やかな雰囲気になる。
「隊長はこのまま軍部を上り詰めるんですかい?」
「わからない。勢いでなった感は否めないし私の本分はパイロットでありたいという思いもある。でもそれと同時に求められたから、それに応えるために皆を束ねるのに尽力したい思いもある。それが軍人としてなのか新しい国のあり方を形作る指導者としてなのかはわからないけど、そんな雰囲気になってる。」
「随分曖昧で自信がない言い方だし、なりたいこととやりたいことが矛盾してるですやん」
「...面目ない」
「まあそもそも隊長の柄じゃないんですよ、それ。じゃあ今は何してるんですか?」
「軍の指揮系統が海軍に一本化されて統合軍のように機能してる。私は意見調整役ってところかな」
「総参謀長みたいな役回りですね」
「うん」
「今後はどうしたいんですか?」
「軍を再編成して指揮系統を整理しようかなと思う。だから後任の人選も進める。」
「その後は?最高指揮官とかになっちゃうんですか?」
「決めてない。それに今はわかっている人が多いから合議で事足りてる。最高司令官は現状ではいらないよ。そういうのは地盤がしっかりしてからでも遅くない」
「ふーん。じゃあ、もう戦闘機には乗らないんですね」
「....」
「隊長?」
「...空軍を組織してみようかなって思ってる」
「空軍?」
「うん。いま陸軍と海軍の航空部隊の再編成を進めているんだけど独立した組織として運営したほうが効率がいいと思っていた。だからいっそ陸軍航空隊と海軍航空隊の一部を一本化して空軍を組織する方向で考えてる」
「それで?」
「空軍の役職について少し、そのわがままを通して前線に出ようかなって思ったりもしないでもない。非常時の今だけでだけど」
チェイナリンは少し恥ずかしそうに話す。
その様子をミラベルは嬉しそうに見ていた。
「じゃあまた一緒に飛べますね」
「かもね」
二人はもう少し談笑を続ける。
二人は後々、ジェット戦闘機に乗ってそれを実現するのだった。
それがファントムやイーグル、、ファルコン、トムキャットの名称で名高い類のどの戦闘機であるかは定かではなかった。
チェイナリンをまだ戦闘機に乗せたい、乗りたそうなのに将軍や指導者の地位にノリで着けてしまった。
どうしよう。
それとミャウシアにF-15やF-4、F-14、F-16を供与する流れで書きたいのですがチェイナリン達はどの機体が似合いますかね?
F-15Jもミャウシアに流れます。