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アルカディアンズ 〜とある世界の転移戦記譚〜  作者: タピオカパン
猫の国の内戦(中編)
133/136

タヌキの戦線


時間を戻してミャウシア内戦勃発から数か月たった頃の南方大陸の沖合


多数の大型水上戦闘艦が単縦陣を組んで航行していた。


戦艦数隻と装甲巡洋艦などからなる主力戦隊を中心としてその両側面前方を500~1000トンの小型駆逐艦の単縦陣戦隊が並走する陣形となっている。


陣容はそんな感じだがどんな船で構成されているかというと、戦艦は前弩級戦艦や弩級戦艦、超弩級戦艦という区分が存在していた頃の技術水準のもので、主砲塔の配置が非一直線のものばかりで構成されており、直線配置は旗艦の超弩級戦艦だけだった。

それだけに艦隊の速度は20ノットもないなどかなり遅い。


乗艦しているのはヒトではないが人に非常に近い姿をしていた。

けれども身長が低くがっしりした体格である程度の尖った耳をしている、いわゆるドワーフのような見た目の種族だった。


「先行している巡洋艦隊はまだ敵を捕捉できないのか?」


艦隊の指揮官の一人がしびれを切らすように索敵の報告を催促していた。

どうやら防護巡洋艦や装甲巡洋艦で構成される巡洋艦隊を先行させてバクーン軍艦隊を捕捉しだい急行するという作戦をとっているようだ。

ちなみに側面の小型駆逐艦は水雷艇対策として付随しているのでこれで敵艦隊の行動を部分的に抑えるなどという役割はない。


そんな中、伝声管から声が伝わってきて兵が慌てたように指揮官たちに伝える。


「報告!未確認の航空機編隊が本艦隊に接近中!」


「何?!」


バクーン海軍の艦上爆撃機からなる編隊だった。


爆撃編隊は一切妨害を受けることなく艦隊に近づくと急降下爆撃態勢に入った。

戦艦部隊には全くと言っていいほど機銃がないのでここでも爆撃編隊は妨害を受けることがない。

爆撃編隊は特有のドップラー効果音を轟かせながら250kg爆弾を各機一発ずつ投下した。


戦艦部隊は旋回などの回避行動を全くと言っていいほど取らなかった。

取る必要がないというよりどう対処すればいいのかという知識がなく、対処法や訓練すらやったことがないのでしようがないのだ。


航空爆弾が航空攻撃を全く想定していない戦艦の上部装甲に命中するとそのまま貫通して内部で爆発した。

シタデル装甲自体は貫通しなかったものの数十kgの炸薬は戦艦の重要区画以外の主要区画を一気に破壊した。


だが爆弾はこれ一発では済まない。

最終的にこの戦艦は3発の航空爆弾が命中し、内1発は主装甲を貫通して機関室を破壊してしまった。


艦爆による攻撃によって主要な戦艦や装甲巡洋艦は軒並み中破した。

けれども艦爆の攻撃から間を置かずに今度は水平線上から艦上攻撃機編隊による魚雷攻撃が行われた。


既に戦隊を崩して各個に自由航行に移行していたが速力がない戦艦や巡洋艦は魚雷をもろに食らってしまう。


艦攻が投下した魚雷は水しぶきを上げて水面下に落ちると航跡が伸び始め、戦艦の側面に到達すると巨大な水柱を上げる。


傾斜する戦艦の艦橋では指揮官が乗員に退艦命令を下そうとしていた。


「こんなことが....」


艦隊指揮官は艦の構造物に掴まりながらバクーン軍の軍事力や先進技術、戦術に唖然としていた。


「艦長、浸水が排水を上回っています。じきに沈みます。ご決断を」


「...わかった。総員...」


「報告!3時の方角に敵主力を発見!」


退艦命令を下そうとした艦長や指揮官が驚きながらそちらの方角の海を見る。


戦艦や重巡洋艦で構成されたバクーン軍主力艦隊と離れたところを並走する水雷戦隊が見計らったように水平線から姿を現して最大船速で迫ってきていた。

目的は艦隊の殲滅だ。

機動部隊の攻撃の後に戦艦部隊を突撃させて満身創痍の敵を最小の被害で撃破する、第二次世界大戦前半まで構想された戦法だった。


バクーン軍艦隊の戦艦の主砲塔が轟音を轟かせながら爆炎を吹き出して砲弾を打ち出し始めた。

旧日本海軍の扶桑型戦艦に似た戦艦の主砲が一斉射する。


抵抗できそうな主要艦艇に第一斉射を浴びせられ、多数の砲弾によって艦艇の周りに水柱が立ち上がった。

まだ航行できそうな艦艇は砲弾を食らい、装甲をぶち抜かれて艦内部を破壊された。


第一斉射によって1隻の戦艦が弾薬庫を誘爆させてきのこ雲を発生させた。

第二、第三斉射によってほとんどの戦艦や巡洋艦が大破、撃沈に至る。


その間にバクーン軍の水雷戦隊は護衛の小型駆逐艦を追い回し始める。

速力が遅い500トンクラスの小型駆逐艦は次々とバクーン軍の駆逐艦の艦砲射撃の餌食になっていった。


こうしてバクーン軍を攻撃するために出撃した艦隊はほぼ壊滅した。


降伏する間もないような短時間の海戦だった。



バクーン軍艦隊旗艦の艦橋


「航空艦隊より報告。我ノ損害ハ微小ナリ。作戦ノ継続二支障ナシ。とのことです」


「うむ。やはりミャウシアを相手にするのとは違うな。報告通りの戦力だった。これなら軍港を襲撃しても問題あるまい」


司令官が伝令を見る。


「本国に連絡。作戦を続行するとな」


「はっ!」



壊滅した艦隊を擁する国の最大の軍港


海戦からあまり時間を経ずに次の戦いに移る。


軍港には多数の艦艇が停泊していた。

軍港は殺気立っていたが戦艦や巡洋艦を外に出そうとはしなかった。

というのも軍港は基本的に要塞砲や沿岸砲によって守られているので強大な敵が相手の場合は籠っているほうが賢い選択だ。


けれどもそれを無効化してしまったのが航空機の登場である。


真珠湾空襲のようにバクーン軍の艦爆や艦攻の編隊が殺到するように停泊している艦隊に対して攻撃を開始した。


艦艇上ではボルトアクションライフルを持った水兵が弾倉が空になるまで小銃をコッキングさせながら敵機を銃撃したりしている。

黎明期的な機関砲や高射砲による対空射撃も見られるが数はまばらだった。

なのでバクーン軍の航空機を多数撃墜するのは非常に困難だ。


停泊している戦艦や巡洋艦が次々と魚雷と航空爆弾を食らい、大破着底していく。


時折、バクーン軍の航空機が撃墜されるものの片手で数える程度のささやかな数だ。

最終的に艦隊はほぼ殲滅されてしまう。


ドワーフのような見た目の兵士たちは炎上する艦隊を呆然と立ち尽くしなら見るしかなった。

尺の都合いろいろ描写を端折ってます。

こっちの地図は後ほど。

すいません。

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