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アルカディアンズ 〜とある世界の転移戦記譚〜  作者: タピオカパン
猫の国の内戦(中編)
128/136

飛行場の奪取1


アルーム平原北岸のNATO軍橋頭保


ナナオウギ達が激戦を繰り広げ始める少し前まで時間は戻る。


ミャウシア政府軍からなる橋頭保防衛部隊の後方数キロ地点にアメリカ海兵隊の遠征旅団や遠征隊、海兵師団の一部部隊、ミャウシア軍の2個歩兵師団からなる部隊を集結させていた。


「各部隊、準備が完了しました」


「作戦開始、10分前か。ギリギリ間に合ったな」


前線指揮官はAAV7アムトラックの指揮車型であるAAVC7の中で部隊の集結と補給が完了したことに少しだけ安堵していた。


現代の正規軍部隊は作戦開始前に部隊の車列を並べて整列することがよくある。

整列の仕方は縦に数列並べたり車道に何百メートルも一列並べたりするなど厳密に決まっている訳ではなくその場の状況にあわせるとは思われるが、作戦開始地点にだたっ広い平らな不整地が広がっている場合は前者で整列することが多いと言える。

今回の作戦でも前者が選ばれ、多数の車両がいくつもの車列を作って整列していた。

また、場合によっては部隊長が訓示を行うこともあるがこの場ではそういうことはなかったようだ。


そうした部隊の中でミャウシア軍の歩兵はトラックにぎっちぎちに積載されるように乗せられていた。

限られた車両にできる限り歩兵を乗せるのでトラックに乗りきらない猫耳歩兵は戦闘に直接参加しないAAV7の車体上面やハンヴィーの上面にタンクデサントさせるなどあの手この手で運ぼうとしていた。


橋頭保に設置された司令部の方でも各部隊から準備完了の報告が上がってくる。

作戦開始前にはすべての部隊が準備を終えたようだ。


少しして作戦開始時間になり、司令部から各部隊に無線交信を行った。


『作戦を開始せよ』


「了解。作戦を開始する」


前線指揮官は司令部や本部からの司令を受け取り、部隊へ命令する。


「各部隊、作戦を開始。前進せよ」


「前進開始」


命令を受けた各部隊は互いの位置を意識しながら協調的に前進を開始した。


M1A1エイブラムス戦車からなる戦車隊がガスタービン音を轟かせ、装甲部隊をリードするように前線に向かって前進する。



橋頭保周辺の前線


「ニャゴーニ(撃て)!」


号令に合わせて猫耳の政府軍兵士が2輪タイヤの付いた軽量な砲架の上に乗せられたM40 106mm無反動砲のトリガーを引く。

無反動砲はバックブラストを爆音とともに吹かして105mm砲弾を砲身から撃ち出した。

砲弾は反政府軍部隊がいると思われる遠方の障害物へ放物線を描いて飛んでいき、着弾すると小さな爆発音が数秒遅れで聞こえてきた。


装填係の兵士は砲撃後に無反動砲の閉鎖器を開けると薬莢を取り出して捨てて105mm無反動砲の砲弾をするりと薬室に挿入する。

砲弾を挿入すると兵士は閉鎖器を閉め、射撃担当の兵士が仰俯角調節ハンドルを回して砲撃でズレた照準を正しい角度に戻す。


そして調整が完了して合図を出すとともにまた砲撃を行った。


もちろんこの無反動砲はアメリカなどの西側の国々からかき集めて供与されたものだ。

反政府軍がロシア軍から戦車などの重量級の装備さえも譲り受けているのに対して政府軍は無反動砲や小銃などの簡便な装備の供与に留まっている。

もちろん状況に合わせて与える装備を選んでいるので単純な銃火砲しか与えないわけではない。

用途上、今はそれで充分ということらしい。


橋頭保周辺の防衛線上ではこうした政府軍と反政府軍の小競り合いが続いていた。

防衛側の反政府軍はNATO軍を海岸から追い落とそうとはしているが、初めから諦めているところがあるのか手持ちの戦力を全て結集させて攻め落とそうとはしておらず、NATO側の猛烈な砲兵射撃による損害も相まってこのような中途半端な小競り合いに落ち着いている。


そこへ更なる榴弾砲の雨霰が敵兵の頭上に降ってきたのだ。

どうやら周囲数十km内に展開する砲兵隊の火砲の照準が全てここに集まっているようだ。

政府軍の猫耳兵士たちは敵を憐れむように155mm榴弾による黒煙の森が出現した敵兵の前線を見やる。


そうした前線へ突進するように無数の鉄の塊が接近していた。



アメリカ海兵隊海兵遠征軍


攻勢の基軸である戦車隊が時速20~50kmの速度で放牧地や荒れ地を行軍する。

後方には随伴のAAV7や軽装甲偵察大隊のLAV-25歩兵戦闘車の一群、更に視認できない程度の後方に歩兵連隊のハンヴィーやトラックが一列になって追いかけていた。

別の攻撃軸でも小規模だが遠征旅団や遠征隊の装甲部隊が似たような形式で一転突破を図るように前線に突進している。


「前線まで1マイル。砲戦用意。味方の部隊と敵の部隊を見間違うな」


最前列の戦車隊は警戒を厳にして地平線の各方位に主砲を指向させる。


機甲部隊は平原のだだっ広いところを進んでいたので障害物を利用して前線を構築していた友軍のミャウシア兵のケツを掘るようにかち合うことはない。

けれどもその機甲部隊の威容を遠目で伺う。


戦車隊は前線に差し掛かった。


「方位088から168にかけて敵歩兵とみられる熱源を視認。砲撃用意。榴弾装填」


戦車内で中隊長クラスの戦車長が砲手や装填主に指示を出す。


「装填よし」


「照準よし」


準備が完了する。


「各車へ。本車がまず射撃して目標の目星を付ける。第一小隊は着弾地点の熱源に対して行進射を実施せよ。第二小隊は左前方、第三小隊は右前方の敵を警戒しながら攻撃」


『了解』


『了解』


味方車両から無線で返事が来る。


「よし。撃て」


中隊長のエイブラムス戦車から120mm対戦車榴弾が撃ち出され、痩せた草木に隠れるように布陣する反政府軍の歩兵部隊の至近に砲弾が着弾し、2人の敵兵が爆風でこけた。

それに合わせて前進する戦車小隊が各個に敵と思われる目標に砲撃を加え始めた。

それを掩護する後方の戦車小隊も側面攻撃に動こうとする敵に砲撃を加えて敵をくぎ付けにしようとする。


ニャーガ族の反政府軍女性兵士の一人が肩にPG-7VL弾頭を取り付けた携帯式対戦車擲弾発射器であるRPG-7を担ぎ、物陰に隠れてエイブラムス戦車が有効射程に近づくの待つ。

けれどもアメリカ軍の車両は有効射程になかなか近づいてこない上、1000発以上の大型榴弾砲の雨と戦車部隊の直接砲撃によって戦力も士気もガタガタにされていた味方が後退する動きを見せ始めたので置き去りにされるかもという懸念もあってどうしようかと戸惑う様子を見せた。

仕方なく400m以上離れたエイブラムス戦車を狙って砲撃するが弾頭は戦車に命中することなく逸れて地面に着弾した。


当然ながら攻撃したことによって敵兵は戦車隊からカウンター砲撃を何発も食らうことになった。

女性兵士は砲撃後に急いで茂みに隠れようとダッシュした途端に背後で対戦車榴弾が着弾し爆風でこけた。

幸い破片は命中しなかったが次の砲弾が近くの木に着弾する。

この砲弾の破片は敵兵に命中し、歩行困難な負傷を負わせた。


戦車隊は砲撃しつつ7.62mmの同軸機銃でも敵に銃撃を加える。

戦車隊が敵のいた痩せた草木に迫ると戦車隊の後方についていたAAV7兵員輸送車から歩兵が続々と降車して戦車隊の背後についた。

そして歩兵部隊が敵の布陣していた茂みに突入する。

しばらく銃撃戦が続くがすでに逃げ腰になっていた敵の歩兵部隊は死傷者を置き去りにして本格的な逃走を始めて壊走する。


敵の陣地を制圧した歩兵隊は周囲に防衛線を構築すると対戦車地雷の除去のために工兵隊を招き入れる。

人力による地雷除去を行いつつ、一部の場所ではM1AVB地雷原啓開車両が爆導索の繋がったロケット弾を投射し、地面ごと地雷原を吹き飛ばした。

M1AVBはその後も搭載されているショベルを使って地面を掘り起こしたりしながら地雷原を貫通する2車線程度の安全路を開通させた。

時間をかけると敵に対応する時間を与えてしまうし、そもそもこれは電撃戦なので機甲部隊は直ぐに道を通って前線の後方になだれ込み始める。


ここで機甲部隊についてきていた軽装甲偵察大隊や偵察大隊が本隊から分離して戦車隊より先に先行を開始する。

偵察部隊は更に先行している特殊部隊と連携して敵に対して遊撃戦を行うつもりだ。

とはいえ、今回の戦場は平原全域で億発単位の地雷が埋められた地雷原なこともあって威力偵察は慎重に行わないといけないので行動はかなり制限されことになる。


また、蹴散らした敵部隊の追撃とこの地点の後方線の安全の確保のため、ミャウシア政府軍の一個中隊がここで降ろされた。


NATO軍は初めてミャウシア連邦領の奥地へと突き進み始める。


その頃、ナナオウギ達も空挺部隊と共に激しい戦いを展開していた。

私事でいろいろあり過ぎて気が落ち着いてないこの頃な感じです

BGM聞いてもなかなか情景連想できなくて創作速度が落ちてて困ってます。

あと、編成とか将軍とかの描写がいろいろ前の話と矛盾してます。

めんどくささであーねーな感じで変更に合わせた修正してません。

すいません。

当分絵は描けそうにないです。

すいません。

あとモブだけの回で印象の薄い話になってます。

すいません。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 矛盾箇所は置いとくとして、作戦全体をこんな感じで進めているという情景を思い描きやすいので不満はないです。 焦らなくていいのでご自身のペースで更新してくれると嬉しいです。
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