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アルカディアンズ 〜とある世界の転移戦記譚〜  作者: タピオカパン
猫の国の内戦(中編)
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空挺作戦4


ナナオウギ達が潜伏している集落に反政府軍部隊が接近していた。


『こちらルディー。敵のトラック2台が道の北側から接近中。』


「ここへ真っ直ぐ向かっているのか?」


『...はい。今、道を曲がって真っ直ぐ近づいます。会敵までおよそ2分』


「わかった。そのまま監視を続けろ。合図があるまで待て」


『了解』


隊長は数秒間、納屋周辺の障害物の配置を思い起こした後、無線交信を止めて部隊に指示を出す。


「全員聞いての通りだ。敵が来た。安全確保のため待ち伏せを行う。全員、納屋の裏手から出て敵に見つからないよう注意して展開。我々が西側の石塀、ミャウシア兵は東側の稜線へ。ナナオウギはミャウシア兵を指揮しろ」


「了解」


「了解」


隊員たちが返事すると即座に行動を開始する。

ナナオウギもミャウシア兵達に簡潔な指示を行い、フランス兵に後れを取らずに展開を始めた。

潜入部隊は地下室で待機することになった。


距離の関係上、ミャウシア兵達は少し離れたところまで移動しないとなのだがそこはミャウシア人の瞬発力を生かしてナナオウギを置いてけぼりにしてあっという間に稜線裏に展開を終えた。

ナナオウギはミャウシア兵を忍者かよと思いながら敵が来るギリギリのタイミングで稜線裏に滑り込むように隠れる。


敵はトラックを納屋から少し離れたところに駐車させると1個小隊程度の歩兵が下車して歩いてくる。

やはり敵はアジトが目当てだったようで物色しようと一部が納屋に入り、残りは手前でたむろし始めた。

こうなっては敵兵が自分たちに気づくのは時間の問題なのでやり合う以外の選択肢は残されていない。

幸い、敵はこちらが半包囲して待ち伏せていることを知らずに群れている。

絶好の標的だ。


それは唐突に始まった。

フランス兵の分隊が攻撃を始めるとそれを聞いたミャウシア兵分隊もタイムラグを感じさせずに即攻撃を開始した。


突然の攻撃に敵兵は気を動転させる。

音を立てて土煙が噴き出すクロスファイアポイントの中を四方に散る様に敵兵は走り始めるが攻撃開始から10秒の間に8割以上の兵士が地面に倒れ込む。


納屋内で物色していた敵兵は奇襲攻撃を受けなかったのでそのまま納屋に立てこもろうとする。

だが突然隠し扉が半開きするとその中から手榴弾が2発軽く投擲された。

敵兵は何が起きたのかわからないまま炸裂した手榴弾の破片で負傷する。

爆発して直ぐに隠し扉がまた開いて手榴弾が投擲されて爆発する。


「撃ち方やめ。前進」


戦闘開始から1分しか経っていないが隊長がそんな指示を出せるくらい敵は殲滅状態に陥っていた。

前進するグループとそれを援護するグループに分かれて敵兵が無力化されたかを確認していく。

そこら中に転がる死体と重傷者を見て回り、うつ伏せの者はひっくり返して生死を確認する。

納屋の方の敵も無力化されたのを確認したら隠し扉をノックして中にいる味方にも安全の確保を知らせた。


ナナオウギは今までの戦いで敵を殺すことにある程度の耐性が付いたつもりだった。

けれどもアンブッシュで敵を全滅させる凄惨なタイプの戦場は初めてだからか表情は何ともないように取り繕うが内心はショックを隠せずにいた。

あまり死体を見たくないからかナナオウギは無傷の2人と救命可能な負傷者6人の計8人の生き残りの対応に率先して回る。

残りの隊員は死体や危篤患者の移動を行った。


ミーガルナはマシンガンナーメディックなどという謎の高負担な役職を賜っていたのでアーマーを着ながらM249ミニミ機関銃を担ぎ、弾薬箱を携帯しながら救急セットを出して負傷者の治療を行う。

これはミーガルナがミャウシア人の中でも特に力持ちなニャーガ族だから成立していたので、そこは他のミャウシア兵もミーガルナを認めていた。

とはいえ、限度はある。

ニャーガ族とは言え小人のように小柄なミャウシア人であるミーガルナでもミニミの保持がギリギリのラインだ。


ちなみにミーガルナが衛生兵になったのは先の戦いやナナオウギとの会話の中で衛生兵の訓練を率先して受けたいと考えるようになったのが理由だった。

誰でもいいから直接人を助けられるなら全力で助けたいと考えうようになるくらいにはナナオウギから色々影響されているようだ。


ミーガルナはトラのような獰猛そうな見た目によらず、器用に負傷者の止血をすると間を置かずに次の負傷者の手当に始めた。

ミーガルナに包帯を巻くよう指示された階級が上のミャウシア兵も素直に言われた通りの処置を行った。


実はミーガルナもこの戦闘に心を痛めていたがナナオウギと同じように気丈にふるまっていた。


ナナオウギはその傍らで敵兵を手短に尋問する。


「何でここに来た?」


「レジスタンスのリーダーがここにいるから引きずり出せってさっき言われた。それ以上は聞いてない!」


「誰に言われた?」


「小隊長だ!だけどここにはいない。あっちでくたばってると思う」


「...わかった」


ナナオウギは潜入部隊のミゥーに垂れ込まれたことを伝えると特段驚いた表情はしなかった。

割とそういうのには慣れているらしい。

そうしたところは歴戦の軍人のようだ。


部隊は遺体を納屋に安置して処理が完了する。

ナナオウギは合間に遺体に念仏を唱える。


「それなんですか?」


ミーガルナが質問する。


「俺の国の宗教儀式さ。死者が安らかに眠れるように唱える呪文だよ」


「なるほど」


そう言ってミーガルナも真似てミャウシアの習慣に沿った祈りを行った。


ここからは敵の飛行場に接近し別の任務へと移行する。

隊長はミゥーと話した後、予定通り二手に分かれることを決めた。


敵部隊のトラック2台を鹵獲したのでミゥーはトラックの片方をもらい受け、もう一人の部下と捕虜を連れて米軍の侵攻ルートの脇まで地雷を避けながら移動して待機することになった。

友軍とは無線で話はついているしトラックに赤外線反射塗料を塗って敵味方識別処理も行ったのでアメリカ軍機甲部隊に拾ってもらえるだろう。

負傷した敵兵を何とかしてもらえないかとナナオウギがミゥーに頼み、ミゥーが隊長にこの提案をしたのだ。


一方の特殊部隊ももう一台のトラックを使って移動することになった。

敵の増援を避けるために今すぐ移動する必要性とミャウシア軍のトラックなら敵兵に遠巻きに見られてもしばらくは友軍としてごまかせること、それを利用した偵察だの三点から使うことにしたのだ。

この点は臨機応変的に決まる。


運転は捕虜から血の付いていない戦闘服をはぎ取ったミーガルナが担当し、ミゥーからもらった地雷分布図を頼りに移動する。

ミーガルナが担当した理由はニャーガ族であるミーガルナなら万が一検問に引っかからざるを得ない時に信用度を上げられるからだ。


全員トラックに搭乗するとナナオウギは新たに加入したポンチョ姿のシモンに話しかける。


「狙撃手ということでいいんだよね?」


「うん」


「じゃあ、索敵と狙撃をお願いする」


「了解」


「弾は大丈夫?それミャウシア軍の5.5mm弾じゃないんだろ?」


シモンの獲物はミャウシアの元の世界の超大国の小銃であるらしく、ミャウシア人基準だとかなり大型の6.6mm弾を使用するらしい。

旧日本軍の三八歩兵銃に性質が似ている。

補給となると敵から奪って補うのは困難だ。


「大丈夫。持てる限り持ってきた」


実際、敵からはぎ取ったマガジンポーチをいくつも装着し、軍用の皮リュックにも詰め込んできているらしい。


「準備万端ということだね」


ナナオウギは姿勢を移してミーガルナに話しかける。


「ミーガルナ、いけそうか?」


「なんとかね」


「よかった。なら任せるぞ。俺たちが後ろにいるからどうしようもなかったら何とかするし指示も出す」


「わかった。やってみる」


そう言ってミーガルナはアクセルとクラッチを操作してトラックを発車させる。

超大まかなプロットで書いてるので思い付きで書き殴ってます。

登場人物たちに話の流れ任せてます。

話の流れをキャラに任せると話が変則的になり過ぎて困る。

後で書き直すかも。

すいません。

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