表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルカディアンズ 〜とある世界の転移戦記譚〜  作者: タピオカパン
猫の国の内戦(中編)
120/136

ミャウシア北岸上陸作戦2


NATO軍の上陸地点に指定されているミャウシア北部の海岸


真っ暗で波が打ち寄せる音しかしない殺風景な海岸だが連合軍の上陸が予想されてことから多少の歩哨が巡回していた。

とは言え、反政府軍の沿岸配備師団の監視と海岸に隠蔽された防空陣地の捜索を目的としたアメリカ海兵隊の特殊部隊フォースリーコン数個分隊の上陸を見逃す程度にはザルな警戒網でしかない。

ちなみに着陸地点の確保や破壊工作任務のためにより内陸に侵入した部隊は輸送機による空挺だった。


時刻はNATOの航空部隊群は既に揚陸艦隊から発艦を終えた頃だ。


沿岸配備師団の監視任務の内、海岸の歩哨や対空陣地の制圧を任務とする特殊部隊の分隊は友軍が来る前に脅威の排除に済ませる。


ボルトアクション小銃を背負った猫耳の兵士をサプレッサーの付いたMk.11で狙撃する。

兵士はその場に倒れて動かなくなる。

隊員は直ぐに死体を引きずって茂みに隠した。


隊員たちは移動して脅威の排除を続ける。

そして隠蔽された対空砲の陣地を発見した。

どうやら普段は納屋に隠して空軍の赤外線監視から逃れていたようだ。

いざとなればヘリの撃墜や水陸両用車の破壊もできる程度には脅威だった。


特殊部隊の隊員はレーザー目標指示装置を荷物から取り出して起動するとレーザーを目標にセットする。

こうした照準行為を他の分隊でも行っていた。


少しだけ時間が経つと上陸作戦の支援のために出撃した海兵隊のAV-8BハリアーIIの編隊が上空に到達した。

近接航空支援部隊は特殊部隊がマークした目標に対して1000ポンドのレーザー誘導爆弾を4発投下する。

立て続けに爆発が起きて建物が倒壊する。


防空陣地のあった場所はあらかた吹き飛んでしまった。

航空部隊はそのまま他のターゲットに向かい、同じように空爆を行ってヘリ部隊の脅威を排除する。


流石の敵の沿岸配備師団の指揮所も通信不能や遠方から聞こえる交戦音によって敵の存在に気づき始めたものの今更だった。


あらかたの脅威が排除された海岸にヘリを中心とした航空部隊がやって来た。


まずはCH-46やMV-22オスプレイなどの兵員輸送をメインとする飛行隊数十機が低空飛行しながら海岸上空に到達した。

それをアメリカ軍のAH-1WやAH-1Z、イギリス軍のWAH-64、多目的任務のUH-1NやUH-1Yが護衛する。

やはり潰し漏れた敵もいたようでこちらに気づいて重機関銃などで発砲してきたが攻撃ヘリのヘルファイア対戦車ミサイルによって吹き飛ばされてしまった。


飛行隊は内陸に侵入して数分後に着陸予定地点に到達した。

着陸予定地点には特殊部隊の分隊が周囲に小銃を向けて警戒を続けていた。

着陸予定地は赤外線ライトで照らされていて暗視装置を装着しているパイロットはそのライトによる誘導によって迅速に着陸する。

そして海兵隊の兵員を一斉に下ろす。


「行け行け行け!」


数百人の兵士が降下ポイントに一気に展開する。

極短時間でヘリボーンを終えた飛行隊はまた編隊をなして揚陸艦隊に向かって飛んで行った。

それをUH-1N/Yが護衛する。


これはまだ序の口だ。


間を置かずにCH-47やオスプレイ、CH-53、NH90、リンクス、UH-60が迫撃砲や物資、軽車両、フランス軍やイギリス軍の兵員を乗せて着陸する。

この輸送部隊は何度も往復して迫撃砲や榴弾砲、弾薬などの物資を運ぶことになる。


120mm迫撃砲RTが下ろされ、オスプレイから出てきたグロウラーITVにけん引される。


まだまだ来る。

今度はアメリカ海軍の戦闘機の上空援護のもと、イギリスの航空基地からやって来たオスプレイが着陸に入り、更に数百人の兵員を下ろした。

空軍基地から来たオスプレイの編隊は直ぐに離陸して洋上で空中給油を受けてイギリスに帰還する。

こうして敵の沿岸配備師団の後方直ぐに数個大隊、2000人程度のヘリボーン部隊が展開した。


反政府軍の指揮所


「後方に1個連隊程度の敵兵だと?!」


司令官は想像を超えた敵の機動に驚きを隠せずにいた。


つまり敵を背後から襲っているのだ。

付近の沿岸配備師団はおよそ3個師団で構成されているが上陸地点の海岸は1個師団しか守りに付いておらず、上陸するビーチには2個連隊の4000~6000人しかいなかった。

しかも半数以上は徴集兵なので粘り強く戦えるか疑問符が付く程度の戦力だと見積もられている。

それくらいには事前偵察で攻めやすい場所を選んでいた。

もちろん時間をかけてしまうと後方の数個師団が殺到してくるので時間との勝負でもある。



同時刻のアルーム平原内陸


反政府軍の野戦飛行場では温存していたソ連のYak-3に似たNY-1レシプロ戦闘機とソ連のLa-5戦闘機に似たレシプロ戦闘機を草木で隠蔽された場所から引っ張り出し、そのエンジンを整備兵がクランクを回して始動させていた。


そして戦闘機部隊が次々と放牧地のような滑走路から離陸し、非常に低い高度を低速度の状態で飛行して暗い夜の空に消えていく。


場面は降下地点と敵陣地の中間に戻る。

降下部隊は敵の防衛陣地に背面展開する様に攻撃をかけた。

一定数が後方に現れた敵に対処するため陣地から出てきていたが兵力は歴然としていた。


まず攻撃ヘリがそれらの敵兵に猛攻を加える。


コンソールのディスプレイに映る敵兵の塊にヘルファイアミサイルを撃ち込む。

白黒の赤外線カメラに映る白い敵兵の塊が一瞬にして吹き飛び、数人が走ったり這い蹲ったりして逃げる。

さらに残りを30mm機関砲や20mm機関砲で砲撃していく。

これを何度も繰り返し、一部の攻撃ヘリは交代としてやって来た後続の攻撃ヘリ部隊にバトンタッチして帰投する。


早々に部隊は士官損失や小隊の半数が損耗して混乱し、組織的行動ができなくなる。

そこでアメリカ海兵隊の歩兵部隊とぶつかるのだ。

一方的な激しい銃撃戦が起こる。

反政府軍の歩兵はアメリカ兵より数で劣る上にボルトアクションライフルをコッキングさせながら必死に応戦するも直ぐに圧倒的な火力の前に引き始めた。


アメリカ軍の歩兵部隊は前進する分隊と激しい制圧射撃で援護する分隊に分かれて交互に前進を繰り返した。

いわゆる継続躍進というやつだ。

M249ミニミ軽機関銃を装備した歩兵が断続的に連射して弾薬ベルトを空の薬莢に変えていく。

曳光弾が敵兵のいる起伏や物陰に当たって一部は跳弾すると空に飛んでいった。

このあたりで後続のCH-47やCH-53が空輸してきたハンヴィーがM2ブローニングを連射して加勢する。


反政府軍は負けじと陣地から巧妙に隠蔽していた77mm野砲や44mm対戦車砲、22mm機関砲を人力で移動させて攻撃に使おうとするが突然爆発した。


攻撃ヘリからのヘルファイアミサイルによる攻撃だった。

中には対戦車歩兵が放ったジャベリンミサイルによる攻撃も含まれていた。


「撃てぇ!」


そうこうしていると降下部隊の砲兵隊が81mm迫撃砲による砲撃を反政府軍の陣地に撃ち込み始めた。

敵兵は塹壕や簡易トーチカから迂闊に出られなくなる。

その間にアメリカ軍の歩兵部隊は陣地へ更に接近を行った。


反政府軍の防衛陣地の連隊本部は対戦車兵器や機関砲をすべて失い、もうにっちもさっちもいかなくなっている状況に落胆する。

もはや海岸の防衛どころではなくなっていた。


その頃、上空では別の戦闘も行われていた。


反政府軍のレシプロ戦闘機部隊がアメリカ海軍航空隊と一方的な戦闘に入った。

反政府軍は超低高度を非常に低速で移動することによりアメリカ軍のレーダー網の回避を試みたのだが戦場に到達する前に発見されてしまうなど効果は限定的だったようだ。

元々レシプロ機で襲撃されることは予測されていたので重点的に警戒されていたことに尽きる。


F-35Cの編隊とF-35Bの編隊が内陸に侵入してウェポンベイを開けてAIM-120Cアムラームを発射した。


一度に数機のレシプロ戦闘機が爆発炎上して地面に激突して墜落する。

このまま特攻覚悟で突き進むのかと思われたが、そこまで狂信的な兵士ではない。

早々に無理だと悟って引き返すために旋回を始めた。


レシプロ戦闘機VSヘリコプターという色物な対決は結局起きずじまいになる。


そして時刻は夜明けをまわっている。


敵兵の関心が薄れている海岸では水平線に揚陸艦の一群がいて、AAV7アムトラック 水陸両用装甲兵員輸送車の隊列が海岸に向かって接近してくるのが見えるようになっていた。

低速だがしっかりと水しぶきを吹かして前進を続ける。


すると突然、砂浜上で巨大な巨大な爆発が立て続けに起きた。

2000ポンド爆弾を優に超える巨大な爆発で巨大なキノコ雲が発生する。

ソニックブームが防衛陣地を揺さぶる程だ。


「こ、今度はなんだ?!」


反政府軍の指揮所では指揮官が決まり文句の様に定型文の疑問を部下にぶつける。

指揮官は返答に困った部下を置いて塹壕から少し乗り出して海岸を見た。


正体は空中給油しながら飛来したF-15Eストライクイーグル戦闘爆撃機が投下したBLU-118サーモバリック爆弾だった。

ペイブウェイ誘導装置を装着したBLU-118をレーザー誘導に従て砂浜に落としたのだ。

目的は地雷原となっていた砂浜に突破口を開けるための地雷処理だった。


更に砂浜から内陸に上るための土道にもBLU-118が投下されて大爆発を起こした。

爆発の衝撃波で地雷の圧力信管が作動し砂浜から敵陣地前までのかなりの数の地雷が自爆して消え去った。


「...あ、ああ...」


敵の歩兵達はサーモバリック弾の衝撃波と有害で臭い燃焼ガスに意識障害を起こす兵士もいて士気が底をつく。

大隊上陸チームはある程度機関銃による銃撃を受けつつも爆発痕に沿って迅速に砂浜に上陸する。

上陸直後のAAV7の数両は自身に攻撃を加える機関銃陣地をMk19 自動擲弾銃の40mmグレネードで砲撃する。

機関銃陣地は砲撃で破裂した土嚢の土煙に覆われ撃破される。


ある程度の陣地に攻撃を行った後、水陸両用車部隊は斜面の道まで進んで歩兵を展開させ始めた。

けれどもAAV7の1両が地雷を踏んで損傷する。

AAV7には20人程度の人員が乗車しているので一気にヘリボーン部隊を超える数の大隊が展開した。


上陸した部隊は対人地雷に注意しながら左右に分かれて塹壕に取り付き始める。

この時、ミャウシア兵と米兵の兵数差は同数近くまで縮小していた。

塹壕に取り付き始めたあたりで迫撃砲に砲撃も止む。


塹壕に粘るミャウシア兵の内幾人かが大声でニャーニャ―騒いだ後、塹壕から手を挙げて出てきた。

米兵は小走りで塹壕に接近して侵入すると身柄を確保する。

一方、別の塹壕では立てこもるミャウシア兵に対してM4カービンの下に取り付けた40mmグレネードや投擲したりM67破片手榴弾を投擲して殺傷した。

中にはパイナップル型の手榴弾を投げ返してくるミャウシア兵もいた。

また、敵の射点に対してAT4携行式無反動砲を撃ち込むなど火力に物を言わせてごり押しする場面のあった。


アメリカ軍の歩兵はずっと俺のターン的なイケイケの状態なのかというとそうではなく、果敢に攻められる局面は果敢に攻めるが、敵兵が出待ちできる場所はビビる様に慎重に攻撃を続けて攻略する。


銃撃戦がしばらく続いた後、このビーチにいた反政府軍の沿岸配備の2個連隊は司令官の命令を待たずに各部隊がチリジリに降伏する。


連合軍の損害は死傷数十人、反政府軍の損害は戦死700人程度、負傷2500人を含めた捕虜4000人となった。


だが、これはこの戦闘だけの結果であり、既に上陸部隊は左右と後方から殺到する敵軍と交戦状態に入っていてミャウシア政府軍艦隊も友軍の頭上を飛び越える艦砲射撃を始めていた。

戦闘は途切れることなく続く。


うーん、後で改稿すると思います

追記:改稿しました

すいません

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ