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アルカディアンズ 〜とある世界の転移戦記譚〜  作者: タピオカパン
猫の国の内戦(中編)
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近づく転換点

あけましておめでとうございます。

間延びすいませんでした。

stormworksというゲームばかりやってました。

本当にすいません。

ミャウシア暫定政府軍 ニェボロスカ航空基地


チェイナリン達のF-4E改戦闘機 2機が滑走路に進入し、ドラッグシュートを展開する。

戦闘機が駐機場に戻ってくると基地の要員達が集まって盛大に出迎えてくれた。

チェイナリン達の仲間であるフュリアナやティーチャの姿も見える。


「やりましたね、将軍!」


「遂に反乱軍に一泡に吹かせたぜ、ハッハー!」


そんな風に盛り上がっている要員達の様子をチェイナリンは柔らかい表情で見渡し、少し手を振った。

ウーやミラベルなど、チェイナリンをよく理解している仲間たちから見ると微笑んではいるが素直には喜んでいないことは感じ取れた。

実際のところ、主力はアメリカ軍だったしチェイナリン達はぎりぎりの辛勝で敵を追い払っただけなので、胸を張れるほどのことはしてないとチェイナリンも仲間たちも思っていた。


チェイナリンが機体を降りるとミラベルが後ろに腕を回して抱き着いてくる。


「隊長、しっかりしてぇな。あれはあれ。これはこれ。な?そんなことしてると皆の士気に関わっちゃうって」


「...うん」


チェイナリンはミラベルの切り替えの良さに感心しながら皆の期待に応えるように歓迎の中に入っていく。

今はこの基地、最初の勝利を祝うことにした。

祝う人の中には空に向かって主力ボルトアクションライフルを発砲する者もいたし、PPD-34/38短機関銃に似た主力短機関銃を乱射する人もいた。

弾が誰かや設備に当たるかもしれない可能性などお構いなしの無秩序感がある。

文化水準がWW2レベルなのでそこは致し方なかった。

因みにミャウシア人でこういう粗野な行動をとるのは基本的に腕っ節のある女性ばかりだったりする。


そしてチェイナリン達が基地内に進むとF-4E改の訓練生達と合流した。

訓練生達がチェイナリン達に敬礼して声を掛ける。


「やりましたね。将軍!」


「ありがとう」


チェイナリンも敬礼して返事する。


「羨ましいです。次は是非、私たちも出撃したく思います!」


「そうだね。...でも、もう少し訓練して万全の状態で皆を送り出したい。だからまだ付き合って欲しい。いいかな?」


「了解しました!」


「ありがとう。私は指令所に行かなければならないからこれで失礼するね」


チェイナリンはそう言って訓練生達に再度敬礼してその場を後にする。

人だかりが消えたあたりでミラベルがチェイナリンに話しかけた。


「隊長」


「?」


「ナナオウギに挨拶しないん?」


「え?いや...今は司令部に報告が...」


「だからそれをまずはナナオウギにさ。報告すんのよ」


「順序が...」


「どっちが先でも大して変わんないって。直ぐ済むもん。なんせ作戦が決まった直後に隙を見て密会する場所、手打ちしたかんね」


「...」


チェイナリンはミラベルのお節介というか世話好きにちょっとだけ呆れつつ、その好意に感謝を込めた微笑みを返した。


「じゃあ、まずはナナオウギさんに.......」


チェイナリンは突然、会話を中断した。

猫耳をピンと立ててハッとした表情で固まってしまう。


「隊長、どったの?」


「...わからない」


チェイナリンは何かを感じ取ったような感覚に陥るが、それが何なのかわからず困惑してしまったのだ。

どこかで何かが起きた、そんな気がして何となくどこかに目をやる。

それをミラベル首をかしげて見るしかなった。



ミャウシア連邦南部  ネルグラーニャ市


暫定政府勢力圏下で最大の都市であるネルグラーニャはミャウシア連邦の暫定首都として定められ、軍部と行政府が置かれていた。

とは言ってもクーデター軍から奪還してから日も浅く、軍部は直ぐに機能し始めたが、行政府は全くもって機能していなかった。

それには理由があった。

というのもタルル将軍とそれに組する部族や連邦構成国との戦争継続以外の要因でも国家存亡の危機にあったからだ。

モザイク国家であるミャウシア連邦の解体へ向かおうとする圧力だ。


中央政府が崩壊してからというもの、再建された暫定政府の傘下の連邦構成国や部族、氏族が好き勝手に動き回り始めたのだ。

しかし、クーデーター軍という強敵の前ということあってか、表向きは団結している。

だが軍の舵取りの占有や政府再建にあたっての政権奪取を目論むなど水面下の策謀が活発化していた。

もし戦争に勝ったとしても途端に連邦崩壊が起きるかもしれないほど不安定化しているのだ。


そして、それらの権力の亡者たちに防波堤として立ちはだかっている人物がいた。

ゥーニャ・エカテリーネ・元ミャウシア共産同盟党書記長だった。


「津波?」


ゥーニャは軍当局の連絡将校から津波だと言われ、突然過ぎて同じセリフで返してしまった。


「どういうこと?」


「詳しいことはまだ判っていませんが内海の彼方で津波が発生、数時間後に我が国に到達するとNATOから通達が来ました。津波はご存じですか?」


「津波は知ってる。原因は?地揺れってやつかしら?」


「いいえ。どうも内海の向こうで起きた戦争が原因のようです」


「戦争で津波が起きた?まさか、山のような爆弾を海で破裂でもさせたの?」


「わかりません。情報がないので」


「言っておくけど私たちに避難なんて無理よ。警察も人員もないし、今から電信を飛ばしたって呼びかけと同時に着岸よ。軍が展開している沿岸都市なら兵を使えばまだ間に合うかもしれない。まだやってないの?」


「今やろうかというところです。あなた様の追認があれば助かるという話なのです。今は書記長ではなくとも、あなたはミャウシアで最も力のあるペイシャル族からなる部族や連合国の代表ですから。軍は何をするにも政府の承認がいると。司令部の大将達はあくまで政府の統制下で動いているという形を望んでいます。元元首である閣下に転移から今に至るまでの一連の出来事の責任を問う声もありますが、主流派の軍首脳はあなたが政府代表に適任だと考えていますので」


「いいわ。だったら避難をやってちょうだい。徹底的に。何もしなかったとなれば、民心の離反を招きかねない。それと、私に状況を逐一報告すること。軍司令部と同じ優先度でね。以上よ、下がってよろしい」


「はい」


将校が執務室を出た。

それを見たゥーニャは椅子に座ってベルを鳴らした。


「お呼びでしょうか?」


「幹部を集めて」


「かしこまりました」


呼んだスタッフは直ぐに部屋を出る。

誰もいなくなったところでゥーニャは呟いた。


「わたし、まだ期待されてるんだ...。それともあの子のおかげなのかな?...ま、なんにせよ、お母さんの残したミャウシアを何とか持たせないと」


ゥーニャはミャウシアにおいて一党独裁を行っていたミャウシア共産同盟党の書記長だったが、党首である前にミャウシアで最も力のある民族の有力者であり、そこからの信任が権力基盤の礎となっていた。

彼女の母親はかなり優秀な政治家であり、軍略家でもあった。

つまり、ゥーニャは親が築いた権力を引き継いだのだ。


けれども、彼女の場合は独裁者が政敵を排除して自分の子供に後を継がせるのとは全く異なるプロセスを経て権力の座に付いていた。

彼女は親の七光りも利用しているが確かな志を持って政治家になり、苦労を重ねているのだ。

政治姿勢にしても根っからの共産主義者という訳ではなく、地球でいうところのユーゴスラビアやエチオピアで掲げられているような連邦民族主義を維持するために共産主義を道具に使ってる面が強く、計画経済より市場経済に重きを置いていた。

それだけに民主化の圧力が高まるミャウシアの未来と方向性はどんなものが正しいのか苦悩しながら考え続けていた。


自身は出身民族を優遇したり他民族を支配したいとは考えていないし、すれば民族間の亀裂が一層深まってしまうのは目に見えている。

事実、タルル将軍の出身民族のニャーガ族が蜂起したのも有力民族にもかかわらず冷遇されていたからに他ならない。

だが各民族や構成国の地位を向上させれば今度は連邦の土台が揺ぐだろう。

彼女自身、それについての答えは出ていない。


もし、機会があればチェイナリンと再会して忌憚のない意見交換を行いたいと考えていた。

チェイナリンは政治と距離を置きたがるだろうが、彼女なら純粋で有益な意見を教えてくれそうな気がするからというのが理由だ。

チェイナリンは珍しい少数民族出身だが、悪く言えばどの民族からものけ者にされる被差別民族の出身であるので、そうした立場の意見もあるだろう。

なので落ち着いたら会う段取りを練っていた。


「それにしても、その津波とやらはそんな簡単に起こるなのかしら?地球人の連中。もしかして例の核兵器なる爆弾を使ったのか?」


事の真相はこうだ。

転移ヨーロッパを含めたミャウシア周辺諸国によって続いていたミャウシア戦役と並行し、アメリカと空中艦隊を有する異世界国家群・グランドリアを中心に周辺諸国も巻き込んだ紛争が展開されていたのだ。

こちらはミャウシア戦役よりずっと少ない兵力を動員した戦いにはなっていたので、アメリカはこちらとミャウシアの両方に軍を投入する二正面作戦を展開していた。


だが戦いは想像を超えた超科学の遺物の出現によってとんでもない事態に発展してしまっていた。

最悪の場合、世界の存亡にすら関わるほどだった。

けれども有志達の手によってこの遺物は最終的に破壊されて事なきを得る。

津波はその余波なのだ。


その詳細はそちらの物語で語られることなる。


「何にせよ、色々ごたつきそうね。タルルかニーの奴らがこれを好機と見て仕掛けてこないといいんだけど...」


ゥーニャはまさかと思いながら津波の件について集中し始める。

だが、そのまさかはこの後、現実となった。

勢いで描いたので後で書き直すかも


先の空戦ですがこれ聞きながらやってました。

雰囲気はこんな感じです。

https://www.music-note.jp/bgm/mp3/20131217/disent.MP3


stormworksというゲームで自走対空砲と比例航法ミサイル、弾道計算の作成に没頭してしまいました。

いかに敵の未来位置にレティクルを絞るかを巡って計算式考案して算術ばかりに奮闘してしまいました。

ホントすいません。

こんなのばっか作ってました。

https://imgur.com/3rqgYwz.mp4

https://imgur.com/Cg4RNQZ.png

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙です。 敵列車砲の無力化によって一先ず沸き立つ政府派軍。 もはや周囲に公認されているナナオウギとの関係を囃し立てられたことに喜びつつも、何かを察するチェイナリン。もしやナナオウギの身…
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