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アルカディアンズ 〜とある世界の転移戦記譚〜  作者: タピオカパン
猫の国の内戦(中編)
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敵防空網制圧作戦6


反政府軍航空基地


反政府軍の整備要員が駐機されているMig-29戦闘機への補給を済ませ、その機体のメインエンジンをコールドスタートさせ始めていた。

機体が高音で唸り始める。

Mig-29のエンジンスタートには電源車両が必要となっている。

そのため電気ケーブルが電源車両から伸びてMig-29に接続されていた。


ちなみにだがF-4戦闘機の場合もエンジンを始動させるためには電源車両が必要だ。

チェイナリン達が乗っているF-4E改もエンジンスタートの時には電源車両が必ず付属している。

実際に同じ時間帯に基地に戻っていたチェイナリン達のF-4戦闘機の横には補給作業車両と一緒に電源車両が控えていた。


そんなMig-29のコックピットにミンクスが搭乗していた。

気が高ぶってるのかそれとも上機嫌なのか珍しく猫耳を機敏に動かしている様子だ。


「ふーん♪ふーん♪」


上機嫌に方だったらしく軍歌を鼻歌で歌っていた。

ミンクスは鼻歌を歌いながら機器のチェック、タービンや温度などのエンジン調節をまるで飛行時間1000時間越えのベテランパイロットみたいに手慣れたように短時間で完了させる。


「...敵を討て♪我らが無敵の空戦隊♪」


ミンクスは軍歌のような歌に空戦隊をねじ込む替え歌を歌っていたようだ。

ミンクスの陽気な歌は無線でニチェットの猫耳にも入っていて、彼はそれをいつも通り黙って聞いていた。

こうしている時の彼女は無邪気な淡金髪の猫耳美少女なのである。


そしてミンクスは猫耳仕様のパイロットヘルメットを被った。



作戦空域周辺


アメリカ空軍の攻撃機部隊が作戦空域に到達する。

ここで敵防空網制圧部隊であるワイルドウィーゼル部隊が爆撃部隊や護衛部隊に先行して敵防空網に突入を開始した。


まずは先に行った電子情報収集を再び行って敵の位置の再割り出しを始めた。


防空兵器は移動を繰り返していることが多い。

常に同じ位置にいてはGPS誘導兵器の格好の標的になってしまからだ。

だが全球測位システムが消滅したこの世界ではその心配はない。

けれども索敵を敵に強要させるのは長距離誘導兵器が無くても当たり前に行うべきものだ。


少しして敵のS-300地対空ミサイルシステムの位置が明らかになった。

やはり移動しているようだが想定範囲内の移動だった。


パイロットはコンソールに表示した地図に敵地対空ミサイルシステムをマッピングした。

敵レーダーのF-16CJ戦闘機に対する探知可能圏が自分たちのすぐ手前に広がっていることがわかる。

パイロットたちは慌てることなく次の手順に移る。


「ポイントアルファ通過。降下開始」


ワイルドウィーゼル部隊の半分が残りの半分より更に先行する形で超低空飛行を開始する。


地対空ミサイルを攻撃する場合、攻撃方法はいくつかある。

長射程兵器によるアウトレンジ攻撃、敵のレーダー網を掻い潜り中射程兵器の有効距離に入り込む攻撃、囮を駆使して直接攻撃を行うというものだ。

この場合は2番目の案が採用されている。


この攻撃方法では攻撃部隊は山と水平線を駆使して地対空ミサイルシステムの監視サイトに映らないようにしながらできる限り接近を試みなければならない。

そのために攻撃部隊は山間を潜り抜けるように超低空飛行する。


日本の東北地方で三沢基地のF-16CJ戦闘機による超低空飛行が問題視されたことがあるが、彼らが超低空飛行していた目的はまさにこのような作戦に対応するための練習でもある。

一方の航空自衛隊では地形を利用するような低空飛行訓練はあまり行われていない。

航空自衛隊が敵防空網に直面した場合、対抗手段は電子攻撃以外に打つ手はないがその電子攻撃すらほとんどが偵察機用の自衛装備くらいにしか使われていないような現状だ。

もちろん他の国でもこういった能力はごく限られた国しか持たないものであるので無いからと言って決してレベルが低いわけではないことは注意すべき点だった。

しかしこれが後の転移日本にとって大きな痛手になってしまったのは後の話である。


低空飛行部隊は山間を飛び始めて直ぐに開けた盆地に入る。

S-300の索敵範囲が広い関係から超低空飛行部隊はかなり離れたところから低空侵入を開始しなければならなかったのだが、そのせいでミャウシア政府軍の1個軍団の前線後方上空を低空飛行する必要に迫られた。

しかも味方にほとんど知らされていない。

案の定、アメリカ空軍機は政府軍部隊に新型の敵機と誤認されてしまった。


歩兵部隊は何事と言わんばかりに空を見上げ、中にはボルトアクションライフルを構える兵もいる。

師団指揮所付近の低空を飛行した際、ミャウシア兵達が慌てふためくように61-K対空砲に似た設置型の33mm単装対空砲に搭乗して発砲してきた。


低空飛行部隊も地上から撃たれていることに気付いたものの対処する術はないので無視した。

幸い短時間で射程圏外まで飛んで行ってしまったので無傷で済むが、今後はどうなるかは未知数だ。

地対空ミサイル以外の敵の存在がいるかもしれないことが示されてしまったからだ。


低空飛行部隊は盆地からからまた山間に入り姿が見えなくなり、刻々と目標に近づいていく。

超低空飛行の関連動画

https://www.youtube.com/watch?v=fhdKp3F6Mx0

https://www.youtube.com/watch?v=JultKcPcKjk

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新乙です ステルス機の登場で相対的に意義が低下したワイルドウィーゼルですが、なんのまだまだやれるぜ! 低空飛行はイナゴ宇宙人ですら失敗することもある難易度の高い行動ですが、だからこそパイ…
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