其の参
私達は今、これから暮らす場所の説明を受けている。
「ここは特訓場。俺らの特訓する場所だ」
まさに特訓場だった。兵士達(盗賊だけど・・・)が槍で突き合っている。
「こいつらは対銃装備を普段から装着してるんだ」
私に対する嫌味か。
「ほら、次。案内しなさい」
虚がキレぎみに部下Bを叩く。もはや部下Bが虚の犬にしか見えない。
「ちっ・・・うっせえなあ」
「なんか言った?」
「何もいってねえよ。・・・ほら、こっちは酒場だ。情報収集にでも使いやがれ」
酒屋だった。しかし店主に覇気が無い。香峰村とは大違いだ。
それに対して、客の方は沢山飲んでいる。金はあるんだろうか。
「じゃ、次行くわよ。」
虚の声だ。
「ここは、研究所だ。ここで兵士が量産されてる」
「「・・・!!」」
驚いた。兵士は量産されていた。
これでは、創世神が殺した分の兵士はすぐに復活する。
虚は一瞬だけ敵意を出し、すぐに抑えた。
「気持ち悪い・・・行こうよ、虚ちゃん」
「そ、そうね、次に案内しなさい」
すると部下Bは、私達の感じた恐怖を楽しむように薄く笑みを浮かべながら、
「ククク、そうだな。じゃあ次に行くぞ。クキキキキ・・・ぁ痛」
グーで殴られていた。
それからは生活に使う場所を案内された。食堂とか、リビングとか、風呂とか。
とりあえず、風呂が男用と女用に分かれてただけ、安心できた。
こんな場所だから混浴かと、不安になっていた。
どれも綺麗とは言い難い場所だったけれど。
あと、こんな所でも洗濯する場所があったのには感動した。
それに、何故かデパートがあり、いろんな物が揃っていた事には涙しそうだった。
「ここがお前らの部屋だ」
みみっちぃ部屋に案内された。
ベッドがなければ、倉庫にでも使用するだろう。
こんな所では暮らしたくないな~と思った。
「何よこれ。物置場?」
「これでも俺の部屋より大きいんだぞ!我慢しろ!」
「はいはい。それじゃ、これで終わりかしら?」
「ああ、これで全部だ。何か質問があったら、周りの奴らに聞け。俺は帰る」
部下Bは帰っていった。
「部下のしつけがなってないわね。大丈夫?護。何か変な事されてない?」
「大丈夫。だけど・・・」
ふらふらふら~、ばたんきゅー。
ベッドへ倒れこむ。ベッドで良かった。布団なんて使ったこと無い。
「ありゃりゃ。疲れたか。んじゃ休みましょう。」
そして気付く。ベッドは一つ。
つまりあんなことやこんな事が・・・起きるわけもなく。
さて、新たなベッドでも買いに行こう。というか模様替えをしよう。
売店へ行き、必要な物を取り揃え、部屋に置く。
お金は全部虚が負担してくれた。おかげで持ち金は0になったみたいだけど。
「こんな感じかな。どう、護?」
「いいんじゃないかな。虚ちゃんのおかげで助かったよ~」
主に金銭面とか。あと、力仕事もほとんど虚に任せた気がする。
「じゃあそろそろ、戦闘面の強化をしましょう」
「え?どうやって?」
「武器を買うわ」
「でも、もうお金が・・・」
「うーん、そうね。じゃあ金稼ぎにスライムでも倒しに行きましょう」