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WonderfulWorld  作者: れーや
第零話「創世神」
4/41

其の肆


これが夢なら早く覚めてよ。

「さて、君の事だけど」

これが誰かが見せる幻なら早く術を解いてよ。

「兄さんが創ったからには使命を果たしてもらわないとならないんだ」

ほっぺをつねって自分の存在を確認する。痛かった。

――これは夢じゃない。

「分かってるわよ。でも認めたくないわ。」

「じゃ、君の使命について解説しよっか」

――お前の使命は、世界を殺す事。

世界を殺すってなんなんだろう。

「兄さんは、自分の世界に殺された。で、体がないから君に取り憑いている」

――耳が痛いな。あれは予測不可能だった。俺の実力不足だ。

「で、代わりに私が世界を殺すと?」

「その通り」

――その通り。

そんな無茶苦茶な。


そもそも、

「『世界』って何?」

まずこれが分からない。

すると、

「この世の穢れたもの全てよ」

いや、分からないって。


――そうだな。今、戦争が起きているだろ?

・・・は?

「え?そうなの?」

「兄さん。護はここの村で育った事になってるんだから知らないわよ」

――そうだったな。わざわざ平和な村に創ったんだから知ってるはずないか。

『創った』という表現が実に腹立たしい。

「戦争が起こっているの。醜い、穢れた人間の戦争」

――それは、この世界全てを巻き込む大戦争。

じゃあ、

「何故この村では起こってないの?」

「私が特製の結界を張ったの。穢れた人間を侵入させない特製の結界。凄いでしょ」

確かに凄いけど。

「あ、穢れた人ってのは、思考が金にしか行ってない連中の事ね」

なんとなく『穢れた』という言葉が分かってきた。


――で、戦争を止めに行った俺は、その穢れた人間ほぼ全員に敵意を向けられ死亡、と。

「情けなかったわよ~。創世神があんなにあっさりと殺されるなんて思わなかったわ」

――何言ってるんだ。両者の戦力を半分ぐらいずつ削ってやったさ。

「その内3分の2は私が殺したけどね」

『殺す』だなんて。怖い事を言わないで欲しい。


「私は・・・残り半分を殺すの?」

「まさかビビってる?」

当たり前だ。いくら穢れてたって、人は人だ。

「私にはそんな事・・・できないよ・・・」

――だけどやってもらう。その為に君を創ったんだから。

「てゆうかさっき私に銃を向けたでしょうに」

「あれは・・・」

なんというか。感情的になってしまった自分に反省。

――物騒な時代だ。せっかく結界を張ったのに、こんな物を持ってるなんて。

「――っ」

「いやいや兄さんが持たせたんでしょうが」

――はっはっは。そうだったな。

もう、自覚するしかない。私は、創られたんだ。この人達に。

「私は、世界を、殺すんですね」

「やっと自覚してくれた~。私も一緒に行くよ。仲間だね!」

「仲間・・・」

仲間。不思議な響きだ。私はこの人に創られたというのに。

――ああそうだな。妹と仲良くしてやってくれ。

「私はうつろ。宜しくね!」

「う、うん。宜しく・・・」


――さて、俺はそろそろ行かなきゃな。

不可解な言葉が聞こえた。


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