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WonderfulWorld  作者: れーや
最終話「世界」
39/41

其の肆

私達は、ありったけの魔力を放った。


それによって、父さんに大量の魔力が送られた。


その魔力で、父さんは人々を生き返らせた。


もう二度と、『闇』なんてものは存在させないと。


そう、心に誓って。




……しかし私達は問題を抱えていた。


私達は重要な違反をしていた。


神が決めたと言われる、重要な規則の違反を。


もちろん私はそういう事は聞いて無かった。

今、知ったことである。


「さて、創世神と言ったわね。いくら神であろうとも、全世界共通の法律くらいは守ってもらうわよ」

「……ふん、好きにするがいい」

お父さんは

知ってるわけが無いから、私はサレナさんに聞く。

「法律……?」

「そうよ。法律。意味は分かるかしら?

 社会生活の秩序を維持するために、統治者や国家が定めて人民に強制する規範の事よ」

「いや、そういう事を聞いているのではなく」

「ただの冗談よ。面白かったかしら?」

「あー……」

「やめなよ、サレナ。馬鹿正直な人間に冗談は通じない」

アーサーから援護が入る。

「そうね。聞きたいのは、たった今創世神が違反した内容でしょ?

 答えはね……」

「人を生き返らせてはいけない」

お父さんが先に言った。

「輪廻の輪を壊す、非常に迷惑な行為だからな。それに、死者を悪用されては困る」

「え、……?」

「さあ、天神よ。いるのだろう?出て来い!」


お父さんが言うと、時空が歪んだ。

周りの世界と切り離された感覚。

最近、時空の歪みをたくさん経験している気がする。


『その通り。流石は創世神か』

知らない声がダブって聞こえる。

「そちらこそ、流石は天神だ。俺達に罰を与えに来たか」

『世界の禁忌を破ったのだ。当然。今までは見てみぬフリをしてやったと言うに、その恩を仇にしおって』

……ん?今まで?

「そう、今まで。私達の事じゃないかしら、護」

久しぶりに、虚に心を読まれた気がする。

『その通りだ。アルヴァースを生き返らせたのはお前だ、高神護』

神と思われる『それ』は私を名指しする。

「……え?私は?」

虚はキョトンとした声で答える

『天界から魂を引っ張ってきたのは護だ。

 よって君達には罰を受けてもらう』

「ま、待ってよ!それを頼んだのは私よ?私を罰するべきでしょうが!」

『事実は事実だ』

「そんな……」

……地獄に送られるのか、それとも人間以外で転生するか。

さあ、何が来る……?

『追放だ。全員別の世界へ行ってもらう』

「ほう、……場所はどこだ?」

『創世神、貴様は人間に転生してもらう。記憶は消去だ。生き返らせた人間が多すぎるからな。貴様だけは元居た世界に帰ることを許そうじゃないか。記憶は無いが』

「妥当か。また新しい人生を歩むとしよう」

『高神護。貴様は魔法の無い世界で暮らしてもらう』

「魔法の無い世界……?それはどこ?」

『罪人たる貴様なぞに答える義理はない』

……。

『アーサー。貴様は闇魔界で暮らしてもらう。最も危険な人物を蘇生させたからな』

「え、マジ?」

『さて、今日が終わる時、どこにいようとも強制的に追放だ。それまで今の生活をかみしめているがいい』

……。


その後、私達はお父さんの創った世界へ行った。

「やれやれ、追放か」

そこは、今まで私達が住んでいたところと同じ形をした世界だった。

色々な所をまわり、今いる場所はスペースルーラー基地。

あれから、虚に何度も謝られた。

でも、虚のせいとは思わない。

虚の手にふれてその事を告げると、虚は泣き出してどこかに行ってしまった。

『虚のせいじゃないよ、気にしないで』

そう言ったつもりだったのだけれど。

心のどこかで、私は虚を責めていたのだろうか。

だとしたら、手をつないだのは失敗だったのだろうか。

ならば私も、虚と同じく謝らなければならない事がある。

「お父さん、ごめんなさい」

「法律違反?禁忌?ああ、知っていたとも。だが断らなかったのは私だ。気にするな」

「でも……私が『私の命一つあれば何人の命が救えるかな』なんて言わなければ……」

「ふむ、……お前は優しいからな。『気にするな』と言っても気にするだろう。

 そんな護に教訓をやろう。『罪を認めろ』。そして『乗り越えろ』。

 取り返せる罪なら取り返せ。取り返せない罪なら、その罪に見合う善行を積め」

……。

私は、積めるのか。

創世神を人間に落とした罪に見合う善行を。

……虚を責めてしまった、善行を。

「さて、もう時間だ。行かなければならない」

いつの間に、そんな時間になったのか。

「もう、なんだね。早いよ……」

大切にするべきだった時間は、すぐに無くなった。

「すまないな、護。力になれなくて」

ロイがいた。背中に魔剣『プリムローズ』を背負っている。

「魔法が無い世界って、どんな世界なんでしょうね?」

そう言ったのは、付喪神のプリム。

「さあ……いったいどうなんだろうね。最も、今僕が出来る事は、これからこの世界に生まれる子供を全て調べ上げ、創世神の生まれ変わりを見つける事くらいだが」

と 、空斗。

「問題は、護さんとの連絡手段が途絶える事くらいでしょうか」

と、アル。

「何で?」

「創世神の記憶は無くなるようですが、すぐに分かるでしょう。アーサーは一番辛い所にいますが、場所は分かります。けど、護さんは」

「『魔法の無い世界』なんて言われてもたくさんありすぎて分からない、ってこと?」

「ええ。奇跡でも起きない限り、無数にありますので」

「……どうして、こんな事になったんだろうね」

「仕方無い事さ。……おい、それ」

……?

「護、創世神、手ェ見ろ。消えてるぞ」

「……お別れだな。目の前で消える事になろうとは」

「私、一人で生きていけるかな……」

「追い詰められた時、人は真なる力を発揮する」

声のほうを見た。

「景彦さん……」

「きっと、護の内に眠りし力が、助けてくれる」

「そう、かな」

「そうだ」

「景彦さんが言ってくれると、説得力あるなあ」

「そう言われると嬉しい。だがさようなら、か」

私の体は、下の半分くらいが消えていた。

下から消えていって、上半身だけ浮いてる状態だった。

「さようなら、皆、お父さん。私、向こうでも皆のこと、忘れない」

顔だけになる。

意識が少しずつ途絶えていく。

脳から(そこには存在しないはずの)体に送る信号の周期が、遅れていく。

その時だった。

「護っ!」

虚の声がした。

「違う、違うの!私が逃げたのは、あなたの純粋な心を見たから!私は罪悪感に負けて、逃げてしまったの!」

薄れ逝く意識の中で、虚の声がした。

私は手を伸ばす。消えていく最中の手を伸ばす。

「う、つ……ろ……」

虚の手と私の手が触れ合ったのが分かる。

私が考えていたのは一つだけ。

虚に、私の気持ちは改めて伝わったろうか。

それだけだった。

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