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WonderfulWorld  作者: れーや
第三話「侵略者」
18/41

其の参

敵の利口な戦術により、盗賊団はかなりのダメージを受けた。

どうしてあの程度の魔法が防げないのかと不思議に思ったけれど、私がおかしいだけみたい。

私のおかげで敵はほとんど殲滅したため、今回は私達盗賊団の勝利。

ほとんど私の功績。

というわけで、私は褒美を貰う事になった。

なんだろう。

もしやキャビア!?

実に楽しみだ。わくわく……。

「ほとんどの物は私が創れるんだけど。一体、何を貰えるのかしらね」

ちなみに今私が歩いてるところは、盗賊団本部への連絡通路。

地下通路とでも呼び変えようかな。

「う~ん、そうだよね。虚なら大体の物は……」

そう言うも、褒美と聞くと何か高価な感じ。


そして数十分。

本部の地下に着いた。

扉がいかにも高価なものであり、横に本部と書いてある。

「まあ、いってらっしゃい。私はここで待ってるわ。お呼びでないだろうし」

「うん。行ってくる」


扉を開け、中に入る。

「お邪魔しま~す……」

すると、部下らしき人に出迎えられた。

「君が護さんですね?」

「はい」

「こちらへどうぞ」

その人に付いて行く。

付いて行きながらも、ついついキョロキョロしてしまう。

「どうなされましたか?」

「えと、本部の中が凄くって……」

その中は、まさにサイバーテクノロジー。

私達がいた所の研究所とは訳が違う。

本部の全体がサイバーな雰囲気につつまれており、普段液晶画面に映っているものが空中に浮かんでいる。

私には想像もつかない程の高度な技術が使われているのだろう。

「左様でございますか。しかし、この階段を上ればボスの所に着きますので。

 後で見てもらってもよろしいですかな?」

やんわりと、『じろじろ見るな』と言われたようだ。

「はい……」

周りの団員達が、こちらを見る。

少し恥ずかしい。


すぐ先に見えた階段を上り、3階に着いた。

「着きました。ここがボスの部屋でございます。

 ここから先は私も入れませんので、お一人でどうぞ」

どれだけ神聖な場所なのだろうか。

「?……はい、分かりました」


言われたとおり、一人で入る。

部屋は黄金に包まれていた。

まさに世界の半分を有する団のボスが居座るに相応しい場所だった。盗賊団だけど。

ここまでくれば玉座もあるかと思ったが、玉座はないらしい。

ボスがここで生活しているらしい事は良くわかり、つまりはベッドや机、椅子に本棚があった。

もちろん全て黄金だ。

ベッドは……何を材料としているのだろう。

ふかふかで気持ちよさそうだ。


部屋を一通り見渡したら、窓の近くには盗賊団のボスと思われる人物が。

私がいつか見たような、支部長ではない。

威厳がある。

ボスは私に背を向け、窓の外を見つめながら立っている。

「貴様が、『高神』護だな?」

「はい。…………え?」

――ドクン。

心臓が波打つ。

今、何と言った?

……そうだ、確か、『高神』と。

このボスはそう言った。

何故、その名を知っている。

私と虚は、『川上』と名乗った。

何故、『高神』という姓を知っている……?

冷や汗が私の頬を伝わったのが分かった。

ご褒美とかそんな事を気にしてる場合ではない。

盗賊団のボス。

こいつは……ヤバい!!

ボスはこちらを振り向こうとする。

ニヤリとした横からの表情が見える。

振り向かせてはいけない。

こいつと目を合わせてはいけないっ!!!

「ヘヴンズ・ゲートッ!!!」

光は集束し、扉と化す。

扉から出る無数の光。

光は、黄金に満ちた部屋の半分を削り取った。

そして私は天の扉を閉ざす。

扉は消える。

上下左右を見渡すが、ボスの姿は見当たらない。

おそらく、ボスは光にのまれたのではないだろうか。

「やった……?」

「良い技だ。リーチが長く破壊力もあるくせに、銃弾を撃つのと同じ速度で出る」

……先ほどの想像を撤回しようと思った。

ボスは私の後ろに回りこんでいたようだ。

「ならばもう一回!」

私はもう一度、ヘヴンズ・ゲートを放とうとする。


「だが、その程度では遅いのだよ」


直後、背中に物凄い衝撃。

私の体は殴り飛ばされ、私が開けた大穴から秒速100メートルくらいの速度でアジトの外に放り出された。

ああ、なんて空が青いんだろう。

私の心の危険信号とは裏腹に、空は真っ青だ!雲一つ無い快晴だっ!

殴り飛ばされて数百メートル。私は空中で体の向きを変え、アジトの方向に体を向ける。

そして気付いたことが一つ。

こいつは……人間じゃない!

どうやったら、秒速100メートルで空を飛ぶ人間に、『跳んで』追いつくというのだ!

ボスは私の頭を掴み。

「ひっ……」

そして空中から落下、地面に押しつける。

「い、嫌ぁあああぁぁああああッ!!!!」

ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!!!!!!!!!!!!

10秒ほど押さえつけられながら地面を滑った。

轟音で耳が痛い。

でも、摩擦で髪は焼けたであろう後頭部の方がもっと痛い。

涙が止まらず、目の前がぼやけて見える。

私は今、どんなに惨めな姿でいるだろうか。

カチュは取れてしまっただろう。

むしろ髪が焼けているだろう。

涙で目の前がよく見えないけれど。

でも、これだけは分かる。

今私の頭を掴んでいるこの男が。

私の敵。

虚と、その兄創世神の敵。


「創世神も対した事は無いなあ!?この程度の人材しか寄越せないとは!!!!!」


――そして、今から私を殺す人物。


「よく覚えておけ創世神よ!!!盗賊団首領、草薙イズナ!それが世界の頂点に立つ男の名だッ!!!!」


見えない。

でも、殺されるのだろうか。

死にたくない。

でも痛い。

痛みから解放されたい。

とっとと殺して欲しいと願う自分がいた。


……でも私は、まだ死んでないみたい。

アルをこの世に呼び戻した時のような場所には、まだ着かない。

――あの時は確か、誰か知らない人に会って。

「知らない人ねえ。名乗っとけば良かったわね」


――エルフのフィーテさんに会って。

「あ、名前覚えていてくれたんだ」


――フィーテさんが、アルを呼んでくれて。

「今とは違う体ですけどね」


――アルをこの世に呼び戻したら、アーサーが大泣きして。

「僕だけカッコ悪いなあ」


……え?

フィーテさんと、アルと、アーサーと。もう一人、天界で会った人の声。

どうしてここに天界の方々がいるのだろう。

……つまり夢か。

夢なら全て説明が付く。

もうすぐ私は死ぬんだろうな。

「るっさいわねー。死なせないわよ。神様の言い付けで、私達はあなたを助けに来たの」


やっぱり、夢だな。

どうすれば、ここに辿り着けるというのだろうか。

「私の転移魔法なら簡単に辿り着けるよ♪それよりサレナ、護の怪我はどう?」

フィーテさんの声。

「こいつは魂の入れ替えだって行なうみたいじゃない。私も負けてられないわ」

サレナと呼ばれた少女の声。

天界で最初に会った人だ。

「なら大丈夫そうですね。では、こいつは僕達が相手しましょうか」

アルの声。

「そうだな。魔王と比べりゃ楽勝だ」

アーサーの声。

「……魔、王?」

「話してませんでしたっけ?僕達は勇者でした。神に選ばれし勇者。それはそれは強かったんですよ?」

「……覚えて、ない」

「しゃべらないで。治療するから。アルも話しかけないで」

「これは失礼しました」

「……私は、何故、生きてるの?」

何故、殺されてないのか。

それが一番不思議であった。

「向こうにいる彼女が、あなたを助けたの」

サレナさんの指差した方を見る。

……さっき出した涙でよく見えない。

私は目を右手でこすった。

そして見えたものは。


「虚っ!!!!!」


――虚が血にまみれて、倒れてるところ。

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