其の伍
スラりんの攻撃!突進!
私はひらりとかわした!
「お、成長してきたじゃない♪」
「へへー♪凄いでしょ♪」
そしてすぐに銃を放ってやった。しかし避けられた!
「ふははハハ!どんな攻撃でも、当たらねば意味がないのだよぉおおおッ!!!」
虚の攻撃!虚はフレイムを唱えた!
「炎よ、焼き尽くせ。フレイム!」
虚の前から出た焔がスラりんを焼く!・・・はずだったのだが。
「残念ながら、俺様はこの程度ではやられんのだよ!」
またもや避ける。何だこの俊敏さ!
「さすが親玉。一筋縄では行かないか。次ィ!」
虚は続けて炎を繰り出す。
しかしスライムは華麗な動きでそれをかわす!
スライムのくせに生意気だ!
なんとか当てようと、私もちまちま撃っているのだが、虚と同じく当たらない。
虚は炎の連発を諦め、身の丈よりも長い大長刀を出した。
創世神の妹なのだから、武器をその場で練成する事だって出来る。
それを知らないスラりんは、(おそらく)驚いている。
スライムの表情変化なんて私には分からないけれど。
「驚きだな。だが面白い!面白いぞ!かかって来い!」
「言っとくけど、私は速いわよ!」
目にも止まらぬ速さで、虚がスラりんに攻撃をしかける。
動きが全く分からなかった。確かに速い。
集中して見ると、動き少しだけ認識できる。
上段斬り、下段きり、右下から左上への斬り上げ、さらに一突き。
しかしスラりんは、下、上、さらに空中で一回転して後ろに下がりその動きを全て避けた。
この間わずか1秒。
虚はあんなにも人間離れした攻撃をしているのに!
「どうしたあ?当たらんぞぉおおお???今度はこっちの番だぁッ!!!」
スラりんは「スライムよ永遠に」を使った!
スライムがどこからともなく現れ、私達の前方空中へ。
「危険よ!撃ち落として!」
「う、うん!」
1、2、3、4、5発。しかしそれらは全て別のスライムに防がれてしまった。
そしてそのスライムは大爆発を起こした!
スライムの破片が飛び散ってきた!
ぷにぷにぷにぷに。
それが飛び散り、ぶにゅぶにゅぶにゅ。
さらに体に張り付き、まだ生きているスライムの残骸はにゅるにゅると動いた。
想像してみて欲しい。
ぷにぷにぬるぬるぶにゅぶにゅした物が自分の肌にはりついて蠢く様を・・・!
トラウマスイッチ、オン。
「きゃああああああ!ぷにぷにいやああああああ!!気持ち悪いぃいいいぃぃぃいいいいい!!!!」
ああダメだ!あまりの恐ろしさに何もできない!
「ちょっ!護、大丈夫?くくく、はははははっ!」
言いながら虚は笑っている!なんてヤツだ!
「ぷにぷにいやああ!!」
その時、私の銃に力が集束した。
「ん?この力は?」
集束する力は、周りの空間を捻じ曲げる。
「ありゃ、リミッター解除は早すぎたかしら、凄い魔力だわ。私は退散しますわ~」
そう言って虚は私の後方へ飛翔。
「消えろぷにぷに・・・!」
そしてその力を銃弾に乗せ、
「ふん、どんな技かは知らんが、俺様に当てられるのかぁ?」
解き放つ。
「ヘヴンズ・ゲート!!!」
銃弾が1メートル程跳んだ所で、光の扉が開いた。
その扉から、それを出した私が驚く程の光が私の前方を覆いつくした。
「バカな、この俺様が・・・ッ!!」
その光は、どうやらスライムを消し飛ばしたようだ。
「はぁ・・・はぁ・・・」
私に付いていたスライムの破片は、大技の反動で吹き飛んでいた。
「よくやったじゃない、護。さ、アジトに戻りましょう?」
「うん・・・そうす・・・る・・・」
体が重い。次第に平衡感覚が薄れてきて、
「護?護っ!!!」
ばたん、きゅー。
気がつくと、そこは病院のベッドの上。
「やれやれね」
そういえば私、いつの間にか倒れたんだっけ。
「よくやったわ。おかげでスライムは粉々。多分、私達にも多くの経験値が入ったはず」
経験値というものが何なのか良く分からないけれど。
「ヘヴンズ・ゲート、か。やはり兄さんの子だわ。流石ね」
子だってさ。私は創られたってのに。
それを自分から考える事に、何だか空しさを感じて鬱になる。
「もう兄さんの子でいいわよ。それとも何?人造人間、いや、神造人間の称号が欲しい?」
「い、いらない・・・。でも、それじゃあええと?」
この前、虚は姉妹だとか言ってた気がする。
「気持ちの問題よ。どうせ全部義理の関係。血は一つも繋がってないじゃない」
あ、確かに。
「まあ、まずは寝なさい。まだ疲れてるでしょ?それと、これからは無茶しないように。」
はーい。気をつけます。
虚は、ベッドの近くの椅子で本を読み始めた。
「護が起きるまでそばにいるから、安心して寝なさい」
それじゃあ遠慮なく寝よう。
「おやすみ、虚」
あ、いつのまにか呼び捨てになってた。
心を許し始めた証拠だろうか。スライムのおかげかな?
そんな事を考えつつ、私は眠りについた。
一応、医者にもう一度だけ診断を受けた。
「はい、おーけー。回復早いわねー。他の団員なら5回くたばるレベルの力を使ったはずなのに」
「そ、そうなんですか。えと、ありがとうございます」
「君達がお金を稼いでくれないと、私の所にお金が入ってこないからね」
やはり金か。普通なら冗談だと受け流すんだろうけど、本気だろうから反応に困る。
そろそろ慣れそうな気がする自分が怖い。
虚に手を触れ、その事を伝えてみる。いや、なんとなく。
虚はそっぽを向いている。この世界の人間には愛想が尽きているようだ。




