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誰かのための物語  作者: 涼木玄樹
17/48

17 よかったね。

 久しぶりに、図書館とは違う所での夢を見た。



そこは学校ですらなく、かおるくんといつも一緒に絵を描いている近所の公園だった。

そこで僕はまた、いつもと同じノートを持っていた。いつもと違うところと言えば、



表紙に『だれかの』と書かれていることだ。



いつの間に書き足したんだろう。

 自分の名前を書いてもし見つかったらばれてしまうから、『誰かの』なんて書いたのか。

 僕は、ベンチに座って誰かを待っているようだった。

 日差しが暖かい。



 公園にやって来たのは、あの一番初めの夢で見た転校生だった。 



 彼女は僕を見つけると、控えめに手をふった。僕も、ふりかえした。


 白いワンピースのその子は、公園を見渡してから僕にかけよる。

そしてとなりにちょこんと腰かけた。



 僕は女の子に促されると、持っているノートを彼女に見せた。



――僕が、自分以外の人にノートを見せるなんて。



 これは大きな変化だ、と思った。


 そもそも、転校生の彼女といつの間に友達になっていたんだろう。


 彼女は、僕のノートと僕を交互に見ては、満面の笑みを咲かせていた。

 子どもらしく、足をパタパタさせた。




――この子には、見せてもいいと思えたんだね。よかったね。




 僕は、子どものころの僕に語りかけた。

 よかった。友達が全くいなかったんじゃなかったんだ。




 大切なのは友達の多さじゃなくて、一人でもこうやって自分をさらけ出せるような相手がいることだ。


そう、今の僕は実感している。

森下さんも、相良も。友達ではないけれど、監督も。 



夢からの目覚めは最高で、

久しぶりにすがすがしい気分を味わった。


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