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薄紙に綴る
興味のないことは語らない
ふてぶてしさの中で
薔薇のパフュームを
手首に擦り付けた
彼女から彼女へ送る手紙
右上がりの癖字が綴る秘密
ないしょ話は
月明かりの下で
薄い便箋は光を透いて
ラストノーツは彼女が知っている
血の通り道と
心音を閉じ込めた柔らかな胸
今日が今日である内に
その憂いに名前をつけて
親愛なる少女たちへ
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交換日記は
期待もしていなかったのに
三年も続きました
青い象の絵が描かれたそれを
結局誰が持っているのでしょう
廊下の端から端へ
A棟からC棟へ
ちょっとした冒険気分で
それは運ばれていきました
貴女は好きな人がいましたね
結末は知っているのに
その少年の顔が思い出せません
カラフルなペンが踊る
あの日記に染みてしまった記憶は
きっと二度と取り出せないのでしょう




