THE TEAM!(番外編)〜呼び捨ての理由〜
「ねぇ、どうして翡翠は篠原君のことを呼び捨てにしてるわけ?」
昼休み、「カレカノいない同盟」は例のごとく翡翠を肴に相変わらずの会合を開いていた。
「どうしてって……、どうしてだっけ?」
翡翠からクエッションマークが飛ぶ。そして彼らの視線はその呼ばれている当事者に向くことになった。
「快君、どうして翡翠を呼び捨てにさせているわけ?」
「おい、あくまでも使役表現か……」
しかし、それが翡翠の記憶を呼び覚ました。
「あっ! 思い出した!」
それは中学一年生だった夏の日のことである。
「ええっ〜〜!! 快ちゃんは快ちゃんでいいじゃない!!」
「良くない!! 今日から呼び捨てにしろ!! 任務の時に毎回「ちゃん」付けされてたら相手になめられる!!」
今日の任務は最悪だった。その分敵には大人気ない自分を見せてしまった。骨折数箇所も相手に与えたことはめったにない。
それも翡翠が「快ちゃん」と呼んだ性で大人達に馬鹿にされてしまったからである。
「だいたい、俺はもう十二だ! いつまでも子供じゃないんだよ!」
「まだおじ様達にお世話になっているうちは子供だって、快ちゃんが自分で言ってたじゃない!!」
「それはそれだ! 俺は隊長なんだから命令は絶対だろう! それぐらいの命令はきけ!!」
「横暴だよ!! もう絶対一生快ちゃんって呼んでやるんだから!!」
結局口論でその日の任務は終わり、数日間二人は一言も口をきかなかった。TEAMの大人達はそれをは微笑ましく楽しみに見ていたという。
しかし、さすがに翔は心配になり快に尋ねた。
「おいおい、お前ら一体どうしたんだ? あんなに仲いい癖してよ」
「ほっとけ。大体翡翠がいつまで経っても快ちゃん呼ばわりするからいけないんだ」
中学一年生の癖してブラックコーヒーが旨いという快はやはりどこか大人びたところがある。しかし、その発言は翔を笑わせるには充分だった。
「なんだ! ただの独占欲かよ!!」
「なっ!!」
快は一気に真っ赤になった! 確かに翡翠が好きだという気持ちを目の前の悪友は知ってはいるが……
「そういうことか! だったら翡翠も分かってくれる! お〜い!! 翡翠!!」
喧嘩中の少女を簡単に呼ぶこの悪友は本当に性格がいいのか悪いのか分からない。
「どうしたの翔ちゃん?」
きょとんとした顔をして翡翠は尋ねた。
「翡翠、今回はお前が折れてやれ。快はただお前に呼び捨てにして欲しいだけだ」
「そうなの?」
翔の言うことなら絶対最後まで聞く。翡翠は昔からそうだ。
「ああ。快もまだまだ子供だからよ、我侭言いたいだけなんだよ。翡翠にもその気持ちは分かるだろう?」
「うんうん!」
なぜか良いように丸めていっている気がするが、快はここで口を挟んでもろくな事にはならないと知っているので何も言わない。
「それにさ、呼び捨てにできるメリットも出てくるはずだ」
「メリット?」
「ああ、そのうち分かるよ。なっ、快!」
その話が終わり、同盟の面々は満足そうな顔をした。翔の多少の演出がまた面白さを倍増させたのだ。
「その時確か快は顔真っ赤だったよね!」
「そうだな。まったく快はかっこつけの癖してどこかお子様……」
その時、教室に雷が放たれようとしていた。快の魔法だ!
「いや、快、そこまで怒らなくても……」
「そうだよ、篠原君、ちょっと危ない……」
「カレカノいない同盟」の面々は教室の隅へと追い詰められていく。
「お前ら……」
ついに雷玉が出来上がった!
「一回地獄巡りに行って来い!!」
「うぎゃああああ!!!」
しかし、この話には少しだけ続きがある。
「快、か」
「ん? どうした?」
翔の問いに翡翠はにっこりして答えた。
「翔ちゃんの言ってたメリットが分かった。ちょっとだけ恋人みたいな感じがするね!」
翡翠の恋はこの時から始まっていたのである……
ちょっと甘い恋のストーリーを書いてみたくなりましたのでやっちゃいました! 感想をいただけるとうれしいです☆




