すべての始まり
今日は卒業式だな、、。そう呟いていたのは俺、影山真一。
いかにもありふれた名前でおもしろみのない人間である。
今日は3月9日、今日まで通ってきた高校の卒業式、友達とゲームしたり、図書館で勉強とかこつけた他校の可愛い女の子探しをしたり、部活に打ち込んだりとそれなりに満足できる高校生活だったと我ながらにそう想いを少し前の昔に馳せながらつぶやいていた。
だけど、中でも色々あったなぁ。この一か月、、。そう、時を遡ること一カ月前。
親父、今度進学する美容学校のことで話があるから今日夕方時間空けといてくれ。
そう言って高校三年生の卒業間近にした真一はやがて離れ離れになるであろう親友のもとへ向かった。
親友の佐々木は高校で出会った愛すべき馬鹿であり、真一にとっても数少ない心許せる友達であった。
おう、またせたな。と真一はいつもと変わらぬ挨拶をかわしまた佐々木もそれに答えた。
おまえは相変わらず五分は遅刻してくるな。といつもと変わらぬ某格闘ゲームの電源スイッチに手を伸ばしながら。
ただいまー。親父いるかー?
真一の実家は真一 父 祖母 父の後妻 年の離れた弟とのやや複雑な家庭ではあるが平和に暮らしていた。
お父さんならまだ帰らないわよ?と祖母は言う。
真一は世間一般で言うおばあちゃん子というやつで祖母のことを慕っていた。
そっかー。と一言だけかえし真一は自室に入り今後のことを考えていた。
真一の進学した美容学校は大阪での名門であり去年の九月にはAO入試にて合格を決めていた。
自分はこれから決めた道を進んで立派な美容師になるんだと思って学校の資料を流し読みしていたところ真一の携帯が着信に震えた。
着信先は神西はるかだった。はるかとはつきあって一年半真一が高校二年の秋にはるかが通う高校の文化祭で真一が一目惚れをし壮絶なアタックの末結ばれた真一の初めての彼女だった。
どうした?バイトはもうおわったのか?真一がそう聞くといなやすぐにはるかはバイト先の愚痴をいいはじめた。
今日のシフトあたし入ってなかったのになんか急に入れられちゃってしかも延長できない??とか店長が、、。
やれやれと思いながら真一は耳を傾けていた。
そんなときに部屋のノックする音が聞こえた。
真一、いいか?
真一の父が帰ってきたのであった。はるか、ごめん後でかけなおすわ、親父が呼んでてさ。
そう言いながら真一は携帯をデスクに置きリビングに向かった。