「非常に驚いた」事
94. 凄いか?(2)
検証(3):コンサルタントをやった事
案内されたドイツの工場内で「問題点」を見つけ出し、社長に対して「ああしろ、こうしてはどうか」と提案をやった事。これは「普段通り」のコンサルタント流セールスそのままで、自分には目新しい芸ではなかった。これが「著しい効き目」になったのは確か。
検証(4):一期一会
ドイツでのミーテイングと交渉は、普段から営業活動のモットーとしていた、「今しか無い、再度は無い」の一期一会そのまま。これが交渉に迫力を加え、相手にスピードアップと「決断を促した」のは間違いない。
検証(5):笑わせた人間を嫌う人はいないの「定理」
ミーテイングの場で、「売りつけてみよ」と言われて、セールストークで「浮いたニ時間でホテルに行けるじゃないか!」と、相手の虚を突いて笑いを誘った。これも「普段通りのセールス」で、筆者がやっていた「口上」そのまま。「自分を笑わせた人間を嫌う人はいない」のセールスの定理が生きた。
こうして検証(1)~(5)の一つ一つを眺めると、これまでに書いて来た事ばかりで目新しいものは何一つ無い。チャンスのつかみ方も、コンサルタント流儀も一期一会の集中力も、普段のセールスの範囲から「一歩も出ていない」。違う事のように見えながら、「物を売る」のとドイツまで乗り込んで「交渉を展開する」のとは、その実同じセールスだと判る。売る商品が違っただけ。
結果だけを眺めると、運一つのまるでシンデレラ姫の変身のように映りながら、その実タナボタが何処にも無かった事になる。言い換えれば、工具を売る筆者の普段のセールスそのままで、トップセールスのノウハウがドイツでの交渉に「凝縮されている」。
95.「非常に驚いた」事
交渉を振り返って、我ながら「非常に驚いた」事が一つある。それは年月の短さだった: 四十で失業してほぼ一年半で食い詰めて「手持ちゼロ」→「困り果て」→「セールスという未知な世界へ転身」→「自分の適性を発見」→「トップセールス」→「会社から追われ」→「コピー商品開発の試みと失敗」→「ドイツへ出掛けて交渉」→「販売会社を起業」。これら一連のプロセスが三年足らずであった。
「たった三年以内」とは驚くじゃないか! いやいや、内の一年は図書館通いで遊んでいたのだからーーー、となると実質はたった二年だった事になる。
二年という時間を与えられれば、(全くのど素人が)その道(セールスの分野)でプロとなり、一つの大事をなし遂げるのに「充分な長さ」だったと分る。光陰矢の如しとか、人生は短いとよく言われる。が、人の寿命は二年の何十倍もの長さがあるのを思えば、人生は実に壮大なほど長いと言えないか。これは、「素敵な発見」だ。
何故なら義務教育でさえ九年掛かるし、大学までなら最低十五年。一流の職人になるには十年~二十年と考えるのが常識なら、先の二年という発見はとても「素敵だ」。仮に六十の人にも、いや七十の人でさえ、つまり多くの人が一つの事を成し遂げるのに充分な時間を「何時でも」手持ちしている事になるからだ。人には幾つになってもチャンスがある。
もう一つ学んだ事は、チャンスは「掴むもの」のようでありながら、本当は(二年掛けて)「自ら作り出すもの」だった、というのが偽らざる実感である。これも驚きの発見であった。




