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亀が空を飛ぶ方法 (第二作)  作者: 比呂よし
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凄いか? 

93.凄いか? 


 思い出すと息詰まるような丁々発止のドラマだったが、話を本題の「販売方程式の解法」へ戻す:事情を知らない人の目には、一週間前まで失業者だったのが社長へ転身する離れ業をやってのけたーーー、と映った知れない。結果だけを眺めて「凄い!」という人が居るが、本当に「凄い」だろうか? 筆者は魔法使いではないから実地に検証してみよう:


検証(1):匂いで判った

先にセールスの経験で書いたが、顧客を訪問してドアを開けた時の「匂い」で、製品が「売れるかどうか筆者には判った」と、うそぶいた。その実は、ドアを開ける前に、工場が何をやっているか事前に盗み見て、商品が売れるかどうかの見込み度を判断していただけ。だから、ここにトリックも「凄さ」も無い。


これと同じで日本市場が、世界的に見て大きなマーケットであるのは衆知の事実。ビジネスマンなら常識だ。どんなケチなドイツの会社でも、(人材とチャンスさえあれば)進出して日本国内で製品を「売りさばきたい」と考えるのは、当たり前。日本市場を放置しているのは、「儲けそこなっている」のと同じ意味で、ここに「問題がある」事になる。


先に話したが、道路に埋められるべき「穴ぼこ」があるのと同じで、これは「問題」だ。これを通報するのがセールスマンだと述べた。適切なアプローチさえ行えば、余程のヘマをやらない限り、ドイツの会社が話に乗って来る(=穴ぼこを埋め、「筆者という商品」を買う)のは当然であったと言える。少なくとも、そういう素地があったわけだ。

 

ドイツを訪問する前から(=顧客のドアを開ける前から)、筆者には売れるのが「匂い」で判っていた事になる。だから、本当を言えば一か八かの「賭け」をしたのではない。相手への説得の確率は高かったから、初めから注文が決まっていたようなもので、特に「凄い!」事は実際には無かったのである。

「求めよ、さらば与えられん。叩けよ、さらば開かれん」(マタイ福音書)という言葉があるが、筆者は門を「叩いた」だけ。叩いたら開いたのだ。叩くのに多少の勇気が要ったかも知れないが、次の言葉を付け加えて置こう:小心者が勝利のさかづきを手にする事はない。


それにしても、ドイツヘ乗り込むのに、配偶者がよくそんな夫のいい加減な「匂い」を信じて、旅費を「工面してくれたもの」と思うかもしれない。彼女は夫の言うことは殆ど間違いだらけだと普段から思っているが、たまには本当の事も言うと思っていた。そして今回は、その「たま」に相当すると勘違いしてくれたお蔭だ。


検証(2):チャンス!を掴む

先に書いたが、三つのポイントを思い出して欲しい:

鹿児島の販売店から夕方に「他社へ大きな注文が決まり掛けている」の電話を受けた。「このチャンス!に筆者は飛び付いた」。受話器を置くや直ぐに行動を起こした:その夜の寝台列車に飛び乗り、翌日九時には神戸から800Km離れた鹿児島の顧客の前に座っていた。その日の夕方には大方の予想を裏切り、この大型商談を受注した。

次に、金の乏しい中でドイツまで出かけた切っ掛けは、ハノーバーの見本市を見学に行った知り合いから、たまたま貰った一枚のリーフレット。そこにあった工具の「小さな白黒写真」を目にした時、ピンと来た。「チャンス!に飛びついて」行動を起こしたのは先の通り。


③次に、ドイツでのミーテイングで会議がダレ掛けた時、「これを、売って

みよ」と相手の社長から、突然言われた。こっちに準備が無かったが、サンプルを手にするや、四人の前で素早く立ち上がった。こんな時、一瞬でも逡巡し座していてはいけない。「チャンス!だからだ」


 ①~③を見るとチャンス!は、何処か分からない処にあるのではなく石ころみたいに案外ゴロゴロ「転がってある」のが分かる。それに走り寄り、自分の物にしようと「抱き締める」かどうかだ。女を捕まえるのに似ている、早く抱きしめてしまえ!これが勝ちだ。



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