表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
亀が空を飛ぶ方法 (第二作)  作者: 比呂よし
90/96

チカメが悪化する

90. チカメが悪化する


 それ以後新たな部署へ移動して案内する都度、私の指摘を一言半句も聞き漏らすまいと、心待ちする風に彼はペンを構えた。期待に応えて、こっちは何時も何か気の利いたセリフかアイデアを、その場で即興で述べなければならなくなった。躍起になり、視察する目は血まなこの程度が二倍となった。

 根は神様ではなくただの人間なのだから、便利な魔法が使える筈もなく、「そりゃあ、あの時は内心で大いに焦ったさーーー」


 因みに、筆者が工場で指摘したアイデア通りに、半年後「ポンプのタンクが赤色へと変更」となり、「直径100mmの代わりに、老眼でも目盛が見易いように160mmの巨大なサイズの油圧計」への改良が、実際に実現した。(こっちは自分の指摘をとっくに忘れていたのに)ゲルマン人は、自身が取ったメモ帳を決して忘れず実行に移したのだ。たまたま会社でも多方面での革新が急務とされていたのかも知れない。

「あんた、なかなかやるじゃないか!」と、経営者としての相手の優れた資質を筆者は見る思いがした。それ以後二人は互いの資質を認め合うようになる。


 世の中にパーフェクトなものは存在しないから、その気になって目を張り神経を配れば、問題の無い処なんて無い。工場を視察しながら、筆者は大抵一部署に一つ位は問題点を見付け出し、感想を述べて改善を指摘した。それらは、死に物狂いで見付け出した成果だったのだが、口に出して言う時には、「未だ外にも沢山ある中の一つなんだけれどねーーー」と言うみたいに、何でもなさそうにさり気なく指摘した。そうやると、老練に見えたのだ。


 後年、私の近眼ちかめが一段と劣化し、血圧が高めになったのは、この時の(問題を見つける)「血まなこ振り」と(必死に構えた)「さり気なさ演技」のせいである。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ