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亀が空を飛ぶ方法 (第二作)  作者: 比呂よし
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コピー機でイッパツ

 83. コピー機でイッパツ


 もう一例を挙げる。数年前の話で、今度は大手販売会社のセールスマンの話:

 ある日筆者は自宅で寝転んでヌード雑誌を眺める序でに、パソコンの専門誌を斜め読みしていて、こんな記事に目が止まった:


 「最新鋭のコピー機を使えば、これで文書をスキャン出来る。しかも瞬時に自動的にPDFファイルへ変換され、それがパソコンへ転送されて、何万枚もパソコン内に蓄える事が出来る。蓄えた中から、検索語一つで文書がイッパツで検索出来る(=探し出せる)から便利ですーーー」  

パソコンに詳しい人なら、今時珍しくない知識だが、当時の私には「画期的!」な記事だった。


 この機能を使えば、会社設立以来約三十年分の膨大な紙資料を、全てコピー機でスキャンして順次PCパソコン内に取り込める。そうすれば、社員は誰でも資料や図面や写真を簡単に検索し、営業活動に利用出来るんだなーーー、と考えた。確かに便利だ。

便利な私設図書館が、社内に出現するようなもの。日々の仕事というのは、「Aの資料が、確かあった筈だがなあーーー」という風に、一日の多くの時間が探し物で過ぎる。が、求めるものがイッパツで出てきた試しが無いのだ。


 長年眠っている過去の資料が能率よく有効活用が出来るだけでなく、更にはスキャン後は、紙の資料は廃棄出来るから、十ケ程も社内に居座っている大型書類キャビネットを取り払えて、事務所の省スペースにもなる。業務能率の格段のアップだ。


 こうして思考は、「私設図書館・紙文書が不要・省スペース・過去の資料の有効活用・業務の効率化」へ集中していった。と言うより、「その域」を出なかったと言える。


 気になっていたからか、無意識に数日考えていた。考える内に、「資料の整理・検索」だけに留まらず、全国の営業マンの日々の日報(=訪問レポート)も全て、毎日どんどんスキャンして取り込んで行っても構わないのだと、気が付いた。何もキャビネット内の過去の資料に拘る事無く、「今日のホットな」情報を放り込んでも構わない筈だーーー。


 仮にそうすれば、A工場の担当者Bさんの所へ、ウチの営業マンC君が、過去半年の間に何回訪問しているかーーー、の情報分析も「瞬時に可能になるのではないかーーー」と、ヒラメイた! 更に考えを進めて:


 例えば、ある工場の機械の組立用に、今日ウチのE製品が売れたとすれば、厖大な営業日報の中から、同種の機械を(例えば、射出成型機とか金型とかの言葉で)検索して探せば、全国の有望な見込み顧客を「イッパツで」選び出せる筈ーーー、と思い到った。


 そこへ別のセールスマンが訪問すれば、E製品の新たな販売に結びつくし、E製品のDMを打てば効率のよい宣伝活動が出来る。これは、単に事務所から紙文書が要らなくなる・省スペースの「私設図書館」という「静的な発想レベル」どころではない。むしろ、売上増進の為の「強力な武器」という「動的な活用」が出来るに違いないと、思考がジャンプアップした。


 この素晴らしい着想を得た時、興奮で体が震え顔色がカメレオンみたいに七色に変色するのを覚えた:「画期的じゃないか、これは! 発見はノーベル賞級だ!」

けれども、問題は本当に一体「そんな事が出来るのか!?」である。


 思考は更に大きく飛躍: これを使えば、ちっぽけなローカルなウチの会社が、売り上げ増加で世界制覇への道をたどるのも夢ではない!と、野望をたぎらせた。これは営業強化策になるから、太平の眠りにあるウチの営業社員達にとっては、迷惑思想の突然の出現ではある。が、筆者は他人を労働と戦闘に駆り立てる事に関しては、一切躊躇しないタイプだ。




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