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亀が空を飛ぶ方法 (第二作)  作者: 比呂よし
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問題は実在しない?

77. 問題は実在しない?


 「問題の在る処には必ず売れる」、そうは言ったけれども物事はそんなに単純ではない。何故なら、世の中には「問題や悩みを抱えている処」なんて、ザラには無いからだ。いや、曖昧な言い方はよそう、実を言えばそんな処なんて殆ど無い。

 考えても見給え、実際に車を運転していて落ち込むような危険な道路の「穴ぼこ」なんか、現実に滅多に遭遇しないではないか? ビジネスで滅多に「遭遇しない」のは、「実在しない」というのと同じ意味になる。


 多くのセールスマンが顧客を訪問してこう尋ねる:

「(ボルト締結に)何か『問題や悩み』は有りませんか? (有れば解決して上げます)」


 これは愚問。何故なら、先の道路の穴ぼこと同じで、穴ぼこがそのまま放置されている事は有り得ず、貴方が車で通り掛かった時には、ちゃんとアスファルトで補修済みの筈だからだ。越中富山の薬売り(=セールスマン)が半年後に巡って来るまで、腹痛を我慢して待っているバカがいないのと同じ。もし実際に「問題や悩み」があるとすれば、セールスマンが顧客を訪問した時点で、「既に解決済み」の筈だ。


 この話の冒頭部を思い出して頂きたい: 営業マンの面接試験で、「老人介護派:相手の悩みに耳を傾け、気になる点を納得行くまで説明して上げるのが、営業マンの仕事でとても大切です」と、答える応募者が少なからず居る。 如何にももっともらしい。


 が、先の通りセールスマンが客を訪問した時には解決済みで、問題や悩みなんて初めから無いのだから、現実には「耳を傾ける」ような場面には遭遇しない。よって、この人はウソ(=有りもしない物語の創作)を言っているから、ウチの採用試験では不合格となる。


 賢明な読者は、こんな風に矛盾を突くかも知れない:

 お前は「宇宙の原理」がなんとかかんとか、「問題の無い処」に物は売れないと言う。一方で「問題のある処」なら仮に相手が嫌だと言っても必ず売れると言いながら、他方で「問題のある処なんて、世の中に実在しない」と言うじゃないか! だったら、世の中は平和で宇宙の法則もヘッタクレも無く、そもそもセールスマンという職業自体が「成り立たない」じゃないか、自己矛盾だ! 


禅問答ではないけれども、この指摘は「問題の核心」を突いている。なぜなら、「だからこそーー」世のセールスマンの多くが職業として現実に「成り立たっていない!」(=大部分が「売れない」でいるセールスマン)。筆者はこれを否定する者ではない。 ほれ、先で木陰の車の中で昼寝をむさぼるセールスマンの姿を見たではないか! あれが矛盾の存在を裏付けている。


 お前のいう事は、訳が分からない。「問題の在る処には必ず売れる」、けれども「問題の在る処なんて世に有りはしないーーー」、この矛盾に解決があるだろうか? 答えは:無論、ある! 実はここへ読者を導きかったのだ:ここがベストセールスマンになれるか、その他大勢組に落ちるかの分かれ道である。


 顧客に「問題も悩みも」無いなら、話はとても簡単。何も遠慮する事はない、セールスマンが、つまり貴方自身が「問題」を「創り出せば」よろしい。そうすれば自動的に「問題は必ず100%実在する」ーーーことになる。昔も今も、勝を得るセールスの世界にこれ以外に解決策は無い。ここを正しく理解するなら、重要性は他の部分を全て忘れても好い位で、セールスとは何かへの回答だ。

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